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短編2
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見られた側の告白

いつの間にやら業務に使うエプロンの色が変わっていた。

何度か色合いは変わったけど、昨日の事みたいでピンと来ない。

裏方を今の作業用エプロン姿で歩いて挨拶しようとしても見た覚えの無い顔ばかりなので、いつの間にか互いに素通りしてしまう。

幾年も居るのに、パートさんは長い人は長いけど、社員は数年で居なくなって、戻って来たのなんて誰一人居やしない。

たまに裏方をブラブラ歩くと、互いに素通りする筈が、こっちの気配を感じたのか腰を抜かすパートさんや社員が居るから、むしろこっちもビックリなんだ。

けどね、アイツは違った。

11月かな。

いつもみたいに、裏方をスーっと歩いていたら、むくれた眼鏡の男がこっちを見ていてさ。

「あっ、こいつもビビんのかな」って構えていたら、数秒後に凄く不気味にニコニコしてんの。

身震いしながらだよ。

怖がるか喜ぶかどっちかにしてくれって思ったよ。

………あれ?喜ぶ?ちょっと待て、何で怖がられたりするのが常だったのに、喜ばれてんの?怖がられたりビビらせたりしていたのに、むしろ相手が喜ぶってのは────

見えたのか、見えて嬉しいのか、今迄見られなかったから見る事が出来て嬉しいのか。そうかそうか。

しかも、見えて喜ぶそいつとこっちの背格好がそっくりだから、こっちは何だか不愉快になって来た。

結局、そいつは年明け2月に何処かに異動したらしいが、後釜が来て又多少は賑やかになったが………

何だかピリピリしちゃって、今迄もキリキリはしていたけど、居心地が悪くなっちまった。

目撃して来て、むしろ喜んだあん時の奴に引っ付いて行けば良かったのかな………あーあ。

Concrete
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