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長編17
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向かいの家

向かいの家は以前は老夫婦が住んでいた

おふくろの話では息子さんが老夫婦を引き取ったと話していた

梅雨の時期

毎日が雨ばかり

外へ遊びに行きたい娘3人

家の中でおしゃべりやTVなどを見て暇をつぶしている

オヤジの話やラジオを一緒に聞いている時もある

娘3人、客間でいろいろと遊んでいた

「あれ・・・向かいの部屋、明かりが点いてるんだぞ!楓姉ちゃん!!見てよ」

「あ!ホントだ・・・誰もいないはずだよね、葵?」

「そうなんだぞ・・・おかしいんだぞ」

「カナ・・・誰かが引っ越してきたのかな・・・」

「じいちゃんに言ってこようよ」

3人娘は隣にいたオヤジの所へ来た

「じいちゃ!!大変なんだぞ!向かいの家、明かりが点いているんだぞ!!」

「お?どうした?明かりが点いてる?」

「うん!点いているんだぞ」

「どれどれ・・・・」

オヤジと娘3人は客間へ行って確かめた

「あれれ・・・消えてる・・・」

「消えてるね、葵ちゃん・・・」

「じっちゃ!!うそじゃないんだぞ」

「わかってるよ、葵ちゃん、わしの孫娘だからな」

「うん!!」

夕食時、その話題になった

「おっちーー!!向かいの家、だれも住んでいないんだぞ」

「わかってるよ、ママ・・・でも明かりが点いてたんだよ」

「でも・・じっちゃと一緒に確かめたら消えてた・・・おかしいんだぞ」

「息子さんが何か物を取りに来たんじゃないかな」と私は茶化した

「そっかな・・・」

などとおしゃべりをしながらの夕食は美味しかった

「私は少し疲れたので・・・客間で寝かせていただきます」とカナちゃんのお母さんは頭を下げてリビングから出て行った

カナちゃんのお母さんは相当な苦労をしてきたので体の調子が良くない

そこでおふくろの所に再就職してもらった

だいぶ体の調子は良くはなったが完全に良いというわけでもない

まぁゆっくりと寝てもらうのが一番

それで客間で寝てもらうことにした

この客間、本当にノイズキャンセリングしたみたいに静かなのだ

隣の仏間は確かに国道に近いから車の騒音や人の声などうるさい

でもすぐ隣にある客間でこんなに静かなのは不思議なのだ

私やS君もたまに昼寝をしているほどだ

また月が出ているとまるで旅館みたいな感じで不思議な空間なのだ

窓から月の光が射して部屋中が柔らかい光に包まれる

本当に疲れた時には客間で寝ている

たまにトイレなどで目が覚めて体を起こすとマジで旅館にいる雰囲気でいい気分になる

お母さんもこの客間の雰囲気を気に入ってもらえた

娘3人は仏間で今のところ寝てもらっている

トイレも近いので安心なのだ

オヤジと娘3人と私は仏間へ行った

いつもの恒例のラジオを聴くためだ

私はいつものように窓側にいて外を眺めたり娘たちの様子を見てのんびりとしている

毎日毎日騒がしい

車の騒音、人の歩く音、人の声など

それでも疲れた体を休めるには仏間が一番

遠くからリビングでおふくろとS子の話し声が聞こえている

夜も0時ごろ

眠くなってきた

娘やオヤジはもう寝てしまっていた

おふくろが入ってきた

「おや・・早いね・・・もう寝ちゃってる・・・

F・・・・もうそろそろ寝ないといけないよ・・・S子ちゃんはもう寝室にいるからね」とおふくろが言ってきた

その時

隣の部屋のふすまが開いた

おかあさんが仏間へ来た

「すいません・・・今、目が覚めちゃいました・・・そしたら隣で話し声がするので体を起こそうと顔を外の方向へ向けたんです・・・あのぉ・・・向かいの家・・夕食時の話を思い出して・・・カーテンを開けたんです・・・そしたら向かいの家の明かりが点いているんです、確かめてもらいたいです」と言ってきた

私とおふくろとお母さんの3人は客間へ入って部屋から向かいの家を見た

確かに明かりが点いていた

「確かに・・・明かりが点いていますね・・・息子さんが部屋にいるのかな・・・」

「F・・・でも夜中なのよ・・・」

「でもおふくろ・・自分の実家だよ、他人の家ならこんな夜中はだめだとは思うけど・・・」

「まぁ・・そうだわね・・・なにか取りに来たんでしょうね・・おそらくね」

そんな感じでしばらくみていた

「まぁ・・・いいか」

「すいません・・・私、余計なことをしたようですね・・・もう寝ます」

「いえいえ・・・はい・・」

それからしばらくして夕食時のことだ

「あのぉ・・・ちょっと気になることがあるんです」とおかあさんが話し出した

「大体0時ごろですか・・私・・なぜか目が覚めるようになったんですよね

それで・・・カーテンを開けて外を見る癖がついたんです

そしたら・・・向かいの家の明かりが毎日この時間に点いているんです

誰かが引っ越してきたんでしょうか?」

「いや・・・何も話は聞いてないのよね・・・もし引っ越してきたのなら挨拶はあると思うけど・・」とおふくろは頭を傾げた

「でも・・・毎日0時ごろに・・・それも夜中にね・・・おかしいな・・・」と私

「そうですか・・・不思議ですよね」

みんな黙り込んでしまった

「よぉし、今夜確かめてみよう、お母さん、今晩だけは孫娘の部屋で寝ててください

俺とFで確かめてみますよ」とオヤジのやる気満々な声

「はい・・・わかりました」

たしかに確かめないといけない

0時5分前に私とオヤジは客間で待機した

「おい!もうそろそろ時間だぜ、カーテンを開けてみろよ」

「OK・・・・・」

そぉーとカーテンを開けた

時計は0時を指した

ボォワーンと明かりが点いた

「え・・・なんだ今のはよ・・・・変な点き方したぞ」

「たしかに・・・蛍光灯なら点滅してから点くだろうに・・・」

0時・・・確かに向かいの家の部屋に明かりが点いた

こんな夜中に何をしてるんだろうか?

しばらく見ていた

「おい・・・おかしいよな・・・人影が全然見えんぞ」

確かに人の影が全然見えない

部屋を動き回っている様子が全然ない

どうなってるんだろ

午前1時ごろ

ボォーワーンと消えていった

「え!?・・・なんだあの消え方はよ

あそこの家は蛍光灯じゃないよな

蛍光灯じゃあんな消え方はしないはずだぜ」

「オヤジ・・・とりあえずは本当に点いたな

でも・・・なんで人の影が見えないんだよ・・・おかしいだろ」

「なんかおかしいな・・・あんな点き方、消え方、初めて見たぜ」

朝になり夜の結果をおふくろに話をした

「そおかい・・・こりゃ一度息子さんに連絡したほうがいいわね」

おふくろは昼間に息子さんへ連絡をした

今日の夜に家に来る予定だ

夕食も終わりいつものごとくくつろいでいた

玄関で人の声がした

葵とカナちゃんと私で玄関へ行った

「こんばんわ・・・夜分すいません・・遅れまして・・・○○(向かいの人の名前)です」

「はい、今、開けますね」

「おひさしぶりです、Fさん」

向かいの家の息子さんだ

何年振りだろ

向かいの家の息子さんをリビングへ案内をした

「おじさん、おばさん、おひさしぶりです」とあいさつをした

私は息子さんに今までの経緯を話をした

息子さんは不思議そうな顔をしていた

「あのぉ・・・オヤジとおふくろを引き取って以来、あの家へ一度も来ていないんですよ

おかしいな・・・誰かが勝手に家の中に入っているのかな・・・よくわからないですね」

「う・・・ん・・・じゃあいったい誰だろ?・・・」

「とりあえずよ、今晩、息子さんと一緒に確かめてみようぜ」

「はい!確かめてみたいですね」

0時5分前に私とオヤジと息子さん3人は客間で待機をした

「もうそろそろだぜ、カーテンを開けてみろよ」

「わかった」

カーテンを開けた

ボォーワーンと明かりが点いた

「え・・・明かりが・・・なんなんだ?いったい誰だ勝手に家に上がり込んでいるのは・・・」

「もう少し様子を見よう」

しばらく見ていた

「人の影が全然見えないんですよね」

「え・・・そういえばそうですね・・・人影が見えない

おかしいな・・・それにあの点き方ははじめてみた・・・」

「え!?あんな感じで点くんじゃないんですか?」

「いえ・・蛍光灯を使ってるんであんな感じで点くはずはないんですよ

本当におかしい・・・それに2階だけ明かりが点くのもおかしい

どうやって2階まで上がっていたんだろう・・・懐中電灯も点けずにあの部屋へ行けるはずはない・・・おかしい」

「とりあえず・・・昼間に確認してみましょう

元刑事の人を呼びます・・・一度・・・家の中を調べてみましょう」

「はい・・・お願いします・・・不思議というかちょっと鳥肌が立ちました」

朝に元刑事を呼んだ

電話口で説明をした

すぐに来てくれた

息子さんが鍵を使い玄関から入った

鍵はちゃんと閉まっていた

一見、何の変哲もない玄関だ

一つ一つ調べていった

何も異常はない

「なんも変わってはいません・・・

2階へ行ってみましょう」

2階の例のあの部屋

ドアを開けて部屋の中を見た

別段、なにも感じないというか普通の部屋

蛍光灯を見た

普通の蛍光灯だ

念のためにスイッチを入れた

点滅したのち明かりは点いた

「この部屋はもともと私が小学生の時に使っていた部屋なんですよ

なにも異常はないですね

蛍光灯も普通に点きましたし・・・」

「そうですか・・・蛍光灯も普通に点きましたね・・・あのボォーワーンという感じの点き方じゃなかった・・・」

結果的に異状はなかった

「異常はなかったですね・・・」

「はい・・・元のままでした」

「とりあえずはこの家を出ましょう」

一行は家から出た

「オヤジよ、何か感じたか?」

「いや・・あのな・・逆に何も感じないということはおかしいと俺は思ってる

昨晩のあの部屋の明かりの点き方な・・ありゃ・・・行燈みたいな感じだな」

「行燈?・・・ああいう感じで点くのかよ」

「あぁ・・あんな感じだよ・・・なぁ!○○(元刑事の名前)、そうだよな?」

「え?・・俺は昨晩のことはわからん・・・行燈は見たことはあるけれど」

「あっ、そっか・・・今日の夜に一度見たほうがいいかもな」

「そっか、俺も見たいな」

向かいの息子さんにはお呼びしたことへの感謝を述べて帰ってもらった

元刑事には夜にまた家へ来てくれるように頼んだ

夜になり元刑事が家に来た

「おう!!まってたぜ」

「あぁ・・・夜中の0時ごろだってな・・・」

「そうだよ、行燈みたいな感じで点くんだよ」

「そっか・・・」

おチビちゃん3人も見たいと言ってきた

「怖くなってトイレへ行けなくなっても知らんぞ」とオヤジはからかった

「じっちゃ!!怖くないもん!!じっちゃがいるもん」と楓の元気な声

「うん!!じっちゃがいるんだぞ」

「カナも・・こわく・・・少し怖いかも」と小さな声で話してきた

「そっか!そっか!あはははは」と上機嫌なオヤジ

午前0時まで3人娘はオヤジや元刑事の話を聞いて笑ったり驚いたりして時間がどんどん過ぎていった

「おチビちゃんたち、眠くないの?」と私は聞いた

「ぜんぜん!パパ、目がこんな風にパチッりだよ」と楓は目を大きく開いて私に見せてきた

「パパ!!パパこそ眠いんだぞ」と葵はニコニコしながら言ってきた

「おじさん・・・眠くないけど・・・すこし怖い」とカナちゃんは私の手を握ってきた

「そろそろだな・・・みんな・・・客間へ静かに行こう」とオヤジはみんなに催促をした

全員、客間に集まった

「よぉし・・・そろそろだ、開けろよ、せがれ」

「せがれって・・・開けるよ」

そぉとカーテンを開いた

前日と同じでボワーンと明かりが点いた

「・・・確かに行灯だな・・・」と元刑事のつぶやき

しばらく様子を見ていた

「あれ・・・何か動いたような気がするよ、パパ」

確かに何かが動いたように私も見えた

光が揺れていた

「あれれ・・・なんか揺れてるね・・パパ」

「確かにな・・・」

すると人影らしいものが左から右へ動いた

「わ・・・誰かいるみたいだよ、パパ」

「そういう風に見えた・・・」

またしばらく様子を見た

何事もなく午前1時ごろにはボワ-ンと明かりが消えた

「なんなんだ・・・あの消え方は・・・」と元刑事のびっくりした声

「おい・・・行灯といえば行灯だが・・なんか違うぞ、○○(オヤジの名前)よ

「たしかに・・・行灯のような気がしてだけど・・・なんか違うな・・・なんだろうな・・・」とオヤジは目つぶったまま黙り込んだ

「でも今回は人影らしいものが見えたぞ、オヤジ」

「俺も見えた・・・確かに人っぽかったな」

「カナ・・・も・・見えた・・・なんか・・・ちょっと怖い」と小さな声が聞こえた

私はカナちゃんをよく見た

体が震えていた

「カナちゃん、大丈夫?」とカナちゃんに声をかけた

「おじさん・・・少し体が寒いよ・・カナ・・・」

私はカナちゃんのおでこを触った

少し熱があるようだった

「少し熱いね・・風邪薬を飲もうか、カナちゃん」

「うん・・・」

私はリビングへ行き風邪薬を1錠持ってきた

お茶と一緒に飲ませた

「3人娘はもうそろそろ仏間へ行って寝ようね」

「うん!パパ」

「寝るんだぞ」

「オヤジ、3人娘を連れて行ってくれ」

「おう!おチビちゃんたち行こうか」

オヤジの後に3人娘はついていった

布団に入りなり3人娘は寝た

全員、仏間へ移動した

「たしかに、不思議な現象だな・・・俺はこういう分野は専門外だから何とも言えないが・・・人影が見えた以上・・完全に住居侵入罪だな・・まぁ・・あれが人ならばの話だけどな・・・本音を言えばまさかこういう現象を見るとは思っていなかったよ・・・何もなかったら何か嫌味でも言おうと思ってた・・・今晩は、俺、リビングのほうで厄介になるけどいいかな?・・正直・・怖いんだよ」

珍しく弱音を吐いた

元捜査一課長が「怖い」と言った

空手や柔道など段を持ってるし〇暴にもいた人だ

「ああ、いいぜ、好きなだけいろよ」とオヤジは快諾をした

「すまんな、F君・・・厄介になるわ」

「いえいえ、ゆっくりしてってください」

小さい時からすごくかわいがってくれた

あのオヤジの息子というだけでいつも「かわいそうに」が口癖だった

F子も人見知りが激しかったけれど元課長にはなぜか近寄って元課長の手を握ってた

元課長もびっくりしてたな

最近、元課長に会い

「おう!!F君!!!おひさ!!この前よ、F子ちゃんに会ってよ、F子ちゃんから「おじさん」と言いながら手を握ってくれたよ、俺、恥ずかしかったよ、あんなべっぴんさんから久しぶりに手を握られて心臓がドキドキしたよ、あははははは」と笑ってた

F子から聞いたら「あのおじさんはパパと同じ匂いがする、顔は怖いけど心は優しい人、手を握ったらそうだったよ」と答えてくれた

そのノリで私がF子の手を握ったら「キャッ!バッチイ、アニキ、ブサッ、セクハラ、S子ちゃんに言いつけるからね」と言われた

S子から「F子ちゃんから聞いたんだぞ、パパ、F子ちゃんの手を握ったらダメなんだぞ、F子ちゃんは売れっ子のモデルさんなんだぞ、住む世界が違うんだぞ、もしパパのバッチイ

その手が原因で病気になったらパパのせいなんだぞ、パパは安月給のサラリーマンなんだぞ、身分をわきまえないといけないんだぞ」と能天気炸裂でしゃべりまくった

「なんだよ、それ・・・」と私はS子に言ったら

「パパ!F子ちゃんは清楚なモデルさんなんだぞ、パパとは全然違うんだぞ、次はちゃんと気を付けるんだぞ」と言われた

「アニキ!S子ちゃんから言われたでしょ?ちゃんとキレイにしててよね、ちゃんと手を洗ってる?うそ!!なんかバッチイ!!S子ちゃんに触れるときはちゃんと手を洗ってよね

なんか・・・バッチイ・・・」

おいおい・・・俺は家族の中でバイ菌扱いかよ

おっとと脱線した・・・

リビングでオヤジと元課長がヒソヒソと何かを話をしていた

後でオヤジから何の話をしていたのかを聞いたら「教えてやらん」と言われてしまった

気になる

私はこの件を向かいの息子さんに伝えた

カナちゃんのおかあさんから「毎晩0時ごろに目が覚めるようになったので寝不足なんです、すいませんが客間じゃなく2階の楓ちゃんの部屋で寝かせてください」とおふくろに訴えていた

もちろんおふくろは承諾をした

およそ1か月後に久しぶりに向かいの家の様子を見ることにした

毎晩毎晩見ていたら睡眠不足になるからあれ以来全然確認をしていない

久しぶりに見ようとオヤジの提案だ

またもや娘3人も参加したいと言ってきた

「大丈夫?怖くないの?」と聞いたら

「すこし・・・怖いけど・・・パパたちがいるから・・見たい」と楓や葵が言ってきた

「カナも・・・じっちゃがいるから・・見たい」とうつむき加減で言ってきた

「じゃあ今回は一番前で見てみる?」というと

「え・・・一番前は・・・パパたちの横で見たい」と言ってきた

「久しぶりだけど怪現象は起きるかな・・・」と私

「もうそろそろだぜ、開けろよ」とオヤジの催促

「あぁ・・・開けるよ」

午前0時・・・

ボォワーンと明かりが点いた

「うわぁ!!まだ続いていたんだ・・・」と私は驚きの声を上げてしまった

「パパ・・・びっくりした・・続いていたね」と楓は私の顔を見て言ってきた

人影がスゥーーと横切った

「え・・・今、人影が通ったぞ、おいおい・・・」とオヤジの声

「おっちー・・・私も見た・・・」とS子もびっくりした声

キャァーーーー

「うわぁーーなんだ、悲鳴が聞こえたぞ!!」と思わず私は声に出してしまった

「おい・・・2階からだぞ・・・」とオヤジ

「オヤジ・・・ちょっと2階へ見に行って来いよ」

「おう・・・行ってくるわ・・・」

ドタドタと2階から階段を足早に降りてくる音がした

「す、すいません・・・ちょっと・・・」とカナちゃんのお母さんが息を切らしながらおびえた顔で客間に来た

「ママ・・・どうしたの?」とカナちゃんはびっくりした声でお母さんに聞いた

「あのぉ・・・私もつい気になって・・・向かいの家を見てたんです・・・明かりが点いて・・しばらく様子を見てたんですけれど・・・ふいに目線を下ろしたら1階の部屋の明かりも点いていたんです・・・そして・・その窓が開いたんです!!!私、びっくりしちゃって・・・叫んでしまったんです・・・そのぉ・・・おばあさんがこちらを見てたんです・・もう、私、恐ろしくなってここへ来たんです・・」とお母さんの顔はもう真っ青な顔をしていた

確かに・・・客間からだと向かいの家の間に仕切りの板があって全然見えない

「おやじ・・・2階へ行くぞ、確かめよう」

「おう!行くか」

私とオヤジ2人で娘の部屋へ行った

「どれどれ・・・お・・・確かに点いているよな・・・窓も開いてるぞ・・誰か窓に来る・・・えええぇうーーーーマジかよ・・・」とオヤジの驚いた声

もちろん私も驚いた

窓からこっちを見てるのは向かいの家のおばあさんだった

間違いない

「おい・・・F・・・どういうこった・・・なんでばあさんがいるんだよ・・・息子のところにいるんじゃねーのかよ・・・」

「だよな・・・ちょっとまってて・・・息子さんに電話する・・・」

なかなか電話に出ない

当たり前だよな、深夜だから寝てるだろ

はた迷惑だと思う

繋がった

「す。すいません、深夜に・・・Fです・・・ちょっと確認の電話をしました

言いにくいのですが・・・○○(息子の名前)のお母さんって今家にいますか?」

「え・・・そのぉ・・・母は前日の夕方に亡くなったんです・・・今・・葬儀場にいます・・」

「え・・はい?・・・亡くなった・・・そんな・・・じゃあ・・・今こっちを見てる人は誰だよ?・・・」

「あのぉ・・・もしもし・・・何かあったんですか?」

私は今起きている現象を息子さんに話をした

私はオヤジにスマホで録画しろと言っておいた

「そ・・そんなはずはない・・・ちゃんと母は亡くなったんです・・実家にいるはずはない・・・信じられない・・」と電話を切ってしまった

「おい・・・F・・・あのばあさん、何か言ってるような気がする・・・全然聞こえないけどな・・・なに?亡くなった?うそだろ・・・じゃあ・・・あのばあさんは誰だよ?・・・

マジかよ・・・」とオヤジの驚いた声

しばらくするとそのおばあさんは奥へ行ってしまった

ボォワーーンと明かりが消えた

2階も消えていた

私とオヤジはしばらく呆然としていた

あんなにはっきりと「幽霊?」を見たのは初めてだ

「オヤジ・・・スマホの動画を再生してみろよ」

「お・・・そうだった・・・」

スマホの動画を再生してみた

もう鳥肌がたった

はっきりとおばあさんが映っていた

なにか口を開けて何かをしゃべってるような気がした

何をしゃべっているのかわからない

口読術という声を出さなくても相手が何を話しているかわかるらしい

よくスパイ映画などで遠くて双眼鏡をもって相手が何を話しているかを解読してる場面を見たことがある

「オヤジ・・・何話してるんだろうか?・・・」

「俺に聞くなよ・・・わからん」

私とオヤジは客間へ戻った

「パパ・・・どうだった?」と楓が聞いてきた

「あのさ・・・ちょっとな・・・言いにくいな・・・」

「なになに?パパ、どうしたの?」

「みんな心を引き締めてほしい・・・これからスマホの動画を見せるから、落ち着いて見てほしい」とオヤジのスマホの中の動画を再生した

「パパ・・・これ・・・ばあちゃんだよ・・・間違いない・・・」

「そうなんだぞ・・・ばっちゃんだ・・・」

「おっちーー、おばあさまだ・・・なんで家にいるの・・・息子さんの家にいるんでしょ?パパ?」

「あのさぁ・・・これもまた言いにくいな・・・」

私は2階で息子さんと電話で話していたことをみんなに話をした

もうパニックになった

娘3人は完全に血の気がなくなった

ガタガタと体を震わせて寄り添った

「パパ・・・怖い・・・何で・・ここにいるの?・・・」

「さぁ・・わからん・・・」

「怖いんだぞ・・・ちゃんとおばあちゃんだぞ・・・」

S子は完全に失神した

「ママ!!!大丈夫?・・・パパ・・どうしよう」

「失神してるだけだ・・・そのままにしてて・・・・」

私はS子の体を揺らして名前を呼んだ

「パパ・・・もう!!!びっくりしたんだぞ!!嘘はいけないんだぞ!!ちゃんとおばあさまは動画に映ってて家にいるんだぞ・・・亡くなったとは思えないんだぞ」

「まぁ・・・俺もさぁ・・・信じられない気持ちだよ・・・」

もう客間の空気は完全に冷凍庫の感じになった

カナちゃんのおかあさんも絶句したまま座り込んでしまった

時間がどんどんすぎていった・・・・

少しだけ落ち着いてきた

とりあえずはカナちゃんのお母さんは私たちの寝室で休んでもらうことにした

余計なものを見せてしまったと後悔してる

「騒がしいわね・・・もうちょっと静かにしてほしいわね」と突然おふくろが現れた

娘3人は体が飛び上がって悲鳴を上げた

後片付けが終わりおふくろがリビングへ来たのだ

「なに・・・楓ちゃんたちどうしたの?悲鳴を上げて・・・こっちがびっくりしちゃったわよ」

「ばっちゃ・・・驚かさないでよ・・・びっくりした・・・」と楓はおふくろの顔を見ながら安堵な顔をした

「びっくりしたんだぞ!!ばっちゃ!!!」と葵

「カナ・・・も・・・こわい・・・びっくりした」と小さな声でボツリと言った

とりあえず・・仏間へ移動しよう

「ここは・・・仏間へ行こう」と私は娘3人と一緒に仏間へ移動した

おふくろは何か起きたのかわからず不思議そうな顔をしていた

私はおふくろにスマホの動画を見せた

おふくろは別に驚く様子は無かった

「あら・・・向かいのおばあちゃんだわね・・・いつの間に帰っていたのかしらね」

と呑気な様子

私は2階で息子さんとの話をおふくろに話をした

おふくろの顔がみるみるうちに血の気が引いてくのが分かった

「うそ・・・まさか・・・信じられない・・・この動画のおばあちゃんは誰なの?」

「信じられないのはみんな同じだよ・・・」

みんな疲れ果てたのかだれもしゃべらなくなった

チリンチリン

仏壇の中から聞こえてきた

「うわぁ!!びっくりしたぞ」とオヤジの驚いた声

「おばあちゃんが挨拶に来たようだね」とおふくろ

チリンチリン

「ばっちゃ・・・おばあちゃん・・・挨拶に来たの?」と楓は不思議そうにおふくろに質問をした

「そうだよ、楓ちゃん・・・挨拶に来たの・・・楓ちゃんと葵ちゃんもおばあちゃんにいろいろとお世話になったもんね」

「うん!!!お菓子もらったりお話を聞いたりしたよ」

「あたちもだぞ!!優しいおばあさまだぞ!」と葵

私も幼少の時からかわいがってもらった

本当に優しい方だった

落ち着いたところで全員仏壇にむかって手を合わせた

チリンチリン

Concrete
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