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長編19
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ついにキレた

今から思うと・・・穴の中に入りたい気分・・・というか大変なことになってしまった

ついにやってしまったな、私

私は普段からS子に対してはそんなにイラつくことはなかった

幼少時からS子からけっこうむちゃぶりをさせられてきた

だからいちいち気にするという感情はなかった

だが・・・あの夕食のおかずの不味さは・・・度を越えていたな

S子の手料理は・・・世界でもNo1を誇るだろうの下手っぴ

能天気な性格だからか味の感覚が可笑しいのか

よくわからんが・・・・

さすがのおふくろも絶句したな

あれからおふくろはS子の手料理を一から教えだした

子供たちは・・・途中で食べるのをやめた

「さぁて・・・お!コロッケじゃん・・・どれどれ・・・

ウッ!・・・なんだこりゃ・・・味がおかしいぞ・・・腐ってる?

オエッ!まずい」

一口、コロッケを食べた私は思わず吐き出してしまった

「わ!パパ、吐き出した!!汚いなぁ」と匠に言われた

私は恥ずかしさと気持ち悪さでトイレへ駆け込んだ

とにかく・・・はじめての味だ

S子・・・

トイレから戻って

「おい!S子!このコロッケの味はなに?」とS子に聞いた

「おっちーー!!なに?といわれても・・・コロッケの味するでしょ?」と返してきた

「おいおい!ちゃんと味を確かめてみた?こんな不味いのは食えんぞ」とS子に向かって怒鳴ってしまった

「おっちーー・・・そんなにまずいのか・・・・私、なんとかコロッケの作り方を覚えて

みんなにおいしく食べてもらおうとがんばったんだけど・・・パパがまずいというのなら・・・

私、どうしたらいいの?」と今にも泣きそうな顔をしていた

私はあまりにもまずいものを食べた怒りで

「おい!これでがんばった?こんなまずいコロッケははじめてた

S子ママはあんなに手料理が上手でおいしいのにその娘がなんでこうも料理が下手なんだよ

おふくろだってこんな不味い物を作ったことはないぞ」と

声を荒げて勢いで怒鳴ってしまった

「おっちーー・・・私、がんばったよ・・・」と言いながら泣き出してしまった

これには子供たちも動揺が走ったようで

「パパ!、言い過ぎだよ、ママ、お昼頃から試行錯誤でコロッケの作り方をおばあちゃんと相談しながら作ってたんだよ、ひどいよ、そんな言い方、ママがかわいそう」と楓が言い出した

「そうだぞ、パパ、言い過ぎ・・・たしかにまずいけどね・・・」とフォローしたのかよくわからんけれど・・・

「でもママ、失敗しながらもコロッケの形だけはできるようになったよ」と匠は言い続けた

え!・・・形って・・・今まで作ったことないのか・・・オイオイ

味は・・・まだまだってことかぁ・・・

もう食事の場は完全に崩壊した

さすがのトンチンカン親父も絡んでこなかった

相当不味いと思ったのだろうか早々に自分の寝室へ行ってしまった

子供たちも食事は途中で止めて各々の部屋へ行ってしまった

おふくろはS子の背中をさすりながら慰めていた

「パパ、私、実家へ戻るんだぞ、子供たちを頼むんだぞ

パパは実家へ来ないでほしいんだぞ

私、みんなのためにコロッケの作り方を教えてもらって作ったんだぞ

なのに・・・もういいんだぞ・・・」と言いながらさっさと家を出て行ってしまった

唖然・・・まさかの展開になってしまった

てっきりいつもの「えへへ」で終わるかと思ってた

私はすぐにS子の実家へ電話をした

まだ着いていないはずだ

S子ママが出た

事の詳細をおしえた

S子ママはすぐに理解してくれた

こっちで何とか納得させて早めに戻るようには言い聞かせる、と言ってくれた

私はすぐに走ってS子を追いかけた

私の家とS子の実家はおよそ1km

全然S子の姿が見えない

もう着いたのかな・・・

実家に着いた

S子ママが出てきた

「申し訳ありません・・・私が言い過ぎました・・・S子はもう帰ってきたでしょうか?」と聞いた

「え!・・・S子帰ってきてないけど!?・・・」と言う返事

「ええ!どこ行ったんだ・・・」

私はS子に電話をした

留守電になるばかり

「どういうことなの?婿殿、とりあえず中に入って婿殿」と言われ中に入った

「本当に申し訳ございません・・・私が言い過ぎたばかりにS子は家を飛び出してしまいました」と義理父に謝罪した

「婿殿、もう娘は婿殿に嫁がせたのだから私に謝罪する必要はないよ、夫婦間の問題だからね

S子と会ってとことん話し合えば解決できるよ」と義理父は優しい口調で言ってくれた

30分たった・・・帰ってこない・・・・

うそだろ・・・どこ行ったんだよ

もう夜の9時になる

私は少し焦りだした

まさか・・・東京へ行ったのか・・・

S君とF子は今東京にいる

まさかね・・・

私はS君に電話をした

今までの経緯を話した

F子も撮影で一緒にスタジオにいるとのこと

これからS君とF子は夜間の撮影に入るところだった

F子は絶対にS君としか夜間の撮影はしない

ほかのカメラマンからは夜間の撮影をしたいと言われているがすべて断ってるという

だからほかのカメラマンはS君がうらやましいんだそうだ

一度S君がF子を深夜まで連れまわしてることを聞いたS子ママ&パパが怒ったらしい

まだ結婚前の娘さんをそんな深夜まで連れ回してもしものことがあったらどうするんだと言われたそうだ

それを聞いたF子が直接S子ママ&パパに事情を話して理解してもらったらしい

仕事柄でどうしても夜の撮影があること

Sアニキしか深夜の撮影はしていないこと、ほかのカメラマンは全て断ってること

Sアニキを100%信用していること

その旨を話したらしい

F子からの説明を受けてS子ママ&パパは心配そうな顔をしていたが

F子ちゃんがそういうのなら・・ということで理解してもらったとF子は言っていた

私からの経緯を聞いて夜間の撮影は中止してF子と一緒に帰ることになった

本当に済まない

1時間が立った

何の連絡もない

私は電話でおふくろにS子が帰ってきたか聞いてみたが帰ってきていないとのこと

どこ行ったおっちー娘よ

携帯が鳴った、おっちー娘か・・・F子からだ

「アニキ・・・嫌な予感がする

・・・S子ちゃん・・・なんか狭い空間に閉じ込められてるような・・・

ううん・・・誘拐じゃないよ、アニキ

霊の仕業かも・・・・

住職様からもらったお守りと薬は持って行ってないよね」と聞いてきた

あ!・・・おっちー娘・・・忘れていってる

やばいな・・・・

「アニキ・・・Sアニキの家へS子ちゃん向かったんでしょ・・・

その途中で消えているはず

あ!そうだ!悪霊には悪霊

パパを呼んできて」とトンチンカン親父を呼べと言ってきた

正直・・・呼びたくない

でも悠長なことは言っていられない

「おふくろ、おやじをS子の実家まで来るように言ってくれ

S子の危機だ、と言えば飛んでくるさ!

え?お腹が痛いと言ってうずくまってる

叩き起こしてくれ」とおふくろに電話をした

「たたきおこしてやったわ

お嫁の危機だぁーーと言ってそっちへ向かったわよ

それと

なぜか葵ちゃんが起きてきて

「ママが助けを呼んでいるんだぞ、葵が助けに行くんだぞ」と言って

とんちんかんと一緒についていったわよ」とおふくろから電話が来た

わ!葵が来るのか・・・

しばらくすると玄関から声がした

「おい!F!、出て来い!」とおやじの怒声

まじでやめてほしい

「おい!F!テメェーーS子ちゃんに何かあったら絶対に許さんからな!」とマジ顔で言われた

「パパ!ママのいる場所、葵、知ってるんだぞ

付いてくるんだぞ」と私の手を引っ張って外へ出た

私の家へ行く途中の十字路の電柱辺りに着いた

「パパ、ここだぞ、

あれ・・・・ママがいないんだぞ!?

どうして・・・・」

「葵、ありがとね」

携帯が鳴った

「アニキ!もしかして傍に葵ちゃんいる?

いたら葵ちゃんのお守りの中に住職様からもらった薬があるでしょ

その薬を辺りに1個1個投げてみて

なにか反応が出るはず

反応が出たらパパをその中に入れて

そこにS子ちゃんがいるはずだから」とF子から電話があった

私は葵のお守りから薬を出して1個1個薬を投げた

なかなか反応が出ない

薬もあとわずか

ヤマカンでエイヤッと投げた

一瞬だが空間が揺らいだように見えた

おやじをそこへ無理やり押し込んだ

「おい!!F!、テメェーー」といいながら空間の中へ吸い込まれて行った

マジで帰ってこないでほしい・・

「ジィチャ・・・消えた・・・」と葵はびっくりしていた

「あれ・・・ああ!!パパ、葵の隣にオハルちゃんがいる」と葵はびっくりした声で私に言ってきた

「え!うそぉ!・・・見えないけど・・・」

もう年齢を重ねると純粋さはどんどん消えていくのかな・・・

「パパ、見えないの?葵は良く見えるよ

オハルちゃん達、助けに来てくれたよ」と嬉しそうな顔で私に言ってきた

天空から一筋の光が降り注いできた

異次元の空間が見えた

S子がしゃがんでいる

「あ!ママだ!!!泣いてる!!!ママ、かわいそうだぞう

パパ、早く助けてあげて!!!」

「助けると言っても・・・悪霊たるオヤジしか頼れないし・・・」

うわぁ!!!なんだあいつは・・・化け物!!!!

S子を襲おうとしていた

げっ!!!おやじ・・・化け物とタイマンはってる・・・・

なんか・・・化け物の様子がおかしい

あ!化け物が逃げた・・・おやじが追いかけっていった・・・

うわぁ!!!おやじ・・・化け物を喰らってる・・オエッ!!!

というか悪霊が悪霊を喰らってる

「えええ!!!ジイチャ、・・・って・・・化け物だったんだ・・・

ショックなんだぞ・・・」と葵はあまりにもすごい光景を見て体が震えていた

これはいけない

「葵、目を閉じて後ろを向いてておくれ

パパの手を離すんじゃないぞ」と葵に言い聞かせた

「うん、パパ、葵、絶対に手を離さないんだぞ」と強く手を握ってきた

悪霊おやじが悪霊をどんどん喰っていった

うえぇ!全部喰いつくしたぞ

<<<今だぁーーーあのオヤジをのお腹の悪霊を・・・・悪霊が口から這い出てきた

どういうことだ

もがいて苦しんでる

ああーーー溶けてしまった・・・・

餓鬼族め・・・・未だに我が子孫を喰おうとしているのか・・・・子々孫々まで・・・

>>>

え?なんだ?お狐様!?

なんか・・・親父の口から這い出てきて苦しんだ挙句溶けちゃったぞ・・・

うううう・・・・まさか・・・・悪霊・・・S子のコロッケ・・・食べたかな・・・

あのオヤジがお腹が痛いと言ってたんだ・・・あり得るな・・・・

まさかS子のコロッケで・・・オチなのか・・・

あっけない・・・というか・・・S子のコロッケって・・・毒物劇物指定だな

で・・・おやじよ、早くS子を連れてこっちへ戻ってこい

「オハルちゃん・・・これでおしまい?

あの化け物何?」

「・・・大きなお兄ちゃん・・・あの・・・

化け物より・・・大きなお兄ちゃんのトト様・・・正直言って私たちも関わり合いたくありません

あの化け物は・・・餓鬼族のものです

私たちのご先祖様が一旦は餓鬼族を追い払ったのです

ですが・・・なかなか餓鬼族と縁が切れません

その証拠にS子さんに憑りついていました

隙あらばといつも狙っています

S子さんは霊媒体質です

色々な霊を集めてしまいます

私もそうでした

私は今はもう幽霊ですけれど

なんとか私たちも餓鬼族から縁を切りたいのですが

どうも・・・餓鬼族の後ろに黒幕がいるような気がします

お狐様たちもなかなか手を焼いてるようです

ただ・・・・

大きなお兄ちゃんのトト様がカギのような気がします

ですが・・・使い方を間違えるとエライことになりそうで

今、一族でもめています

トト様に憑りついている悪霊は怨霊の類ではないのです

おそらく地球いや太陽系を創造した神々たちのような気がします

だからこそ悪霊たちはトト様を見ると怯えてるんだと思います

あの地獄の閻魔様もトト様を拒否なされました

トト様を唯一コントロールできるのは大きなお兄ちゃんたちのカカ様だけです

とりあえず今回はこれで一件落着ですが

油断はできません

住職様からもらったお守りとお薬だけは絶対に離さないでください」

とオハルちゃんは今回の件は餓鬼族が動いてたということを話してくれた

私たちにはよく理解できないがなにかとてつもない化け物たちが

動いてるということは分かった

オヤジよ早くS子を連れてこっちへ来い

おっ!やっとS子を連れて出てきた

「S子ちゃん、助けてきたぞ!!」

「ジイチャ・・・アリガト・・・さすがジイチャ、カッケイイ

葵、将来、ジイチャみたいなカェツケイイ男の人と結婚したいんだぞ」と葵は

おやじの手を強く握っておやじを見ていた

「ママ・・大丈夫?」と葵は心配そうにS子に話しかけた

「葵ちゃん、ごめんね、心配したでしょ

パパ、ごめんね・・・軽率に外へ出て行って・・・

義理父(パパ)ありがと・・・助けてくれてありがと」と言いながら

S子はその場に倒れてしまった

「こりゃ、あかん、おんぶしてS子ちゃんの実家へ運ぶぞ!!」

とおやじはS子を背負って実家まで運んでいった

「ごめん!S子ちゃん運んできた」と玄関のドアを開けて

S子を居間のソファに寝かせた

「○○君!ありがとね、S子重かったでしょ?」とS子ママがねぎらってくれた

「いやいや・・せがれの嫁だからな・・・大事な嫁だよ

S子ちゃんがいないと家が明るくならんから

とりあえず安静にして寝かせておいてくれ

俺、とりあえず家へ帰るわ

F!、テメェーー何かあったら連絡しろよ、もしもS子ちゃんの身に何か起きたらしばくからな!!」

と言って家を出て行ってしまった

「ジイチャ・・・力強い・・・カッケイイ!!!」と葵はますますおやじに惚れ込んだみたい

私はF子に電話をした

F子たちは新幹線でこっちへ帰ってきてると返事が来た

とりあえず一件落着した旨を話をした

詳細はとりあえず会ってからということになった

そして

住職にも電話をした

「おお!これはこれはお久しぶりですわいのぉ

ええ!!!またS子ちゃんが・・・おかわいそうに・・・

やはり霊媒体質でしたか・・・餓鬼族とな・・・

これはやっかいですぞ、あいつらはいつもお腹を空かせててなんでも喰いよりますわい

一族との戦いですとな・・・でしょうな・・・え!あのチンピラおやじ・・いやこれは失礼しましたわい

親父殿が太陽系の創造神の一族かもとな・・・あり得ますわい・・・悪霊たちのあの怯え方は尋常じゃなかったですからな

相手が創造主たる一族では悪霊でも敵わないでしょう

オハルちゃん達、親父殿の使い方で悶着してるとは・・・確かに神々を相手にその下の者たちでは

ちと難しいでしょうな・・・一歩間違えれば・・オハルちゃん達の世界は綺麗に無くなりますからな

神々の逆鱗に触れた文明や幽界は全て滅んでますし

なんと!餓鬼族を操ってる者たちがいるとな

あり得ますな・・・餓鬼族があそこまでしつこく出来るのは後ろ盾がいるんだと思いますわい

いろいろとお話ししてくださりありがとですわい

わしゃも少し整理をして今後の対策を練りますわい

え!お薬をもっと欲しいとな、いいでしょう

送りますわい

絶対にお守りとお薬だけは体から離さないでほしいですわい

それとS子ちゃんと葵ちゃんから絶対に目を離さないでほしいですわい

葵ちゃんも霊媒体質ですわい

必ず餓鬼族はこの2人を狙ってきますわい」と住職からいろいろと忠告と注意を受けた

あのトンチンカン親父が神々の一族だって・・・信じられん

じゃあ・・・おふくろは・・・もっと上の神さまかい!?

なんかよくわからない展開になったな、と正直思った

なんでS子の不味いコロッケから太陽系の神々が出てくるんだ

私は疲れが出てきた

「婿殿、少し横になってて、S子や葵ちゃんは私たちが見てるから」とS子ママに言われ横になった

小1時間ほど寝てしまった

体を起こして周りを見回した

何も変わっていない

葵が私の手を握っててくれたらしい

S子も寝ている

義理父は新聞を見ていた

S子ママは台所で後片付けをしていた

「パパ、起きた?ママ、ずっと寝てるよ

あたち、眠い・・・寝ていい?」と聞いてきた

「もちろん、パパの傍で寝るといいよ」と葵をソファのところに寝かせた

「オハルちゃんが傍にいたよ、今夜はお遊びできないよ、と言うと笑顔でバイバイしてくれたよ、パパ」と言いながら寝てしまった

もう午後11時になっていた

私はおふくろに電話をした

「おや・・・そっかい・・・大変だったね

葵ちゃんはそっちで寝てるんだね

S子ちゃんも寝てるのかい

家のほうは全然なにもないよ

え!あのトンチンカンが太陽系の創造主たちの一族だって・・・

ある意味恐ろしいねえ・・・・

家の外へつながるところに薬と塩を置いとけばいいんだね

なるほど・・・結界だね

わかったよ

家から絶対にに出ないさ・・・・

孫たちは今寝てるよ

え、私は寝ずにいてくれってかい

わかったよ

私もいろいろと用事があるからね

なに?もしかしたら外から誰かが訪ねてくるかもって?

うんうん・・・絶対に出ないよ・・・そっかい

わかったよ、わたしにまかせておけばいいさ」とおふくろは事の事情をほぼ理解してくれたようだ

わたしも義理父に説明をしてお薬と塩を外へつながるところへ置いてきた

後はS君とF子が早く帰ってきてほしい

夜0時になった

玄関のチャイムが鳴った

F子たちだ

私は急いで玄関へ行きF子たちを迎え入れた

すぐにドアを閉めてF子たちに向けて薬を投げつけた

「いたっ!アニキ、なになに?」とF子がびっくりして聞いてきた

事情を話した

「なるほど・・・あり得るわね・・・アニキ・・・用心しないとね」と納得してくれた

S君は相変わらず手にカメラを持っている

全員居間にいることにした

私は居間の東西南北に塩とお薬を置いた

結界を作った

これで一応は安心

またいつものことでこの部屋から出るときは必ず2人で、と話しておいた

義理父は新聞を読むのをやめてTVが置いてあるソファで寝るよ、と言って横になってくれた

F子はS子のソファの下の絨毯の所で横になると言ってくれた

葵もF子の後ろの方が空いているのでそこに寝かせた

S子ママと私とS君は椅子に腰かけて時間がたつのを待った

今のところ異常はない

夜も午前1時を過ぎた

おふくろからも電話が無いということは何も起きてないと思う

とにかく子供たちが起きて騒ぐのが一番厄介だからずーと朝まで寝てておくれ

午前2時過ぎ

S君がウトウトとしだしてきた

もう寝た方がいいよ、声をかけた

椅子に座ったままだけど仕方ない

私はおふくろに電話をした

「そっちはなにもおきてない?」と聞くと

「そうだよ、静かだよ、今さっき子供部屋みてきたけどちゃんと寝てるからね

とんちんかんも寝てるから

わたしも眠いけどなんとか起きてるからね」と眠そうな声が聞こえてきた

「すまん、おふくろ、とにかく太陽が昇るまでなんとか起きててくれ

携帯だけは傍に置いてておくれ」というと

「わかったよ、S子ちゃんと葵ちゃんをちゃんとお家まで届けておくれよ」と言われた

午前3時過ぎ

葵が目を覚ました

「パパ・・・おしっこしたいよ」と言ってきた

「よぉし、一緒に行こうか、トイレは自分でできるよね?」と聞いたら

「うん、できるよ、パパ、終わるまで待っててほしいんだぞ」と言われた

「OKOK」と言いながら結界の外へ出てトイレへ行った

まさか・・ということもあるからトイレの中にも塩とお薬を置いた

明かりは点けたままにしておいた

葵が用を出して出てきた

「パパ・・・終わったよ・・・

なにか・・・トイレの外で人の声がしたけど・・・近所の人なのかな?

葵、怖くて外を見なかったけど・・・」と外に何かの気配を感じたらしい

「おし、葵、居間へ行こうね」と葵の手をつないで部屋へ戻った

「葵、ママの後ろでまた寝るんだよ、ママを葵が守るんだよ、いいね」と言うと

「アタチ、絶対にママを守るんだぞ、わかったんだぞ」と返事をしてくれた

「葵、ママの傍で寝ててもいいからね」というと「うん」と言いながら寝てしまった

F子も相当疲れが出てるんだろう、よく寝てる

私はS君の横に座って

「S!、ちょっと起きてくれ

今さっき、葵をトイレへ連れて行ったんだけど

葵が外で人の声がしたというんだよ

まさか、とおもうけど、絶対に家の外へ出ないでほしい」というと

「え!そっか・・・結界が張ってあるんで中へ来れないんだな

あともう少しの時間で夜が明ける・・・

何ことも起きなきゃいいけれど」と心配そうな顔をした

ガタガタと玄関先で音がした

ビクッとしたが新聞配達が来たのかと思い耳を立てた

ガタガタと複数回音が鳴った

私はドアフォンのスイッチを入れて外の様子を見た

やはり誰もいない

ガタガタと音だけが鳴っていた

来たか!とおもいS君に「来たかもな」と伝えた

S君もドアフォンを見て

「ああーー来たな」と言ってモニターを消した

とりあえず今のところ家の外を徘徊してるんだろう

あらゆるところにお薬と塩を置いておいた

恐らく家の中まで入ってこないと思う

ガタガタの音が止んだ

さて・・次は何が起きるのかな?

もうすでに時刻は午前4時を過ぎている

季節は秋口

まだ外は真っ暗

午前5時を過ぎれば空が白々しくなる

F子が目を覚ました

「あーー寝ちゃった・・・アニキたちごめん・・・」

「お!起きたか、別にいいよ、寝てても」というと

「もうすっかり寝たから起きるよ

夢の中で私オアキちゃんとお話ししてた

アニキたち、外で人の声がしてたでしょ

餓鬼たち、家の外をうろうろとしてたみたい

オアキちゃん達が追っ払ったから

安心していいよ」と笑顔で話をした

よかった・・・もうそろそろ夜明けだ・・・

S子も目が覚めたようだ

「ううーー、よぉく寝たーー、あれ?ここ私の家じゃん

あれ・・・私・・・帰る途中で・・・あれれ・・・どうして私の家にいるんだろう」と

能天気S子復活した

「うわぁ!アニキたち!!なんでここにいるの?

あ!葵ちゃんまでいる

あれれ、F子ちゃんも・・・何かあったの?」ともうまさに能天気

私はS子に昨日のことを詳細に話した

はじめ、何を話しているという顔をしていたが

段々と思い出してきたのか

顔が真剣になってきた

「おっちーー、わたしのせいで・・みんなに迷惑をかけちゃった・・・

私が外へ飛び出さなければこんなことにならなかったのに・・・・

みんな、ごめんだぞ

わたし・・・」と言いながら頭を下げたまま立っていた

「S子!頭を上げて、もう無事に済んだよ

とにかくトンチンカン親父ががんばってくれたおかげで助かったんだよ

家に帰ったらおやじに礼を言えばいいさ」というと

いつもの笑顔が戻ってきた

「おっちーー、わかったぞ、義理父(パパ)に感謝するんだぞ

そして、パパ、ごめん・・・もっと料理をうまくなるようにおっちーがんばるんだぞ

義理母とママに料理を教えてもらうんだぞ

絶対においしいコロッケを作るんだぞ」と笑顔で言ってくれた

コ・・・コロッケかい・・・ほかにもいろいろと勉強してほしい

葵が目を覚ました

「あ!ママ、起きてて大丈夫なの?

アタチ、ずーとママを守ってあげたんだぞ」と葵はS子に向かって話した

「葵ちゃん、ありがと!ママね、葵ちゃんに守られてこんなに元気になったよ」と

S子は葵を抱っこしていろいろと話をしていた

そこにF子も加わり賑やかになった

S子ママとS子パパも起きたようだ

もう午前6時過ぎ

外は明るくなった

一応おふくろにも電話をした

「おはよう、こっちはなにもなかったよ

もう子供たち起きてて朝食を食べさせてるよ

葵ちゃんがいないと言って少し大慌てしてたけど

孫たちに事を教えたからね

拓ちゃんが一番心配してたね

葵がいない、妹がいなくなった、どうしよう、ってね

やはりお兄ちゃんだね、下の子をよく面等見てるからね

楓ちゃんも少し半べそかいてた

兄妹ってこんなもんなのかね

私は一人娘だからね

孫たちを見てるとうらやましくて仕方ないよ

あんたたちもさ、小さいころを思い出すよ

そっちは無事に終わったのかい?

そっか・・・よかった・・・早くお家へ帰ってくるんだよ

うちのトンチンカンがうるさいうるさい

じゃね」と言い電話を切った

おふくろ談をみんなに話した

とりあえず、S子と葵を連れて帰ることにした

結界の塩とお薬を除けないようにと言って帰宅をした

家に着いた

さっそくトンチンカン親父が出てきた

「おお!S子ちゃん!葵ちゃん、お帰り

あれ?F子ちゃんは?

おい!F!テメェーーF子ちゃんはどうしたんだよ?」と聞いてきた

うっとうしいーーー

「F子はS君と一緒だよ

S子の実家にいるよ」と言うと

「なにーーー!!!・・・後で迎えに行こうかな・・・」

「おい!何ブツブツ言ってるんだよ、2人の邪魔をしに行くことはないだろ」と親父の後ろにおふくろが立っていた

「いや・・・」と言いながら居間へ戻っていった

どう見たら・・・おやじ・・・本当に太陽系を作った神さまなのか?

どうみても・・・悪霊だろ

「ジイチャ・・・カッコ悪い・・・葵、将来、ジイチャの嫁になりたかったけど・・・

考えておくゥ・・・」と葵はションボリしながらテクテクと居間へ歩いて行った

おいおい・・・おやじのような人物を将来連れてくるなよ・・・

絶対に苦労するぞ

居間へ行くと

匠たちがふざけあっていた

葵を見て

「お!葵、おかえり!無事でよかった」と匠が言うと

「おおお、我が妹よ、お帰り」と仁が葵の頭をナデナデした

「葵!、お姉ちゃん、もう心配したぞ」と楓は半べそをかいて葵のそばに寄ってきた

「アタチ・・ママを守りたいがために・・・ママをちゃんと守ったんだぞ」と

大きな声で匠たちに話をしていた

「おっちーー、みんな、ごめんよ、みんな、ママが悪いんだよ

葵ちゃん、ずーとママを守ってくれてた、

じいちゃん、ありがと!

ばあちゃん、ごめんよ」と頭を下げていた

「おし!S子ちゃんが元気になった

今夕はFのおごりで回転寿司へ行こう!!」

とおいおいトンチンカン、勝手に決めるなよ

「わぁーーい、パパ、ありがと!」と真っ先にS子が大喜びした

おいおい・・・ちとまって・・・うちとS子の実家を含めたら・・・・

12人じゃねーか

どうみても軽く2万円は超える・・・・

・・・元の原因を作ったのは私だが・・・・

Concrete
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