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長編17
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縁側とオヤジの体験談

縁側を作ってから食事の後に縁側でくつろぐことが多くなった

リビングでゲーム機で遊んでいた匠と仁も縁側に座って景色をよく見ている

まぁ・・・ゲームばかりしてるので飽きてはいるんだろうな

もちろん娘たちも縁側に座っておしゃべりをよくしてる

中庭も見れて縁側の前には少しの空間があり今は葵が手作りの小さな庭を造っている最中だ

いろいろな花の種を蒔いたようだ

おふくろやS子も片づけの小休止のために縁側に来て座っている

ホッとできる場所

のんびりとできる場所だ

ジュースやお菓子を持ってきては各々自由に過ごしている

オヤジが来た

「お・・・みんな集まってるな・・・よっこらせ」と座り込んだ

「じっちゃ・・・今日のお話は何?」と楓がオヤジに今夜話す内容を聞いた

「まぁ・・・この話は・・しないほうがいいかな・・・」

「なに?なに?話してよ、じっちゃ!」

「まぁ・・・あれは・・・俺が中学校の時だったかな・・・まぁみんな知ってると思うけど

俺は中学校の時から喧嘩などをしてた不良だった

修学旅行の時だ・・・俺ら不良グループは旅館から抜け出してそこの繁華街を徘徊してたんだ

F!お前も知ってるだろ、酒屋のオヤジ、あいつも今はまじめそうなオヤジ面をしてるけどあいつも不良グループの一人だったんだよ」

「うそだろ!!そうは見えんぞ、オヤジ」

「まぁまぁ・・・あいつともう一人な・・・3人で繁華街の面白い場所かないかちょろちょろしてたんだけど

何分、俺らはまだ中学生だったから大人の店には入れなかった

でもな・・・ふと・・・奥のビルの方にある大人の店の入口が少し開いていたんだよ

俺らはもう舞い上がってしまってな

「入ってみようぜ」と酒屋が言ってきた

もちろん好奇心のかたまりの俺らだ

反対する奴は誰もいなかった・・・」とオヤジは淡々としゃべりはじめた

意外だったのは酒屋のおやっさんが不良だったことだ

信じられん

中坊が夜中に繁華街をうろついている・・・当時の大人たちにはどう見えたんだろう

玄関の方から音がした

「疲れた・・・・」

「玄関の明かりをつけろよ、F子!!」

「うん・・・」

「あれ・・・F子お姉ちゃんの声だよ・・・」

「あれれ・・・Sアニキ!リビングには誰もいないよ」

「廊下の明かりも消えてるし・・・・」

楓が客間から廊下に出てF子たちを迎えに行った

「あれ・・楓ちゃんだ、みんなはどこ?」

「みんなね、縁側にいるよ」

「あっ!そっか、縁側ね」

客間からS君とF子が顔を出した

「いた!いた!」

「おっちーー!!おひさなんだぞ、F子ちゃん」

「うん!!おひさ!!」

「Sアニキ!おひさ!、びっくりしたんだぞ

なんで帰ることを知らせてくれなかったのさ」

「俺はFに何度も連絡したぞ!!」

「え!?」私は慌ててスマホの着信履歴を見た

S君からの電話の履歴が3回ほど残っていた

スマホを見るとマナーモードになっていた

「あぁぁ・・・・悪い!マナーモードになってた・・・」

「アニキ!!!ダメじゃん!もう!!」

「ところで・・・東京で何かあったの?」

と私はS君に質問をした

「いや・・そのぉ・・・疲れただけだよ・・」

急に帰ってくること自体珍しい

「Sアニキ・・・ちゃんとみんなに言わなきゃダメだよ」

「まぁ・・・な・・・あのさ・・・

2週間前のことだ

仕事から帰ってきて飯を食って風呂入ってTVを見てたんだよ

時間は・・・夜中の1時ごろかな・・・

玄関のチャイムが鳴ったんだよ

「こんな夜中に誰だよ」とおもいつつ玄関の戸を開けたんだけど誰もいなかった

やられた!と思ったよ

ピンポンダッシュかい!!

くそ!と思いつつ玄関の戸を閉めた

10分後にまたチャイムが鳴ったんだよ

「またか!」と思いつつ玄関の戸を開けたんだ

もちろん誰もいない

くそっ!

そういうことが1週間続いたんだよ」

「ええええ!!1週間もかい

でも・・・夜中に1週間も・・・ちょっとおかしくないかい

1度も姿を見てないの?」

「そう!見てない!!チャイムが鳴ってすぐに戸を開けるんだけど誰もいないんだよ

絶対に後ろ姿は見えるはずだ

うちの部屋は一番奥にある

階段とエレベーターまでは20メートルある

どんなに足の速いやつでも後ろ姿は見えるはずだ

それが一度も見れなかった

もうな・・・完全に寝不足だよ

仕事中、眠くて仕方ない

集中力がないからボケボケの写真ばかりさ

しまいにはF子に怒られたよ」

「うん・・・どうもSアニキの様子がおかしいから聞いたんだよ

まさか・・・そんなことになってるとは知らなかったよ

私・・・疲れててすぐに寝てたからね

チャイムの音は聞こえてなかった」

「そっか・・・性質が悪いな・・・でも・・・まさか・・・ね」

「その線かな・・・とおもって帰ってきたんだよ

みんなに聞いてもらいたかったし・・・」

「S君!その線かもしれんぞ」とオヤジが割り込んできた

「おやっさん!!脅かしっこなしだよ・・・」

「あはははは!!!でも・・・人影を見てないのはおかしいだろ」

「たしかに・・・ありえるかも・・・」

「まぁ・・・S君・・・昼寝用の客室で寝て来いよ」

「そうするわ・・・おやっさん・・眠くて仕方ない」

そういいながら縁側から客室の部屋へ入っていった

「Sおじさん・・・大丈夫かな・・・顔がげっそりとしてたよ、パパ」

「だよな・・・まぁ・・・うちでぐっすり寝れば元気になるよ、楓」

「さぁて・・・えっと話の続き・・・どこまで話だっけ」

ピンポーンとチャイムが鳴った

一同びっくり

「誰が来たのかな?パパ」

「だな・・・誰だろう」

ピンポーンとまた鳴った

「夜分にすいません、酒屋です、○○(オヤジの名前)いるかい?」

「おおお・・・○○(酒屋のオヤジの名前)だ、珍しいな

俺が出るわ」とオヤジは中庭から直接玄関へ向かった

酒屋のオヤジとうちのオヤジが並んで縁側に来た

「奥さん、夜分にすいません、○○(オヤジの名前)に話をしたくて来ちゃいました」と酒屋のオヤジはおふくろの前で頭を下げた

「いいのよ・・・どうしたの?」

「実は・・・もう2週間前になるんですけれど・・・夜中の1時ごろに玄関のチャイムが鳴りまして「この夜中に誰だろう」と思いながら玄関の戸を開けたんですが誰もいなかったんですよ・・・はじめは気のせいかな・・・と思ってたんですが1週間も同じ時間帯にチャイムが鳴りまして・・・もうこれはピンポンダッシュに違いないと思いまして

夜中の1時ごろに先に玄関に立って鳴ったところですぐに玄関を開けてチャイムを鳴らした相手を見てやろうとしたんですが・・・・そのぉ・・・誰もいなかったんですよ

ほら・・私のお店は通りに面してるから必ず人が見えるはず

でも・・・誰もいなかったんですよ・・・もう私・・・完全に寝不足で・・・昼間は眠くて仕方ないんですよ」と酒屋のオヤジはくたびれた様子で話してくれた

よく見ると酒屋のオヤジもS君と同じで顔がげっそりとしていた

その話を聞いて・・・一同固まってしまった・・・S君と同じだ

「あのぉ・・・皆さん・・・顔が真っ青ですけれど・・・大丈夫ですか?」と酒屋のオヤジに言われた

「いや・・あのな・・○○(酒屋のオヤジの名前)

今さっきな・・・S君が帰ってきてな・・・おまえと同じようなことを言ってたのさ

それでみんなびっくりしてるんだよ」

「S君・・・・もですか・・・」

その時だ

ガラガラと玄関の戸を開ける音がした

一同・・・ピクンと体が反応した

「え・・・誰が来たのかな?・・・・」

「俺が見てくるさ」とオヤジは玄関の方へ向かった

オヤジが戻ってきた

「まただよ・・・誰もいなかったぜ

玄関のカギも閉まってたぞ」

またか・・・我が家はお化け屋敷

「じっちゃ!!まただよ」と楓がオヤジに話した

「しょうがないさ・・・楓ちゃん」

酒屋のオヤジはキョトンとしていた

「まぁ・・・落ち着け・・・みんな座れ」とオヤジは強い口調で言った

オヤジに促されて全員座った

時間は夜の10時を過ぎていた

「よく聞くと酒屋とS君は同じ現象にあってる

偶然にしてはおかしい

どこかで繋がってるはずだ

まぁいまは原因はわからないがいずれ相手の正体はわかるはずだ

とりあえずは普通にしてればいいさ

夜のチャイムはわしとFが対応するからな

子供たちは絶対に出ちゃダメだぞ」

「うん、じっちゃ、わかったよ」

「それと夜9時以降の外出は禁止だ

もし外へ出たいのであればわしかFと一緒だぞ」

「うん・・・でも・・・お友達と遊んでいたら時間なんかすぐに過ぎちゃうよ

夜の9時までに帰れればいいけどさ」と匠が文句を垂れた

もっともな意見

何かに夢中になっていれば時間はどんどん過ぎていく

「なんか・・・とんでもない問題をわしは持ってきてしまったかな・・・

まぁ・・・帰るわ」と酒屋のおやじは頭を下げて帰って行った

このチャイム魔は人間ではない

タイミングよく相手の姿を見られればいいのだが

一体どういうことか?

一見・・・S君と酒屋・・・接点がないように思える

いや・・かならず何かしらの接点があったはずだ

「あのさ・・・F・・・思い当たるといえば

おやっさんに酒を買いに行かされたことだけだよ

たしか・・・1か月前だったかな・・・

酒屋のおやじさんと会ったのは・・・」

うむ・・・単なる客としての接点かぁ・・・

「そっかぁ・・でもな・・・そこで何か起きなかったの?」

「え・・・もう1か月前のことだよ・・・え・・・何かあったかな・・・

あ!!・・あったな・・・

あのさ・・・思い当たる節といえば・・・

酒屋にたしか・・・中学生位の男の子がうろついてたな・・・

おそらく親から言われて買いに来たんだと思うけど・・・

会計の時に・・・俺さ・・・その中学生が支払いをしてる時に割り込んだんだよ

こっちも早く帰りたい一心だったからさ

今思えば大人気のない行動をしたよ

それで割り込んで俺さ会計をしたんだよな

その時に中学生から「おじさん!割り込みはダメだよ、僕が先に支払ってんだからさ!」と言われたような記憶がある・・・

俺さ・・「悪い悪い!すまんな、急いでるんだよ!」と言い訳をしたような気がする

相手が大人だからその中学生は諦めたのかも・・・それ以上何も言わずに会計を済ませて店から出て行った

あとは・・・・記憶がない・・・・

その日以降は酒屋の親父さんとは会ってないし・・・

やはり・・・どう思い出しても割り込みの件しか思い浮かばない

それが・・・原因で・・・ピンポンダッシュ・・・どう考えても繋がらないけどな・・・」

「そっか・・・酒屋の親父さん・・・その子は誰なのか知っているかな・・・」

翌日に電話で

私は酒屋のオヤジさんに聞いてみた

「・・というわけで・・・その子は誰なのか知ってますか?」

「あぁ・・・あの子は隣町のお得意さんのお子さんだよ

たまに注文があるんだよ

でも・・・珍しいことだよな・・・いつもは電話で済ませでるんだけどな・・・

たしかに・・S君・・割り込みをしてたな・・・

一度御用聞きをしてくるよ・・・」

2時間後に酒屋の親父さんから電話がきた

「F君・・・大変なことがわかったよ・・・

あの子・・・お得意様のお子さんな・・・交通事故で亡くなってたよ・・・

それもな・・・あの日の帰り道の途中で車にはねられて死んでたんだよ

これで全て繋がったよ・・・

それでな・・・親からその子の癖というか・・・趣味?というか・・・」

「繋がりましたね・・・趣味とは?」

「うん・・・あの子・・・ピンポンダッシュをたまにしてたようだよ」

「えええ・・・趣味というべきかな・・・単なるイタズラだよ

これで全て繋がったよ・・・そっか・・・でも・・・割り込んだだけで・・・

あの性質の悪いことをするのかな?

なんかなぁ・・・」

「わしもそうおもうよ・・・割り込まれて怒ってたのかな・・・

S君との接点といえば・・・それしか思い浮かばないんだよな・・・

なにか割り切れないよな・・・・

何か言いたいことがあったんだろうか?」

「どうだろう・・・「チャイムが鳴ってすぐに外を見た」と話していたけどね

何か言いたいのであれば・・・そこにいてほしいけれど・・・・」

「まぁ・・・成仏はしてないってことかぁ・・・・」

「ですよね・・・」

何か割り切れないモヤモヤとした感じ

オヤジに電話でのやり取りを話をした

「そっかぁ・・・でもなぁ・・・しっくりこないんだよな・・・

なんだろうな・・・このモヤモヤ感は・・」

オヤジも同じように思っていた

直感的にそのピンポンダッシュは中学生じゃないような気がしてる

リビングにはオヤジと私しかいない

いつもの如く外からは人の声や車の走る音で少しうるさい

時計を見たもうそろそろ0時だ

だんだんと眠気が襲ってきた

オヤジも同様で今にも眠そうな顔をしている

「オヤジ!もう寝ろよな」

「そうだな・・・眠くて仕方ない・・・ここで寝る・・」と言ったとたんに寝てしまった

私もウトウトしてきた

ふと・・・思い出した

オヤジの悪友は3人だっけ・・・あと一人は誰だろう?

話の途中で酒屋のオヤジさんが来たからその続きが気になる

TVを点けた・・・やはり・・・下らんものばかり・・・

0時を過ぎると本当に静かになる

TVを消した

0時も30分が過ぎた

冷蔵庫から冷えたコーヒー缶を取り出してきてポテトチップスを食べようとしたときに

ムクッとオヤジの体が起き上がった

びっくりしてコーヒーを吹き出しそうになった

「おい!オヤジ!!なんちゅう起き方をするんだよ、もう少しでコーヒーを吹き出すところだったぞ!!」

「そっかい!残念だったな!」

「オイオイ!!!」

「ふと思い出した・・・あのさ・・・だいぶ前に・・・俺が中学生の時に修学旅行の話をしてたよな」

「え・・・あっ!そうそう・・・してた・・・

俺も気になってた・・・あれからオヤジ達はどうしたんだよ?」

「あれから・・・俺らな・・・その開いていた入口に行ってな・・・

中を覗いたんだよな・・・

中は電灯がついていなくてな・・・真っ暗け

でも・・・中からヒソヒソと話し声が聞こえてきたんだよな

それでな・・・もう一人の・・・酒屋のオヤジじゃないぞ・・・えーーとあいつの名前・・・あかん・・・思い出せん・・・まぁ・・いいや・・・そいつな・・・

勝手にその声をするほうへ行こうとしたんだよ・・・俺と酒屋のオヤジは「やめておけ」と言ったんだが・・・そいつ・・・俺らの制止を無視して・・・隣の部屋へ・・・

俺らも後からついていったんだけど・・・その声は隣の部屋から聞こえてた

そいつが・・・そぉーーと部屋を覗いたんだよ・・・

そしたらそいつ・・・動きが止まって硬直したんだよ・・・

そいつな「誰もいないぞ」と首だけをこっちへ向けて話しかけてきた

「うそつけ!」と俺は言ったんだけどな

「うそじゃねーー、お前自分の目で確かめろや」と言ってきたんで

俺も部屋を覗いたわけよ

そしたら誰もいなかった・・・

「いない・・・」

「だろ!」

確かに隣から声はしてたんだよ

そいつな・・何を思ったのか・・・部屋へ入りやがった

「おい!!誰がいるんか!出てこいや」と大きな声を出しやがった

もちろん返事はなかったよ

「おいおい・・・やめろよ」と酒屋のオヤジが止めたけれどな

「うるせーな、お前らも聞こえてたろ!」

「聞こえてたよ」と答えたさ

「部屋には誰もいねーぞ、どういうこった?」

「しらねーよ・・・」

「もういいだろ・・・部屋から出ようぜ」

と言った時だよ

その部屋のドアが勝手にしまってな

俺らびっくりしたぞ

「おい!!誰がドアを閉めた?」

「いや、誰もドアなんぞ、閉めて無いよ」

そしたらな・・・ドアの外から声がしたんだよ

俺ら3人・・・もう限界がきてな・・・

猛ダッシュでドアを開けてそのビルから逃げたよ

逃げるときになんかチャイムが鳴ってたような気がしたんだよな・・・

もう3人パニックになってて一目散に旅館へ逃げたよ

もう寒気はするわ

気持ち悪いわで・・・結局その日は寝れなかったぜ

あいつ・・・名前が思い出せん・・あいつな・・・熱を出してな

その旅館で泊まることになった

俺らは次の日が帰る日だったからそのまま帰ったけれどな

そういえば・・・あいつ・・・あれ以降・・・学校へ来てなかったな

俺らはてっきり引っ越しをしたんだと思ってた

あいつ・・・1学期の途中から来たからまた引っ越しをしたんだろうと酒屋のオヤジと話をしてたな

あれから音沙汰無しだ・・・・今頃何をしてるんだろう」

オヤジの話を聞いてる時に私は背筋にゾクッと嫌な感じの寒気を感じた

「オヤジ・・・その「あいつ」の名前を思い出せないのか?」

「あぁ・・なにせ短い間だったからな・・・なぜかあいつとは気が合ってな・・・

あぁ・・そういえば・・あいつとは何のきっかけで話をしだしたんだろ・・・

うう・・・あ!!!思い出したぜ!!あいつ!!イタズラ好きなやつだった

女子のスカート捲りやかっぱらい、ケンカもしてたな

あいつ、逃げ足だけは速かったな

「すげぇーー悪だな」と感心してた

あいつ、朝早くや夜遅くよその家のチャイムを鳴らして逃げるということを自慢げに話してた

「俺よ、1回も見つかったことないぜ、すげぇーだろ」と自慢してた

「ピンポンダッシュ」・・・・えええええ・・・・まさか・・・」

「おい!オヤジ・・・」

「あぁぁ・・・繋がった・・・あいつかもしれんな・・・」

「でも・・・S君のマンションの部屋は一番奥でエレベータや階段は20メートル先だよ

いくら逃げ足が速いといっても後ろ姿は見えるはずだよ

というか・・・もう大人だろ・・・そんなバカなことするかな・・・」

「だよな・・・ちょっとまてよ・・・明日、酒屋のオヤジに聞いてみる」

なんとなく繋がった・・・

翌日にオヤジは酒屋のオヤジに聞いたらしい

酒屋のオヤジも「あいつ」という連れの名前を忘れていたようだ

私は気になりつつ会社へ行った

昼間も気になってて仕事ところではなかった

残業で夜の9時ごろに家に帰った

もう子供たちは夕食を済ませて遊んでいた

私が帰ってからすぐに匠と仁は自分の部屋へ行ってしまった

遅い夕食を一人で食べた

オヤジは夕食時にだいぶ酒を飲んだらしくいびきをかいてソファで寝ていた

「じっちゃ・・・飲みすぎなんだぞ!!」と葵がブツブツと言ってた

「すいませーーん、酒屋です、こんばんわ」と玄関から声がした

楓が素早く玄関へ行った

「パパ!!酒屋さんだよ!!」と玄関から楓が大きな声で私を呼んだ

私は玄関へ向かった

「F君、オヤジはどうした?」

「オヤジなら酒を飲んで寝てますけれど」

「そっか・・・寝てるのかい・・・出直そうかな・・・」

「おい!!俺は寝てないぜ、さぁ、あがれよ」と後ろからオヤジの声がした

「オヤジ!寝てたんじゃないのか!」と私は後ろを向いて驚いた

「あぁぁ・・・お邪魔するよ」と酒屋のオヤジはリビングへ行った

リビングにはおふくろとS子が後片付けを終えておしゃべりをしてた

「奥さん、夜分にすいません」

「いいのよ、遠慮しなくてもいいわよ」とおふくろは答えた

「パパ!私たちは寝るね」と楓は葵を連れてリビングから出て行った

「私たちもそろそろ寝るわね、F、早く寝なきゃダメだよ」とおふくろはS子と一緒にリビングから出て行った

「あのさ・・例の「あいつ」な・・・他の同級生にも聞いたんだが・・・

誰一人思い出せなかったんだよ

あの時の同じクラス全員に聞いたんだよ

「あいつ?いったい誰のこったよ?え?名前?知るわけねーだろ」と言われてな

俺も名前を思い出せんし・・・

もちろん担任にも聞こうとおもったけれど・・・今じゃ認知症で施設に入ってて無理だった

それでな・・・思い出したんだよ・・たしか・・店の手伝いで一回だけあいつの家へ酒を届けたことを思い出したんだよ

あいまいな記憶を頼りにあいつの家へ行ってみた

もちろん今はほかの人が住んでた

ちょっと勇気がいったけれど思い切って今住んでる人に以前住んでいた人の話を聞いてみた

そしたら・・・その住人の人は以前の住人のことを覚えててな

家が売り出していたからその家の様子を見に来て以前の住人の人と話をしたんだとさ

いろいろと話を聞いたらしく

俺はその以前に住んでいた家族に子供はいなかったか聞いてみた

そしたらな・・・」と酒屋のオヤジの目から涙が溢れてた

「おいおい・・・どうした・・・」

「いや・・・ごめん・・・ついつい・・・そいつな・・・名前を○○○○と言ってな」

「ぁぁ!!!!思い出したぜ!!!あいつの名前!!そうそう!そういう名前だった」

「俺も名前を聞いて思い出したんだよ・・・そいつな・・・」

「どうした?・・・」

「もう亡くなってるんだよ・・・」

「え・・・亡くなってる?・・・」

「そう・・・あのな・・・例の修学旅行・・・あいつ熱を出して俺たちと一緒に帰れなかったろ」

「たしかに・・・」

「あのさ・・・俺らが帰ったその夜にすごいことになってたんだよ」

「すごいこと?どうしたんだよ?」

「その夜にな・・・すごい高熱でうなされてな・・・「奴が来る・・・奴が来る」とうわごとのように叫んでいたらしい

もちろん旅館の人は慌てて医者を呼んだみたい

医者が来て診てもらったんだが・・・「原因がわからん」と言ったらしい

一応熱を下げる薬を飲ましたけれど吐いてな・・・

吐いたときに血も吐いたみたい

畳一面血と嘔吐物ですごい悪臭がしたんだとさ

痙攣がはじまって・・・「俺じゃない!チャイムを鳴らしたのは俺じゃない、俺じゃ・・・」とすごい形相で天井を見上げて目を見開いたまま意識を失ったらしい

医者もびっくりしてたらしい

とりあえず救急車を呼んで病院へ運んだ

集中治療室へ運ばれてな

いろいろな検査をしたけれど原因が全然わからないと言われたらしい

抗生物質や熱を下げる薬など与えたけど効果なし

だんだんと顔の様子がおかしくなってくるのを医者が見て

吐いたんだとよ

顔がどんどん皺が増えてまるで老人のような顔になっていった

とても14歳の子供の顔じゃない

どう見ても80歳代の年寄の顔になっていったらしい

体もどんどん細くなり・・・骨と皮になったらしい

運ばれてたった2時間で・・・80歳代

ありえん

うわごとのように「俺じゃない・・・俺は・・・」と言い続けていたらしい

3時間後に死んだそうだよ

死因は不明だけれど「老衰」ということになったらしい

14歳で老衰!?

その話を聞いてて「マジかよ」と思わず俺さ叫んでしまったよ」

酒屋のオヤジの話を聞いていて背筋がゾクゾクと寒気がした

オヤジも同じく「背筋が寒い」と言ってた

14歳で老衰・・・ありえんだろ

「祟りかな・・・」とオヤジがボソッとつぶやいた

「おいおい・・・滅多なこと言うなよ、オヤジ

オヤジ・・・何か思い当たる節があるんじゃないのか?

今回のことじゃないぞ、以前にもなにかあったんじゃないのか?」

「いや・・別に・・・」

この言い方は必ずなにかある

「まぁ・・・そのぉ・・・とりあえずは・・・こういう顛末だったらしい」

酒屋のオヤジも動揺したような感じがした

どうもうさんくさい

この悪仲間3人組はなにかあったんじゃないのか

今回のような結果を生んだ背景には必ず以前に何かあったはずだ

うわごとに「奴が来る」「俺じゃない」とはどういう意味だろう

「パパたち・・・玄関でチャイムが鳴ってたよ?」

「え?チャイム?全然聞こえて無かったよ」

「うそぉ!!私たちチャイムが鳴ったような気がして起きたんだよ

そしたら玄関のチャイムが鳴ってたよ」と楓が教えてくれた

葵も楓の手を握ってうなづいていた

「あたちも聞こえたんだぞ!じいちゃんから「チャイムが鳴っても出たらだめだぞ」と言われてたから来たんだぞ!」と葵も同じことを言いだした

全然聞こえなかった

「ああぁ・・もうこんな時間かぁ・・・わしは帰るよ・・・おい○○(オヤジの名前)・・

じゃあな!」と言い帰って行った

時計を見たらもう午前1時過ぎだ

「さぁさぁ娘たちよ、ありがと、寝てもいいよ」

「うん・・・でも2階へ行くの怖い・・ここで寝てもいい?」と楓が何かに怯えてるようだった

「ソファで寝るといいよ」と答えた

「パパたちがいるから安心して寝れる」と楓は葵と一緒にソファで横になった

「俺も寝るわ」とオヤジはリビングから出て行った

私は椅子に掛けて今回のことをあれこれと考えているうちに寝たようだ

Concrete
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