昔住んでいた家の話。
当時私は4階建てマンションの3階の一室に住んでいた。
その頃の私は、21時頃に帰宅し食事などを済ませ、02時ごろまでゲームをして寝るという生活をしていた。
窓の前にテレビラックを置き、月の光を入れながらテレビゲームをするのが好きで、いつも電気を消してゲームをしていた。
その日もいつものようにゲームをしていてそろそろ寝ようかと考えていた時に、ふと部屋に影が落ちた。
なんだ!?と思って窓を見ると、右上の方に何かが浮いているのが見えた。
大きな洋ナシのような歪な丸い何かが浮いていた。
驚き注意してみていたが、何があるわけでもなくその内、消えてなくなった。
気持ち悪かったが、何か実害があったわけでもないので気にせず寝ることにした。
それからその歪な丸い物体はたびたび現れるようになった。
私も何も実害もないので段々と慣れてきていた。
そんな生活も暫く続き、何気ない日を送っていたある日、ふと違和感を感じた。
あの影が動いていたのだ。
影が現れる場所が変わるのでは無く、影の向きが変わっていた。
影が少しずつ右回りしていた。
なぜ回っているのが分かったのかって?
影の半分くらいに色がついているのに気が付いたからだ。
肌色だ。
そう。
あれは人の顔だったのだ。
ずっと黒い影だと思っていたのは髪の毛だった。
私は毎日、後頭部を見続けていた。
その顔がこちらを向き切った時、私は心底驚いた。
見てしまった。。。。。
そこにはあった。
絶望、恐怖、憎しみ。
うまく言えないが、そのようなドス暗い感情をごちゃ混ぜにして叫んでいるような顔が。
私は怖くなり布団に潜り込み震えながら過ごした。
朝方、外も明るくなり少し恐怖心が薄れたころ、布団の外に出ることが出来、窓を眺めた。
そこには、青ざめた自分の顔が反射して映っているだけだった。
私は大きく息を吐き、安心感に包まれた。
が、ふとあることに気がつきさらに恐怖した。
夜中に見た顔だが、上の階からのぞき込むようにしてこちらを見つめていた。
顔の上下が逆、つまり目が下、口が上になっていたのだ。
なのにだ。
黒い部分(髪の毛)は上に向かって伸びていた。
上からのぞき込んだ場合は髪の毛は下に垂れ下がっているはずではないのか。
つまりあの顔はのぞき込んでいたのではなく、落下しているのだと。。。
そのことに気がついた瞬間に引っ越しを決めた。
作者たくねこ