長編11
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「夢」の誕生会

春の日差し

寒い冬も終わり朝晩の寒さも和らいできた

スタジオ兼自宅のS君たちの新居

久しぶりに家族全員が集まりF子の誕生パーティを行った

もちろん和尚様夫婦も呼んだ

「どんどんF子お姉ちゃん、綺麗になっていくね、ママ」

「おっちーー!!そうなんだぞ、不思議なんだぞ!!」

S子と楓の会話を聞いて改めてF子を見た

もともと顔たちがくっきりしてるのもあるが北欧の女性みたいな風貌も備えたような不思議な顔たちになってきた

まぁ・・・化粧が濃いといえば・・・怒られるかな

「F子・・・ますます私の母親にそっくりになってきてるわね・・・」とおふくろのため息

「この前もF子とおしゃべりしたけどまるで娘じゃなく私の母親と話してる気分になったのよ」とおふくろ

「ありがとう、みんな、ママ、パパ、アニキたち・・・」と満面な笑顔で頭を下げた

「ますます綺麗になってるですわい、F子さん・・・」と和尚様もびっくりした顔

誕生パーティから3日後S君から電話があった

「大至急、来てくれ」とのこと

私は仕事を終えた後、そのままおふくろの屋敷へ向かった

「ごめんな、疲れてるだろ・・・」とS君

「まぁね・・・なにかあった?」と聞いた

「あのな・・・昨日の晩・・・夢!?・・・リアル!?・・よくわからんけど・・」

話を聞くと

撮影が終わり、2人でくつろいでいた

睡魔が2人を襲ってきたのか同時に眠ってしまったらしい

周りで人の声がするので目を覚ますと大勢の人が周りにいた

部屋の様子はたしかにスタジオの部屋なのだが家具類は見たこともない部屋になっていた

人々の服装を見ると何かのパーティなのかパーティ衣装を着ていた

「これから本館で奥様の誕生パーティを開催します」というアナウンスを聞いた

もちろんS君やF子も人の後についていった

本館はおふくろが使っている本館だった

ロビーには大勢のお客が談笑していた

「おい・・・F子・・・ここって・・・おふくろさんのところだよな・・いつ・・おふくろさんの誕生会をするって聞いた?」

「アニキ・・・私は知らないよ・・・初耳・・・ママがみんなに黙って誕生会などするわけないと思うけど・・・」

「そっか・・・」

会場に入ると白いテーブルを正方形の形に並べてその上には料理がたくさん置いてあった

いわゆるバイキング方式で自分たちの気に入った品を決めて各々食べていた

「どれどれ・・・おぉお、ワインじゃねーか」

「アニキ・・・駄目だよ・・・」

「よっいしょ・・う・・・うめぇーー、香りもいい匂い!味もまろやかだぞ」

「アニキ!!飲みすぎぃーー」

「すごいな・・・すごい数の料理だぞ・・・F子」

「うん・・ママの誕生会でこんなの初めて見た」

「でもな・・・客の顔触れは全然知らない人ばかりだぞ」

「だよね・・・ママの会社関係者が多いのかな・・・でも・・・パパやFアニキ、S子ちゃん、葵ちゃんや楓ちゃん、仁君、匠君はどこ?」

「そういえばいないな・・・」

「うめぇ・・ありゃりゃ・・・もう空っぽ・・・」

「え!?もう全部飲んだの?アニキ・・・」

「もう1本見っけ・・・後で飲もう・・・どこかに隠してくるよ」

「もう!!アニキ!!」

((皆さん、お静かに!!只今から奥様の誕生会を開催します))とアナウンスされた

「アニキ・・・いよいよ始まるみたいだよ」

「うん・・・」

((でわ・・奥様の来場です!!拍手を!!!))

扉が開き女性が出てきた

「ママが出てきたよ・・・」

「だな・・」

((皆さん!!お忙しいところ私の誕生会のお祝いにご出席いただきありがとうございます!・・・・))

「え!・・・ママの声じゃない・・アニキ」

「確かに・・・一体あの人は誰だ?」

「遠くてよく見えないね、アニキ、もっと前に行こうよ」

「そうだな」

2人はお客の間をかきわけながら前列へ行った

2人は改めて壇上に立っている女性を見て驚いた

「え!・・・誰?・・ママじゃない・・・」

「だよな・・・もう少し前へ行こう」

「うん」

さらに前へ出て壇上の女性を見た

「ええ・・・私!?・・・」

「うわぁ!!なんで、F子がいるんだ?え?・・・」

2人ともお互いの顔を見てあらためて壇上を見た

2人とも絶句した

壇上に立っていたのはF子とそっくりなのだ

年頃も同じような感じ

「うそ!!・・・なんで私がいるの?」

「わからん・・・」

その時に壇上にいた女性はS君やF子たちを見た

壇上の女性はF子に気づきびっくりした顔になった

そこから・・・・目が覚めてしまった

「不思議なのは俺とF子が同じ夢を見たことだよ

目が覚めてリビングで夢の話をしたらF子も同じような夢を見ていた」

「そう!Fアニキの言う通り!!私、びっくりしたよ、同じ夢を見てた」

「へぇ・・・偶然じゃない?」と私は冷静な声で言った

「いや・・夢の内容が2人とも同じってことは確率的にないだろ」

「まぁ・・・そうだよな」

「それにな・・妙にリアル感があったんだよ」

「うんうん!アニキの言うとおり、夢の中で匂いとか空気感ってないとおもうけど

その夢ではまるで現実の世界と同じ感じだったよ」

「そう!俺さ・・・ふとテーブルを見たらワインが置いてあった

それを頂戴してグラスで飲んだわけよ

そしたら美味しくて!!俺、一人、1本飲みつくしたさ」

「そう!アニキ、ワインをどんどん飲んでたよ・・・だから目を覚ました時にアニキ、酔ってたんだよ」

「そう!F子の言う通り、目を覚まして起き上がろうとしたら目まいがしたよ

なんか酔ってるという感覚はあった」

「あーーそれと・・・2本目のワイン・・・どこに隠したかな・・・思い出せない」

「おいおい・・・夢の話かい・・勘弁してくれ・・・今日、残業があったのに・・」

「でも・・・アニキ・・・夢でも・・・2人が同時に同じ夢を見るなんでおかしくない?」

「まぁ・・・確率的には0%だな・・・」

「でしょ・・・アニキとその夢の話をしてて・・何か普通の夢と違うんじゃないかと思って・・・それに・・・私・・・あの夢の中で壇上にいた女性って・・・私、そっくりだったし・・・それが一番気になる」

「壇上の話・・・何を話をしてるの?」とおふくろが割り込んできた

「ママ!!あのね、アニキと同じ夢を見たのよ」とF子は夢の話をお袋に話をした

「へぇ・・・2人が同時に同じ夢を見るなんでね・・・F子にそっくりな人ね・・・

ちょっと待ってて」とおふくろは足早に部屋から出て行った

「まぁ・・そのぉ・・・単なる夢だよ・・・思いすぎだと思うよ」

「もうぅ!!アニキは本当に無関心すぎる」

「あぁ・・あったわよ・・・」とおふくろが戻ってきた

「えーーと、これこれ・・・Sちゃん、F子、この写真を見て」

おふくろは持ってきたアルバムの中の写真をS君やF子に見せた

「あーーー!!!この人だよ、間違いない、ママ!!」とF子はびっくりして大きな声を出した

「間違いないっす!!おふくろさん、この人だ!」

「だとおもった・・・話の内容とF子にそっくり・・・ピンときたのよ」

「ママ・・・この人は誰なの?」

「この人は私の母だよ、若い時のね、まだ結婚したばかりだと思う」

「えええぇーー、おばあさまなの!!うそぉーーー」

「まじかよ!F子にそっくり!!」

「おばあさまに私、そっくり・・・信じられない」

「私もね・・今のF子を見てると本当に母と話してる気分なのよ」

「ママ・・・」

「お~~い、お・・何だ・・・みんな集まってよ」

オヤジが来た

「おーーと、それよりもな・・・うめぇ酒を見つけてきたぜ!!」

「え!?・・酒?おやっさん、酒って?」

「これよ、これ、ワインだぜ!!これがうめぇーーのよ」

オヤジは片手にワインを持っていた

「お、お、お、おやっさん!!それ!!、それだよ」

「なにが?・・このワインがどうした?」

「夢で俺が隠したワインだよ!!」

一同、びっくり

オヤジ以外はね

「うそだろ、S君、夢の酒が出てくるわけないよ」

「いや、間違いない、このワインだよ、おやっさん、それ、俺のワインだよ、返してくれ」

「え!?・・・このワイン・・・美味しいから嫌だ!!」

「おやっさん!!返してくれ」

「イヤダ・・・」

子供かっ!

「オヤジ、それS君のワインだよ、返せよ」

「嫌なこった!こんなうまい酒を手放すわけにはいかん」

「いい加減にしろよ、オヤジ!」

「うるせーー、F!しばくぞ」

「しばってみろよ、オヤジ!!」

と言った瞬間にオヤジの拳が私の頬を殴った

私は気絶した

「う・・・ん、騒がしいな」

私は周囲が騒がしいのに気づき体を起こした

「あ・・・イタタ・・・マジでオヤジ殴りやがった・・・」

頬に手を当てた、腫れてる

私は体を起こして周りを見た

人がたくさんいる

私は起き上がりあらためて周りを見た

どこかの会場だ

人々が集まっていた

何の集まりだろう?

人々が部屋の奥へ入っていった

私もついていった

((皆さん、お静かに!!只今から奥様の誕生会を開催します))とアナウンスされた

え・・誰かの誕生会なのか

((皆さん、お静かに!!只今から奥様の誕生会を開催します))とアナウンスされた

((でわ・・奥様の来場です!!拍手を!!!))

遠くて見えない

誰の誕生会だろう

私は前列へ行った

あれ・・・あれは・・F子とS君じゃないか

私はS君の隣に立った

「S君・・・」と声をかけた

だが・・・S君は顔をこっちに顔を向けずに無視をした

無視かい・・・

「F子!!」と今度はF子に声をかけた

F子もS君、同様に私に気づいていないようだった

どういうことだよ・・・

S君とF子が何かを話してた

S君とF子がお互いに顔を向けて何か不思議そうな顔をしてた

そのまま壇上の上を向いたので私も壇上を見た

絶句した・・・・

壇上に立っていたのはF子にそっくり・・・

え!?・・・これってもしやS君が言ってた夢の話なのか・・・

「アニキ!!大丈夫?アニキーー!!」とF子の悲痛な声を聞いた

「アタタ・・・」

「おい、F、大丈夫かい!!」

私は目を覚まして周りを見た

S君やF子、おふくろが心配そうに見ていた

「大丈夫かい、F・・」とおふくろが今にも泣きそうな顔をしていた

「あ・・・」

「あぁ・・・」と言いながら上半身だけ起こした

「よかった・・・アニキ・・・パパに殴られたのよ、そしたら倒れちゃって・・・」

「おやっさん・・・無茶苦茶だ・・・」

「オヤジは?」

「おやっさん、一目散に逃げたよ」

「そう・・・サイテーー、パパ、咄嗟に逃げた」

「あいつ!!絶対に許さん!!見つけたらコンコンと説教するわね、F」とおふくろは怒っていた

気絶をしてる時に私は夢を見ていたのか

「夢を見てた・・・それもS君やF子が見てたのとそっくりの夢」

「え・・・うそだろ・・・」

私は夢の内容を話した

「間違いない・・・同じだよ、F・・・ありえん・・・3人が同じ夢を見るなんで・・・」

「アニキ・・・この夢の主旨はなんだろう・・・何を言いたいんだろう・・・

3人が同じ夢を見るって何か意味があるのかな・・・」

キーワードはずばり「F子」なのだ

「夢の中で共通するものは・・・ずばり「F子」だよ」

「え!?私!?・・・どういうこと?」

「まず、「誕生会」「おばあさま」「F子」

んで・・・おばあさま=F子、顔がそっくりで結果的に「F子」になる」

「なるほどな・・・」

「でも、私として私に何か意味あるの?」

「わからない・・今後、何かが起きるのかもな・・・」

「おれもFの言う通りな気がする・・・」

「でも・・・夢の内容はそんなに悪くはなかったよ、アニキ達」

「そう・・・単なる誕生会だったからね・・・」

「誕生会・・・ちょっと待っててね」とおふくろは部屋から出て行った

おふくろが戻ってきた

「これね・・・母の遺物を整理してて処理せずに残してたものよ」と

古いアルバムを手に持っていた

「これ・・・母の写真ばかりのアルバムなのよ・・・もしかして・・・誕生会の時の写真があるかも・・・」

「ありえるかも・・・おふくろ」

アルバムは祖母が10代の時の写真や家族写真など

普通の写真ばかりだった

「しかし・・・古ぼけてても・・・おふくろさんのお母さんって・・・綺麗だよな・・・」とS君がボツリと言った

「確かにね・・・母のアルバムを見たのははじめてだけど・・本当にF子にそっくり・・・

」とおふくろもびっくりしてた

「ママ・・・でも・・・私っていうか・・・オアキちゃんにそっくりだと私は思うよ・・・

凛とした顔はオアキちゃんだからね、私はそこまで凛とした顔じゃないし・・・」

「わたしはオアキちゃんには一度もあったことがないからわからないけど・・」

「あぁ・・確かにな・・・オアキちゃんにもよく似てるよ・・・というかオアキちゃんだよ」

「そうかい・・・」

S君は慌ててオアキちゃん19歳の時のスマホの画像をおふくろに見せた

「おふくろさん・・・オアキちゃんが19歳の時の写真」

とS君はスマホの画像をおふくろに見せた

「え・・・母じゃないの?Sちゃん」

「違うよ、オアキちゃん」

「凛として綺麗だわね・・・この人が私の祖母にあたる人なんだね・・・不思議と何か身近な感じ・・・はじめて見たのに不思議な感じだね」

「オアキちゃんがキーワードなのか・・・何か天国で異変が起きてるのかな・・・」とF子は天井を見た

「一応・・・警戒はしておいたほうがいいよな・・・とりあえずはこの館や本館はお守りを置いてあるし・・・大丈夫だと思うけど・・・」

「この館のセキュリティーは万全だと思う・・・心配なのはこの2つ以外の館と敷地内だよ、

すべての個所にお守りを置けない・・・物理的に無理・・・暇なときにこの敷地内にある館を全部調査すべきだな、おふくろ」と私は提案をした

「そうだわね・・・火事の件もあるし・・・ここの敷地内の館は全部で10ほどあるのよ

一つは火事で焼失したけど・・・特に北側のあの館から調査をしたほうがいいかもと思う

FとS君で暇なときに調査をしてほしいわね」

「そうするよ、おふくろ・・・オヤジにも協力してもらわなくちゃな・・・」

「あいつかぁ・・私から言っておくわね、F」

「それと・・・楓も・・・巻き込みたくないな・・親としてはね」

「楓ちゃんの能力は完全に私を超えてるよ、アニキ

もしかしたらパパのレベルに近いかもね・・・」

「楓ちゃんを巻き込むのは私も賛成しかねるよ・・大事な孫を危ない目に遭わせたくはないよ」

「楓は・・・最後の切り札として・・・「最後の切り札」という言葉は嫌な言葉だな・・」

「私・・も・・・能力は低下したとはいえ何かしら・・・何かをこの館で感じる時があるよ、アニキ達・・」

「え!?・・・マジかよ、F子・・・俺は全然感じないぞ・・・夜なんか静かでよく眠れるし」

「そう・・・静かすぎて・・・耳というか何かの感覚が研ぎ澄まされて・・何かを感じる時がある」

確かに静かだと思う

夜になれば使用人も帰るし残るのはS君とF子の2人だけ

まぁ・・・敷地の中と外には警備員がいるけどね

本館も誰もいなくなる

泥棒が侵入してくることはほぼゼロに近いけど入ろうと思えば誰でも敷地内には入れる

本館とこの館、南側のエリアは1時間に1回ほど警備員による巡回はしている

後のエリアは完全に手薄

餓鬼どもも北側から侵入してくる可能性は高い

この広い敷地内に10もの建物がある

こりゃ時間がかかりそうだ

でも・・・F子が何かしらの気配を感じているのなら調査は早めにしないといけない

Concrete
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