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短編1
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夜明け前後の車怪

公休ながら、勤務先に忘れ物をして取って来た際に寝起き場所に戻ろうとして、私は一時停止の場所に来た。

暖かい日が少し増えたとは言え、夜明けの時刻はまだ遅く6:30過ぎでも、曇り空を思わせる濃い灰色が支配しており、夜明けを迎えると急激に元気な太陽が登場するのだから、不思議である。

で、私が一時停止する少し前に左手に同じくライトを点灯させたクラウンが停まっているので、パッシングをして「先にどうぞ」と私は合図した。

だが、クラウンにパッシングされ返されて不思議に思いながら直進すると、そのクラウンが左折して、私の後ろを付いて来る。

「サンキューハザードでも点滅させっか」

のほほんと考えた私は、ハザードランプを点滅させて、再び一時停止の位置に来て、左右を確認し車輛を左折させた。

………クラウンが出て来ない。

右左折するか直進するかしか無いし、まさか急にバックして行ったとも思えない。

真後ろに居て、尚且つ灰色の空でライトも点灯させていたのだから、その車輛ごと消失する筈も無いのだが───

まさか夜明け前後に変な体験するなんてと、ゾワゾワしながら、私より先に一時停止の位置に居たのに御譲りになるなんて………なんて、不思議な前兆が無かった訳では無いのだけど。

Concrete
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