興奮した感じで楓と葵が帰ってきた
「ただいまーーー」
「ただいまなんだぞ」
「ママ!!葵が!!!」
「おっちーー!!葵ちゃんがどうしたの?楓ちゃん!!」
「ママ!!なんと!葵にお友達ができたよ」
「おっちーー!!うそぉーー」
楓が興奮してS子に話してきた
話を聞くと楓と葵は近くにある公園へ2人で遊びに行った
すると母親と小さな女の子がやってきた
その小さな女の子は葵と同じ年頃だという
その小さな女の子も幼稚園や保育園へは行っていないと母親が話したとか
楓が「妹の葵も通っていない」と言うと母親は少し驚いたという
その小さな女の子は人見知りが激しくなかなか人と話すのが苦手だとか
ましてや集団の中になかなか入れずにいつも一人だという
はて・・・どこかで・・・一人いたな・・・人見知り・・・あぁぁ・・・F子だ
今じゃ・・完全にS君を尻に敷いてやりたい放題してるけど・・・
「えぇ・・人見知りなんだその子は?」
「うん、パパ、そうだよ、その子・・・うつむき加減で・・・小さな声しか出してなかったよ・・・」
「そうなんだぞ、カナちゃんは人見知りなんだぞ!!」
「カナちゃんと言うんだね、葵」
「そうなんだぞ!カナちゃんは小さな声しか出せないんだぞ」
「そっか・・葵・・・カナちゃんを大事にしないとダメだぞ」
「うん!大事にするんだぞ」
そっかそっかよかった
さて・・・その葵のお友達が我が家に遊びに来た
母親と一緒にカナちゃんは遊びに来てくれた
母子家庭だということだ
いつもカナちゃんは家に一人で留守番してるという
これを聞いたおふくろは
「お母さん!カナちゃんを一人で留守にするのはよくないわよ
ウチのほうでカナちゃんを預かるから」と言うと
母親はびっくりした顔ではじめは遠慮していたがおふくろの説得で母親は頭を下げ「お願いします」と言ってくれた
カナちゃんも少し笑顔が見えた
いつもひとりぽっちで留守番してた
寂しいに決まっている
葵も大喜びした
「ばっちゃ!!カナちゃんと一緒に遊べるんだぞ!!」
そのやり取りを見ていたカナちゃんの母親の目に涙が浮かんでいた
母親とカナちゃんと一緒に食事をした
オヤジとS子のヨタ話を聞いて母親とカナちゃんは笑っていた
「ありがとう、みなさん、久しぶりにカナと一緒に大笑いしてしまいました
やっとカナにも葵ちゃん・楓ちゃんというお友達ができてカナも喜んでいます
カナは御覧の通り人見知りが激しくてなかなかお友達ができなかったんですよ
でも今日のお昼に楓ちゃんと葵ちゃんの姉妹が私たちに話しかけてくれたんですよ
これからもカナをよろしくおねがいします」と母親は挨拶をしてくれた
「いいって!よ!気にしなくてもよ!!カナちゃんは責任もって我が家で預かるからさ!」とオヤジのでかい声
「お・・ねが・・・・いします・・・」とカナちゃんが小さな声で挨拶をした
「おう!!まかせとけ!」とオヤジが返事をした
「本当に小さな声だね、カナちゃんは」とおふくろがカナちゃんを見ながらカナちゃんの手を握り話しかけた
「うん・・・」と小さな声で返事をした
「すいません・・・声も小さくて・・・」と母親は謝ってきた
「ううん、いいのよ、私の娘も小さいときはカナちゃんと同じで病弱で小さな声しか出せなかったからね」
「そうなんですか・・・」と母親は少し驚いた顔をしていた
「おっちーー!!そうなんだぞ!!F子ちゃんも小さいときは本当に小さな声で人見知りも激しかったんだぞ!!今じゃ!!アニキを尻に敷いてアニキをこき使ってるんだぞ!!」
出た!!S子節
「おい!!S子!!言い過ぎだぞ!!」
「おっちーー・・・おっち・・ごめん」
一同大笑い
「面白い家族ですね・・・これなら安心してカナを預けられます、ありがとうございます」
「あ・・いや・・・恥ずかしい・・・」と私は頭をかいて下を向いた
さて・・・・カナちゃんが・・・いろいろと・・・まさかの・・・霊媒体質だった
オヤジはカナちゃんを一目見てわかったらしい
「あたりまえだ!俺はF子ちゃんを見てきたんだぞ!カナちゃんを見てすぐにわかったぞ」
「そっか・・そうだった・・」と私はオヤジを見つめていた
F子も霊媒体質だった
「それと・・・カナちゃんの体に3体のあまりよろしくないものが憑いている
いずれどうにかしないとな・・・
くそ坊主に一度話すわ
近いうちに何とかする」とオヤジ
毎日、母親は出勤する前に我が家に来てカナちゃんを預けてきた
午前中は葵とカナちゃん2人で家にいることになった
一人ぽっちじゃなくなった葵はすごく喜んでいた
徐々にカナちゃんは明るくなっていった
母親の残業で遅くなった時には母親とカヨちゃんは「家でお泊りするように」とおふくろが言ってくれた
客間が空いているのでそこで親子2人泊まっていけばいいとおふくろが母親に提案してくれた
母親はまたびっくりした顔で一旦は断ったが強くおふくろからすすめられてお泊りすることになった
ある日のこと
S君とF子が帰ってきた
「ただいま~~」
「あ!!F子姉ちゃんたちだぞ!!」と葵はカナちゃんの手を握って玄関へ走って行った
「お姉ちゃん達!お帰りなんだぞ!!」
「お・・ね・えちゃん、お・か・・・え・・り」とカナちゃんは小さな声で出迎えた
「あれ・・葵ちゃん、この子は誰なの?」とF子は葵に尋ねた
「カナちゃんなんだぞ、あたちの友達だぞ」
「え!葵ちゃんにお友達ができたんだ!よかったね」とF子は笑顔で葵に話しかけた
「うん!!!」
「Sおじさん・・・」と葵はS君に話しかけた
「なに?葵ちゃん?」
「なにも・・・」とそっけない返事をした
「え!?」とS君は顔が点になっていた
後にS君とF子に事の詳細を話をした
「私と同じだ!もちろん大歓迎だよ、アニキ」とF子は笑顔で返事をした
「俺もだぜ、家族が増えることはいいことだぜ」とS君も大賛成
週に1回ほどカナちゃんと母親はお泊りするようになった
「アニキ・・カナちゃん、私と同じで霊媒体質だよね・・・かわいそうに・・・
いろいろなものが見えたり聞こえたりしてるんだよ・・・それと・・・3体ほど・・あんましよくないものが憑いてるし・・・どうにかしてよ、アニキ」とF子が私に訴えてきた
「よくわかったな、F子
オヤジも3体憑いてると言ってたし
和尚様と相談して近いうちになんとかするとオヤジは言ってたから」
「そりゃわかるよ、カナちゃんと私、同じ体質だから・・・
パパもわかってるんだ!さすがパパ!!
和尚様が来てくれればすぐに解決するよ」
「おう!!F子ちゃん、おかえり!!」と満面な笑顔のおやじ
「パパ!!」
「すいま~~せん、カナを迎えに来ました~~」と母親の声
「はーーい、ちょっとまってて、お母さん、リビングへ来てほしい」とおふくろ
「え・・・いいんですか?」
「はい!!」
母親はリビングへ来た
「すいません、遅くなりました・・・」
「奥さん、これが私の娘のF子、となりが婚約者のS君よ」
「あ、はい、はじめまして・・カナの母親です、いつもお世話になっています」
「お話は聞きました、カナちゃんは私と同じで人見知りが激しいと聞きました
私も小さい頃は人見知りが激しくて・・・」
「え!?・・・そんな風には見えませんけれど・・・」
「本当です・・・今はこんな感じになってしまいましたけれど・・・」
「おっちーー!!今じゃ・・・」
「おーーい、S子!!」
「あっ・・・パパ・・・」
「なになに?S子ちゃん、なに?」
「気にするな、F子」
「そう!?・・・」
「あのぉ・・・F子さん・・・どこかで見かけたような・・・あ!!!F子さんはモデルとかしています?」
「はい、モデルをしてます」
「わたし、F子さんの写真集を買いました!本屋へ行ったときにふと本棚を見たら「なんできれいな人なんだろう」と思っていつのまにか写真集を手に持ってお金を払っていました」
「はずかしい!!そうですか・・・ありがとうございます」
「まさか・・・ここの家族の人だとは知りませんでした
F子さんの背景に写ってるロケ地もいい感じでF子さんのイメージにぴったしですよね
あちこちロケ地を回ったんでしょうね」
「いえ・・・ロケ地はあちこち行っていないです
すべて敷地内で撮りました」
「敷地内?・・・どこかの敷地内ですか?」
「ママの実家の敷地内です・・・」
「え!?・・・敷地内でこんなにも変化があるところで撮影したんですか?」
「はい・・・そうです・・・」
私は母親におふくろの素性を話をした
「え!!!!あの財閥の・・・そんな・・・わたし・・・図々しく・・・・
どうしたらいいんですか?」
「お母さん、そんなに硬くならなくてもいいですよ・・・今まで通りでいいです」
「そうですか・・・もうびっくりするばかりです」と母親の顔は真っ赤になっていた
そりゃまそうだろう
カナちゃんと葵は将来の友を得た
本当の姉妹のようにいつも一緒
まるで運命の糸を引き寄せた様な感じ
さてと・・・カナちゃんに憑いている3体
和尚様もいろいろと考えてくれた
一番いいのは徐々に浄化させていく方法と和尚様は電話で話してくれた
楓と葵とカナちゃんを仏間で当分の間、一緒にいさせること
これで徐々に除霊できるはずだと言っていた
これなら病弱なカナちゃんの体力を減らすことなく浄化せることができるはずだ
オヤジも大賛成した
カナちゃんとF子・・・・
どちらにしろ・・・時間はないな・・・
作者名無しの幽霊
葵にお友達ができた
保育園や幼稚園に通っているのなら自然にお友達は出来ただろう
葵にとっては生涯の友達
カナちゃんも徐々に明るくなりしゃべるようになった
この3人娘がいると家庭が非常に明るい
毎日、子供たちの喧騒の中・・忙しい毎日だけど・・・頑張る気力が沸く
そして・・不思議と恐怖がさらに・・・・