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中編3
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おしゃべり人形

とある中古住宅。

そこへ、仲睦まじい3人家族が引っ越して来た。

一人娘は3歳になったばかりだが、なかなかのオシャマさんで、ママゴト遊びが大好きだった。

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ある日、いつものようにママゴト遊びをする娘を見ていた母親がふと、おかしなことに気づいた。

買い与えたことのない人形で遊んでいるのだ。

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「そのお人形どうしたの?」

「押入れの中で見つけたの。かわいいでしょ?名前はエミリっていうの。おしゃべりがとっても上手なのよ」

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「前の住人の忘れ物かしら?それにしても人形なんて、不気味よね」

母親は当然、薄気味悪さを感じた。

が、おしゃべり人形なら、そのうち電池が切れてしゃべらなくなって、飽きて遊ばなくなると思い、あまり気にすることはなかった。

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しかし、何週間も毎日毎日その人形で遊んでいるので、母親はさすがに気になって聞いてみた。

「エミリちゃんのこと、ずいぶんお気に入りなのね。どうしてそんなに好きなの?」

「エミリちゃんね、いつも『一緒に遊ぼう』って言うから、毎日遊んであげてるの。それに他のお人形で遊ぶと怒っちゃうから」

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母親は「まさか?」と思い、「お母さんにもエミリちゃん抱っこさせてくれるかな?」と、娘から人形を受け取り、くまなく調べた。

「やっぱり!この人形に、おしゃべり機能なんてない!」

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その夜、母親は夫に相談した。

「それは気味が悪いな。娘が寝ているあいだに隠してしまおう」

両親は早速、タンスの奥にしまいこんだ。

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だが次の日、気付くと娘がまたあの人形で遊んでいたのだ。

「ママ、どうしてエミリちゃんに悪いことするの?タンスの中で淋しがって泣いてたんだから!」

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両親はその日の夜、めったに使わない収納スペースの奥に場所を変えて、人形を隠した。

それでも娘はいとも簡単に人形を見つけ出し、いつものようにママゴト遊びをしているのだ。

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そんなやりとりが一週間も続き、あまりの不気味さに両親は決断した。

「もうこうなったら燃やしてしまおう。娘には悪いが…」

その夜、娘が寝たのを確認すると、両親は庭先で人形に灯油をかけて燃やした。

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次の日の朝、先に起きていた両親のところへ、まだ眠そうな娘が起きてきて、こう言った。

「エミリちゃんが呼んでる!『熱い!暗い!苦しい!』だって!助けてあげなきゃ!」

そう言うと、パジャマ姿のまま、ベランダから庭先へと出ていった。

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「そんなはずは…」

「燃やしたことに気づかれたのかも」

両親は娘のあとを追った。

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しかし、両親の心配をよそに、わずかに燃えカスが残った焼け跡には目もくれず、そことは正反対の庭の片隅で、おもちゃのスコップで一生懸命地面に穴を掘っている。

両親は言い知れぬ不気味さを感じながら、その様子を黙って見守った。

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「あ!見つけた♪こんなところにいたのね。淋しかったでしょ」

そう言って、娘は地面の中から大事そうに何かを拾い上げた。

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嬉しそうに両親の方へ振り向く娘…。

その腕には、小さな小さな頭蓋骨が抱えられていた。

・・・

・・

Concrete
コメント怖い
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怖かったです・・・!

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