長編8
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後ろの正面、だぁ~~れ

年に一度のS子との夫婦水入らずで1泊2日の旅行

子供ができるまで本当にイチャイチャと騒ぎながらの旅行だった

子供ができてからはそんなにイチャイチャとはぜずにS子の能天気な話を聞きながらの旅行になった

さて・・・あの不思議な体験は結婚してから3年目だったかな

この年はなぜかホテルの予約がなかなか取れなかった

なんとか1週間前に予約が取れたので予定通り行くことができた

その旅行当日の朝4時ごろに荷物など車に載せてS子を待っていた

朝早く目覚めたので眠気がすごかった

ウトウトと眠気に負けそうになったがなんとか意識だけはと目を開けていた

パタン

と後ろのほうでドアが閉まった音がしたように思えた

てっきりS子が後ろの席に座ったのかと思い後ろを振り向いた

だが誰もいない

たしかに後ろのほうからドアを閉める音がした

しばらくすると能天気な声が聞こえてきた

「パパ~~!!おまたせ」

普段はこういう感じで車に乗り込んでくる

しかし、今さっきのは無言で後ろのドアが開き閉まったように感じた

ましてやS子は後部座席には座らない

私と2人きりの時は必ず助手席だ

どうも落ち着かない

しばらく能天気なS子の話を聞きながら運転をした

高速に入る前にコンビニへ立ち寄った

お菓子やジュースを買い込んだ

しかし、運転中は何か後ろに気配がして何度もバックミラーを見た

別に後部に異常はないのだが何か違和感があった

コンビニから出る前にS子が

「おっちーー!!、パパ・・・さっきからバックミラーを見てたけど何かあるの?」と聞いてきた

私はS子が乗り込んでくる前の出来事を話をした

「パパ・・・実は私も後ろが気になってて・・・怖いから後ろを振り向くのをしてないけど・・・誰かが後ろにいるような気がするんだぞ・・・パパ・・一度・・遠くから車の様子を見ようよ」

「え・・・」と私はS子の顔をじっと見た

私とS子はコンビニの店内から自分の車の様子を見た

自分の車はちょうど街灯の近くなので車内が見えた

ちょうど街灯の横に駐車をしたので前・後ろの席がよく見えた

しばらく見ていたのだが何も起こらず

もうそろそろお店から出ようとしたときに

S子が

「ちょっと待つんだぞ、おかしいんだぞ、今、後ろで何かが動いた気がするんだぞ・・

パパ・・もうしばらく様子を見るんだぞ」

私は気づかなかった

S子の言うとおりにしばらく見ていた

あ!!!・・・かすかに何かが動いた

人の頭?かな・・・影なのかよくわからないが黒い何かが動いた

何かキョロキョロと頭?顔?を動かしてる感じだ

私は咄嗟にS子にしゃがむように言った

「S子、しゃがめ、目を合わせるな・・・しばらく座っててくれ」

「おっちーー、わかったんだぞ、パパ」

しばらく座って隠れた

「もうそろそろいいかな」という感じで様子を見た

もうその黒い影は無かった

その黒い影の形というか動きというかなにかオヤジのような気がした

もちろんオヤジは家にいるはずだ

それに後ろの席に隠れるような場所はない

出るときにおふくろと一緒にいたのを確認している

念のためにオヤジに電話をした

案の定、怒りやがった

S子が咄嗟に代わった

すると今まで怒ってたオヤジが素直にS子の話を聞いていた

なんだこの態度は・・・

さて・・・どうしよう・・・

このまま目的地へ行こうか迷った

「パパ・・・予約もしてるしせっかく来たんだから

あそこへ行くんだぞ」とS子が言ってくれた

S子のこのひと声で行くことにした

見たいところを順に回ってもうそろそろお昼になる時間

お腹もすいてきたのであるお店へ入った

ニコニコと愛想のいい店員さんが応対してくれた

「2人ですけど・・・」と私が言うと

店員さんの顔が?マークのような顔をした

「あのぉ・・・お客様、3人様のお間違いでは…?」と聞いてきた

「え・・いえ、2人です」と言うと

ハッとした顔になり

「し、失礼しました・・・てっきり後ろにお客様がいたのかと・・・私の見間違いでした」と頭を下げた

私は?????5つだ

どういうこと?

3人?

え・・・・まさか・・・あの黒い影!?

店員さんに案内されてお昼の食事をした

「S子・・・今さっきの店員さんの言ってたこと・・・」というと

「パパ!!このお料理・・・おいしそうなんだぞ!私、はじめてみたんだぞ

」と珍しい料理に夢中になっていた

すごいな・・・この能天気さ・・・

私はとういうと少し神経質なところがある

今さっきの店員さんが言ってたことが少し気になる

「パパ!!、おいしいんだぞ!パパも食べるんだぞ」

「・・・・・」

義理父・義理母には悪いけどなんでこんな能天気が生まれたんだろ

この明るさ・・・私にも少し分けてほしい

食事も終わり

ホテルへ行く時間までのんびりと散歩をした

さてと・・・夕方になった

もうそろそろ宿泊するホテルへ行こう・・・・と車へ戻った時に

後ろのドアが少し開いててそれが閉まったように見えた

S子もびっくりした顔になっていた

「パパ・・・今の見た?」と聞いてきたから

「見たよ・・・少し開いてたよな…それが閉まった」と言うと

「うん・・・きちんと鍵を閉めたよ、私」

私たちは車から30メートルのところで立ち止まって様子を見た

しばらく見ていたが何も起こらず

「もうそろそろ行かないとホテルのチェックインに間に合わなくなるよ」とS子に言い聞かせて車に乗り込んだ

無事にホテルへ着いた

チェックインするときにフロントの人が

「あのぉ・・・お客様、確か予約では2人となっておりますが・・・3人様でよろしいでしょうか?」と聞いてきた

「いえいえ、予約した通り2人ですけれど・・・」

「え・・・今さっきもう一人、後ろに立っていましたけれど・・・お連れ様じゃなかったのですか?」と聞いてきた

私は咄嗟に後ろを振り向いたが誰もいなかった

「いえ、2人だけです」と言うと

「おかしいですね・・・今さっきいたと思ったのですが・・・」とキョトンとした顔で答えてきた

こ、こ、これは・・・間違いなく憑いてきてる

私はオヤジに電話をした

「そっか!やはりな、S子ちゃんの話を聞いてピーーンときた

今な、そっちへ向かってる、少し待ってろ」と言ったとたんにガチャンと切れた

私とS子はホテルの入口付近で待っていた

およそ30分後にオヤジが来た

「え!めっちゃ、早っ!」とオヤジに言ったら

「ピーーンときたら即行動、それが俺流だ!!ワハハハ」と高笑い

「今、ピーーンときたぞ、オヤジ、無料飯を食いたいがために早く来たんだろ?」

「バ、バカ、いえ!お前たちの危機を救いに来ただけだ」

オヤジの目は笑ってた、図星だ

「おい!早く飯を食おうぜ」とオヤジの催促

「いや、その前に憑いているもの何とかしてくれ」

「ちっ・・・仕方ない・・・あ・・ぁ・・・F!、お前の背中にピタッと憑いてるぜ」

「おい!!!何とかしてくれ」

「落ち着け!!この俺様は無敵だ、あっという間に一件落着だ」

どうでもいいけど早く除霊でもいいからしてくれ

オヤジは私の背中をおもっきし叩いた

「いてぇーーー!!」と思わず叫んでしまった

「男だろ!!我慢しろ!後10回叩くからな」

「ヒィーー、いいよもう!」と言うと

「あのな、この憑いてるものな、どこで拾ってきたか知らんが相当お前のことが気に入ってるみたいだぞ」とオヤジのニヤニヤ顔

「冗談はよせよ、オヤジ」

「あはははは」

もう1回おもいっきし背中を叩いた

「イタッーーーー」

「よぉし、これでOKOK、スゥ~~と消えていったぞ」

「おい、薬を今のうちに飲め」とオヤジが真顔になって話してきた

「S子ちゃんも、薬を飲んで」とS子にも薬を飲むように催促をした

「おっちーー、わかったんだぞ」

「さぁ、夕飯、夕飯」とオヤジの一声

夕飯も終わり部屋で少し休んでいた

オヤジが部屋の隅々を回り何やらブツブツと唱えていた

「オヤジ、何してるんだよ?」と聞くと

「シッ!少し邪魔するな」と後ろを振り向いて言ってきた

しばらく様子を見ていた

四隅、すべてに何やらブツブツと唱えていた

「今、結界を張った、これで少しは安心だ

今夜、もう1度お前に憑いていたモノノケが来る

いいか!何か起きようとも静かにしててくれ」

「え・・・さっき、除霊したんじゃないのかよ」

「あぁ・・・一旦は引き離した、だがな、あいつは戻ってくる」

ゾッと背中に寒気を感じた

「F、お前、ここ最近、帰ってくるの遅いけど残業か?」とオヤジが聞いてきた

「いや・・残業といえば残業だな・・・部署の連中と少し飲んで帰ってきてるけれど」

「あぁ・・その店って・・・○○という店だろ?」

「え・・どうして知ってるんだよ、オヤジ」

「お前の部署の中にちょっとお調子者がいるんじゃねーのか?」

「あ・・・確かにいる、あいつか・・・」

「そいつな・・・過去にとんでもないことをしてるぜ」とオヤジの顔が真顔になった

「え・・・どういうことだよ?」

「あのな、そいつな・・・もう10年ほど前にな・・・人を〇してるぜ、そのもののけが俺に言ってきたんだよ、「あいつが憎い」とな」

「おいおい・・・マジかよ・・・あいつ・・・そんな風には見えないけれどな・・・まぁお調子者だな、とみんな思ってる・・・あ・・そういうことか・・・わざとお調子者に見せてるだけか・・・」

「そういうこと、単に太鼓持ちじゃないぞ、そいつ・・・悪いことは言わねぇ・・・そいつをクビにするか、お前が部署を代わるか、どっちかにしたほうがいいぞ」

「いや・・それはな・・・難しいぞ、証拠がない・・・どう説明するんだよ、オヤジ」

「まぁ・・その件は俺が何とかするぜ」

なんだかな・・・オヤジが絡むとな・・・ややこしくなるからな

「もうそろろ寝ようか」とオヤジは部屋の明かりを豆電球の明かりだけにした

「S子ちゃん、何かあろうと声を出しちゃダメだよ、布団をかぶって目を閉じててくれ」

「パパ、わかったんだぞ」

私とオヤジはソファに座り様子を見た

私はウトウトと寝てしまった

廊下あたりが騒がしい

目が覚めた

「うるさいな・・・」

「シッ!しゃべるな」とオヤジが小声で注意してきた

廊下あたりでパタパタと人が歩く音がする

「結界が効いてるんだよ、あいつはこの部屋へ入れない」とオヤジは廊下のほうを見ながら話した

およそ30分間・・・ウロウロと歩く足音がしていた

朝になり私たちは早々にホテルから出た

とんでもない旅行になってしまった

Concrete
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