第一話『鬱陶しい』
町を歩いていると女の霊から声を掛けられた。
私は無視したが、そいつはしつこく追ってくる。
鬱陶しく思ったので、私は「もう一度死にたいのか?」とその女に問い掛けた。
その後、女は追ってこなくなった。
無論、霊の殺め方など知らないが、危うく同じ女を二度死なせるところだった。
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第二話『自殺願望』
死にたい。そんな願望を胸に抱きながら橋の上に立った。
目線の先では一匹の魚が口を動かしている、鯉だろうか。
何かを喋っているような声も聞こえたので、耳を澄ませてみた。
「最近ここで飛び降りる人多過ぎ。水が汚れる。そこの君、まさか飛び降りないよね?」
…首吊りにしよう
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第三話『身を潜め』
岩場の陰に身を潜めて呼吸を整える。
俺は身体を竦め、海水に顔を浸した。
ブクブクと目の前に沫が立つ。俺は息を止めている。
その瞬間、何かに足首を掴まれ、一気に海中へ引き摺り込まれた。
「みーつけた」
遠退いてゆく意識の中、そう聞こえたような気がした。
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第四話『スペクトロフィリア』
幽霊が好きだ。
幸い俺には霊感があり、それなりに視ることができる。
ある日、仕事から帰りアパートに着くと、自分の部屋の玄関前に女が俯いて立っていた。
俺は「ああ、引き寄せてしまったんだな」と直感し、迷わずその女の肩に触れようとした。女は全力で逃げていった。俺は悲しくなった。
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第五話『不眠症』
不眠症の私は今日も日付を跨いでしまった。
睡眠薬が嫌いなので、別の薬で寝ることにしている。効果は睡眠薬ほどでは無いので、飲んでも寝れないときは寝れない。
夜中に起きているのは嫌なんだ。
障子を閉めても、外灯を背に窓の外の女がシルエットで見えてしまうから。
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第六話『道祖神』
「偶然見つけた道祖神の石碑を蹴ってみたんだ。その夜に夢を見た。のっぺりとした面を被ったヤツに金槌で頭を撲られる夢だった。あの程度のことで怒るとか沸点低すぎ。次はぶっ壊してやる」
そう言った彼は次の日に死んだ。馬鹿過ぎる。死んでくれてよかった。
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第七話『トラック』
交差点で信号が青に変わるのを待っていると、向こう側に立っていた女が横断歩道を横切るトラックに飛び込んだ。
当然、周囲は騒然となったが、そこには女の姿どころか血痕すら残っていなかった。
しかし例のトラックには、確かにぶつかった痕跡が…彼女はどこへ行ってしまったのだろうか?
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終。
作者mahiru
私がTwitterに投稿した呟怖をTwitterやってない人向けにまとめて投稿させて頂きました。全てフィクションです。