中編3
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ゴミ屋敷

男は、妻を殺した。

浮気がばれ、口論の末に逆上して殺してしまったのだ。

我を忘れ、気がついたときには、男の目の前に、妻の絞殺体が転がっていた。

「困った。この死体をどう処理しようか」

しばらく考えた末、名案を思いついた。

男の家の向かいには、近所でも有名なゴミ屋敷がある。

「これを利用しよう」

ゴミ屋敷には頑固なじいさんが住んでいて、ずいぶん昔から町中のゴミステーションからゴミを持ち帰っては、自宅にため込んでいた。

今では塀を内側から押し倒さんばかりに、家の外にまで何重ものゴミの層を築いている。

ゴミ屋敷は常に異臭を放っているし、ゴミをついばむカラスも山ほどやってくる。

ゴミの山に人間の死体を隠すのは簡単だし、臭いが出ても、今さら誰にも怪しまれない。

「この中に隠してしまえばわからないはず。

死体もそのうちカラスやネズミやゴキブリやウジ虫が、綺麗に処分してくれるだろう。

妻が行方不明になったとか嘘をいって、警察には適当に捜索願いでも出しておけばいいさ」

男はさっそくこの日の深夜に実行した。

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深夜の2時頃、男は人目を気にしながら妻の死体をゴミ屋敷まで運んだ。

ゴミの山の上に死体を無造作に投げたあと、死体を隠すための穴を作ろうとゴミをどけはじめた。

!!!!!!!!!!!!!!!!

そのとき、男は衝撃の光景を目にした。

「なんということだ。

すでに先客が。

しかも、2人も」

男が見たのは、折り重なるように絡み合った2人分の死体だった。

ほとんど腐っていて、全身をウジ虫が這い回っている

ところどころにカラスについばまれたようなあともある。

「以前にも、死体の処理に困った奴らがこの場所を利用していたのか。

考えることは皆同じということか。

2人もまとめて処分するなんて、ヤクザかなにかの仕業に違いない」

思いがけない出来事に恐怖心を覚えながらも、必死に冷静さをたもちつつ、作業に取りかかった。

ゴミは幾重にも分厚い層をつくり、複雑に絡み合っていて、穴を掘る作業は男の想像以上に重労働だった。

作業はなかなか進まず、気付けば夜明けが近くなっていた。

作業開始から2時間ほど。

俺はようやく、人間がすっぽり収まるほどの穴をしつらえた。

「手間とらせやがって」

男は悪態をつきながら、妻の死体を無造作に放り込んだ。

その時だった。

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足下のゴミがムクムクと動いたかと思うと、次の瞬間、人間の腕が飛び出し、男の足を掴んだのだ。

「ひぃっっっ!?」

突然の出来事に、ひきつった悲鳴をあげる男。

振りほどこうにも、あまりに強い力で足首を掴まれていて、なすすべがない。

身じろいだ際、うかつにもバランスを崩し、妻のいる穴の方へ倒れ込んだ。

「いったい、なんなんだ!!

どうなってるんだ!?」

男は全く事態を飲み込めない。

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すると今度は、穴の周囲から、無数の腕が飛び出し、触手のようにのたうち回りながら、男の身体に掴みかかってきたのだ。

先客は、2人どころではなかったらしい。

身動きひとつとれない男の身に、さらなる恐怖が襲いかかった。

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男の体の下敷きになっている妻の死体が、突然動き出したのだ。

ブルブルと痙攣したかと思うと、両腕を天に突き上げ、男の顔面を覆った。

口は塞がれ、鋭く尖った爪の先が、眼球にめり込んでくる。

身動きするどころか、悲鳴すらあげられず、助けを求めることすらできなくなった。

気づけば、男の体の回りには、無数の腕以外にも、モゾモゾと蠢く影が…。

それはネズミやゴキブリやウジ虫の大群だった。

男は生きながらにして、全身のいたるところを、気色悪い生き物たちによって、食い破られ始めた。

浮気男への罰とでもいうかのように、特に股間への攻撃が強烈だった。

いまだに意識は明瞭のまま、男のデリケートゾーンは見るも無惨な姿に。

やがて、朝日が昇り始め、カラスたちが活動を始めた。

男のもとへと降り立ったカラスたちは、ジワジワともてあそぶように、男の身体を痛めつけ、文字通り「死ぬほど痛い」苦しみを味あわせたのだった。

Concrete
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グロテスクな描写で恐怖が伝わってきました。

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