俺の古くからの友人にね。櫻井さんって方がいるんですよ。
この方、女性なんですがねぇ。俺からしたら、女性であっても異性で無いって感覚わかりますかねぇ?
櫻井さん自身も俺の事、そう思ってるんです。
きっと前世で、姉弟だったんだよ。なんて話しています。
そんな、俺にとって姉の様な櫻井さん。御結婚されて、娘さんがお二人居るんですがね。
母方の血筋が巫女という事でご自身と、お母さんの不思議な噺を聞かせてくれました。
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櫻井さんのお母さんも霊感が強く、不思議な体験あるそうでね。
これは、櫻井さんが生まれる前の話しなんですがね。櫻井さんから見たら祖父(母方)が亡くなったのです。
葬儀は滞りなく終わり、少し落ち着いたあたりにね。奇妙な事が起き始めたんですよ。
仏壇がカタカタと揺れ出したり、仏間の何処からかラップ音がする。
櫻井母「あんた(櫻井さんの父)なんかした?仏間の辺りで変な事起きるんだけど」
櫻井父「いや何もしてないよ」
怪現象はまだ続くんですよ。
櫻井母「あんた、まさか骨なんて持って来て無いよね?」
櫻井さんのお父さん、ギクってした。
実はね父の遺骨をこっそりと持ち帰っていたんですね。
なんでも、櫻井さんのお父さん、義父にかなり可愛がられて居た。
櫻井さんの祖父って櫻井さんの家に婿として入ったのです。
分骨をお願いしてたんですが、そちらでも怪現象が起きたってんで、戻したんです。
ご本人は分骨されたく無かったんですかねぇ。
櫻井さんのお母さん、その事は知らなかったんですが、その時何気なく口にしたそうです。
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櫻井さんのお母さん。独身の弟さんの面倒を良く見てたんですよ。
その弟さんね。運悪く、若くして癌が見つかってしまった。
若くして癌が見つかると進行が早すぎて、発見した時には手遅れって事が多いんですね。
櫻井さんもね、そんな叔父の心配してたそうです。
そんなある日の事。
櫻井さんの前で、お母さんが突然立ち上がり、痙攣してる様に見えたんです。
櫻井さん必死に呼びかけるんですが、お母さんの様子は変わらない。
すると、数字を言い始める。
櫻井母「30,29,28…」
櫻井さんね。暫く聞いてたんですが、ある事に気付く。
1まで数えると、30に戻る。
ある数字を言わない。18なんですね。
0が無く30から始まる。
カレンダーかなって思った。
その月は30日まである月だったんです。
何回かカウントしたら、お母さん、意識が戻った。
お母さんね、数字をカウントした時の記憶が無いって言うんです。
それから暫くすると、病院から電話がありました。
櫻井さんの叔父さん亡くなったって訃報だったんですが、その日18日だった。そんな不思議な事があったんですね。
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櫻井さんが幼い頃の話しなんですが、夢にお爺さんが出て、プレゼントを貰うって夢を見たんです。
暫くしてね。母方の実家に帰った時です。仏壇に飾られた遺影を見て言いました
櫻井「サンタのお爺さんだ」
周りの大人は驚いた。
櫻井さんのお母さんなんて変な事言うんじゃないよなんて叱った。
でもね、祖母は違ったんですよ。
櫻井さんの夢を聞いたそうです。
櫻井祖母「そうかい。そうかい。良かったねぇ。お爺ちゃんね、〇〇ちゃん(櫻井さん)を抱っこしたいって言ってたんだよ。その前に死んじゃったからね。きっとプレゼントあげたかったんだよ」
櫻井さんはね。子供の頃だから、年上の方は同じく見えるから違ったかもしれないと今は思ってるみたいですけど、そんな不思議な夢見たんです。
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月日は流れて、阪神淡路大震災の日。
櫻井さんは大阪に住んでたので、被害は大きかった。
櫻井さんね。その日は受験が控えていたんで、明け方近くまで勉強していました。
そろそろ寝ようって床に入ってうとうとし始めた時、大きな揺れが発生。
そう。阪神淡路大震災が発生したのです。
櫻井さんの寝てた部屋には大きなタンスがあるんですよ。
櫻井さんが見ると、黒い人影が、背中でタンスを支えている。
櫻井さん、それを見て気を失ったんです。
ご両親は必死に櫻井さんに呼び掛けてた。
当の櫻井さんは、気を失ってたわけですから、反応出来ない。
揺れが収まり、倒れた家具などを掻き分け、櫻井さんの部屋に入ると、大きなタンスが倒れてなく、櫻井さん無傷だったんですね。
机なども櫻井さんを避ける様に倒れてたそうです。
櫻井さん言ってました。
きっと、夢の中でプレゼントをくれて、分骨を嫌がった祖父が守ってくれたんだって。
あのタンスが倒れてたら、私ここに居なかったかもって。
俺が聞いたのは、こんな噺でした。
櫻井さんは、お子さんも不思議な体験があるそうで、またの機会にまた、語らせて頂きましょうかね。
作者蘭ユウジ