アナログ時代のTVを知っている人はわかると思いますが
深夜、番組が終わると画面が砂嵐になるんですよね
ザッァーーーとノイズ音がして画面に砂嵐のような映像が出てきましたよね
たまにその砂嵐の画面というかスピーカーからノイズではない人の声や何かよくわからない音を聞いた人はいると思います
あれって・・・原因は混信なのでしょうかね
また、画面が何やら顔や建物みたいな感じで映っているような映像を見た人もいると思います
ふと思い出したんですよね・・・・
私が中学生の時に深夜番組を見終えてトイレへ行って帰ってきたときにはTV画面が砂嵐状態になっていました
「あぁ・・・もう放送は終わったんだ・・・寝ようかな」とひとりごとを言ってTVのスイッチを消そうとしたときにTVからなんか番組らしい人の声やBGMらしき音が聞こえてきた
その時にリビングにいたS君が戻ってきて
「おい!TV消せよ!寝るぞ」と言ってきたので
「S君・・・ちょっと・・・こっちへ来て」とS君を呼んだ
「なんだよ・・」と言いながら私のそばに来た
「よく耳を澄まして」と言うと
「はぁ?」と言いながらTVのほうに耳を近づけた瞬間に
「え!・・・なんか聞こえるぞ」とS君はびっくりした声を出した
「だろ・・・混信してるのかな?」と私が言うと
S君はすべてのチャンネルを回した
どこもすべて放送は終了していた
「おかしいな・・・すべて終わってるぜ・・・でもここのチャンネルからはなんか番組らしい音が聞こえるんだよな」
たしかにBGMや司会者の声?、ゲストの声?らしき音が聞こえていた
当時は私の家にはVHSなどの録画機器は無かった
だからVHSの切り忘れて音声だけが聞こえているという状態はあり得なかった
しばらくしていると砂嵐が徐々にやんでいってなんとなくボヤっとだけど何かの番組らしき映像が映ってきた
「え・・・なんだ?放送終わってないんじゃんか・・・」とS君は頭をひねりながらも画面を見ていた
しかし・・ノイズが多い画面でなんの番組なのかよくわからなかった
でも音声だけは少ししっかりと聞こえてきた
聞いてるとどうやら旅行記みたいな感じに見えた
「どこかのロケ場所かな・・・」と私が言うと
「だよな・・・もうちょっとくっきりと映らんのかな・・・なんだ・・この番組はよ・・・」とS君は少しTVを叩いた
「わぁ・・やめてくれ、S君!真空管TVじゃないよ・・TVを壊したらオヤジに叱られるから」と私が言うと
「おっととと・・・おやっさんか・・・」と慌ててS君は手をひっこめた
徐々に砂嵐もなくなってきた
くっきりとは見えなかったけれども
「うわ!!!」とS君は驚いて大きな声を出した
「わ!!!!なんだこりゃ!」と私も驚いて声を出した
画面に映し出されたのは私たちの町にあるあの商店街だった
「「そんなだけでなんで驚いたんだよ」」と言われそうだけど
映っていたのは商店街とうちのオヤジと見知らぬ女の子が2人、女の子がオヤジの手をつないで散歩している映像だった
「おやっさんだ・・・あの小さい女の子は誰だよ?」とS君は私の顔を見てきた
「いや・・・知らんぞ・・・」
「おやっさん!ついに誘拐をしたのかな?」
「え・・・まさか・・・確かに俺とF子は間違えられて警察署へ行くけど・・・」
「でもよ・・この後ろ姿はおやっさんだぜ、間違いない!
朝、おやっさんと会った時の後ろ姿そっくり」
「後ろ姿はオヤジだ・・・ついに・・・か・・・」
「これって・・・生放送かな?・・・それとも録画放送かな・・・」
「いや・・・だって・・・どんな番組なんだよ、これって・・・デロッブも何も出てないよ・・・
生放送っぽい・・・感じはするけど」
何か話してる声がするのだけれど小さい音量なので聞き取りにくい
「じ・・っちゃ・・・か・・・で・・・」と聞こえたような気がした
「よぉ・・・・し・・・お・・し・・をたくさん・・」と聞こえてきた
映像もくっきりとせずに時折黒い線が上から下へ流れていく
でもオヤジにしては頭の毛が少ないように見えた
「おやっさん?かな・・・なんか髪の毛が薄いような気がする・・・」
「たしかに・・・後ろ姿は間違いなくうちのオヤジだけど頭を見ると・・・違うんだよな・・・誰だろう?」
「わからん・・・」
カメラがその3人の前に出たのか3人の顔が見えた
「あ・・・おやっさんそっくり・・・」
「たしかに・・・でもなんか老けてるよ・・・」
「小さい子・・・俺・・・全然知らんぞ」と私はS君に言った
「俺も知らない子だ・・・それによく見るとおやっさんじゃないかもな
俺、カメラでTV画面を写すわ」と言いながらリュックからカメラを出してTV画面を写した
あの日以来・・・
日々の暮らしの中で忘れてしまった
仏間では相変わらずオヤジと3人娘がラジオを聞いていた
「あっ!思い出した」と私は大きな声を出した
オヤジと3人娘はびっくりしてこっちを見ていた
「パパ!!びっくりしたじゃない、どうしたの?」と楓が聞いてきた
「いや・・・思い出したんだよ・・・昔のことをね」と言うと
「パパ・・・昔のこと?なんのこと?」と楓がさらに聞いてきた
「いや・・」と言いながら私は書斎室へ行き机の一番下の引き出しを開いた
「たしか・・・アルバムに・・・」とブツブツ言いながらアルバムを探した
「あったーー」
アルバムが出てきた
私はそのアルバムの中身を一枚一枚見ながらあの時のTVを写した写真を探した
ちゃんとアルバムの中に納まっていた
私は急いで仏間へ戻った
私はオヤジと3人娘に中学生の時のあのTVのことを話をした
3人娘はTVの砂嵐を見たことがないので何度も私に聞いてきた
「お・・すげぇ・・な・・・だいぶ色が馳せているよな・・・」
「なにせ、中学生の時にS君が撮ったからね・・」
「そっか・・・たしかに砂嵐の中に商店街となんか人が写ってるよな・・」
私は何枚もある写真を一枚一枚見ていった
わたしは・・・最後の一枚で・・・体が固まった・・・
「パパ、どうしたんだぞ?」と葵が心配そうに言ってきた
「いや・・そんな・・ことはない・・・」と小さな声を出してもう1度写真を見た
そこに映っていたのは今のオヤジと楓と葵だった
何回も見た
間違いない
「そんな・・ばかな・・・」と私は大きな声を出した
「おい!!びっくりするだろ・・・なんだよ」とオヤジの声
「オヤジ・・・この写真を見ろよ・・」
「なんだ・・・うわっ!!!俺じゃねーかよ!!やい!S、てめぇ!!こんな小細工しやがってよ!驚かそうとしても無駄だぞ!!しばくぞ!」とオヤジが怒りだした
「いやいや・・・これは間違いなく中学生の時に写した写真だよ
こっちだってびっくりしてるよ・・・なんなんだよ」
楓と葵も写真を見た
「え・・・私だよ・・・いつのまにパパ、写したの?」と楓は写真を私に見せながら聞いてきた
「だから・・・この写真はパパが中学生の時にS君がTV画面を写したものなんだよ」
「うそ!!だってパパが中学生なら私と葵は生まれてないよ!!パパ!!嘘はダメ!!
ちゃんと正直に話してよ」と楓は全然信じていない顔をしていた
正直に話せ・・といわれても・・・そのまんま正直に話してる
一体どういうわけだ?
「これ・・・見覚えがあるんだよな・・・いつだったかな・・・去年?・・かな・・たしか楓ちゃんと葵ちゃんを連れて商店街へ行った記憶がある
たしか・・・お菓子を買いに行ったような・・・」
「じっちゃ!!私・・・も少しだけ覚えてるよ・・・ほら!!たしか商店街にTV局の車が来てたよ・・」
「あっ!!そうそうその日だ・・・たしかにTV局の車が来てなんかしてたな」
「おい!!!その時の中継のTV画面を単に写しただけだろ!!F!!!」
「いや絶対に俺が中学生の時にS君と一緒にTVを見ていたんだ、間違いない
その時に写したんだよ!!」
少しオヤジと喧嘩しそうになった
埒が明かん
私はS君に急いで家に来るようにと電話をした
S君とF子が慌てて帰ってきた
「おいおい!!今な撮影の編集で忙しいんだよ!何かあったのかよ」とS君は少し苛立っていた
私はあの不思議体験のことでオヤジたちが非常に疑ってる旨を話をした
「あぁぁ・・・あの事かぁ・・・すっかり忘れてた・・・たしかに画面に何か映ってて俺がカメラで撮ったんだよな」とS君が話してくれた
「おい!!本当か?でもよぉ!なんでおまえらの中学生時代の時に去年のロケの画面が出てきたんだよ・・・おかしいだろ?」とオヤジは疑いの目でにらみつけてきた
「おやっさん・・・うそじゃないよ・・俺たち中学生の時に深夜かな・・・ほら・・お泊りで2日ほど家にいたじゃん・・・その深夜の時に写したんだよ」とS君がオヤジに説明をした
「まぁ・・・Sちゃんが言うのなら本当だろうな(おーーーいい!!実の息子の話は信じないのかよ)」
「しかしよ・・・合点がいかんわな・・・どうしたらお前らの中学生の時のTVに映像を送れるんだよ・・・信じられん」とオヤジは写真を見ながらつぶやいていた
3人娘も頭をかしげていた
摩訶不思議な・・・・
作者名無しの幽霊
いつものように仏間でラジオを聴きながらウトウトとしていた
外は騒音で寝れそうで寝れない状態だった
脳裏にあの出来事が浮かび上がってきた
中学生のあの時を思い出した
中学生から見ると「予知夢?」なのかな
時間と空間は連続してつながっているといわれているから何かの拍子で未来の映像が流れてきたのかもしれない
まさか・・・写真に写っていた女の子は自分の娘とは思わなかった
楽しそうにオヤジとしゃべりながら歩いていた