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鳴き声、泣き声、無き声…

長編9
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鳴き声、泣き声、無き声…

夢を見た。

ずっと昔の、僕が幼い頃の記憶の夢だ。

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その時の事は曖昧だけれど、多分、まだ僕が小学校に上がりたてのころの記憶だ。

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その日僕は、1人で夕焼けの町を歩いていた。

新しく出来た友達と、5時のチャイムが鳴るまで遊んで、また明日って手を振った帰り道。

学校からの帰り道とほとんど同じ道だった。

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左手側には田んぼが広がって、右手側には疎(まば)らな民間と柿畑。

確か、5月くらいだったのだろう。

田んぼには二毛作の小麦が生えていて、柿の葉は薄く柔らかな色をしていた。

自分の背丈と変わらない生け垣に差し掛かると、西陽が隠れて、茶色い影が覆い被さった。

少しだけ暗いと思ったけれど、生け垣の根本に敷いてある、ごつごつと細かい砂利が、白と黒が混じってダルメシアンみたいで面白かったから、わざわざ暗い道の右手側を歩いていた。

すると、その生け垣が終わり、違うお家の駐車場の正面に出て少しだけ眩しくなった。

と言っても、もともと下の方を向いて歩いていたから、ちょっと目を細めて瞬きをすれば直ぐに視界は慣れるくらいだ。

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しかし、そのほんの1、2秒は少し足が遅くなって、しぱしぱと視線を動かしていたら、そこのお家の駐車場から、民家を覗き込む白いネコを見つけた。

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立ち止まり、じっと見つめる。

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僕は生まれつきネコが大好きだったから、わくわくしながら息を潜めて見つめていた。

駐車場の脇には、横に長いプランターが並べてあって、そこには白とピンクのシバザクラが植わっている。

ネコはそのプランターにお尻をくっ付けて、隠れるというより、物影に紛れるように身を伏せている。

ネコもシバザクラも、夕陽を橙色に浴びていて、斜めにすうーと影を伸ばしていた。

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ネコが見つめる民家は比較的新しいお家だった。

大きな窓にはクリーム色のカーテンがしてあって、中の様子は判からない。

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ぴくり、とネコの耳がその窓に向いたまま少し動く。

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不意に、赤ん坊の泣き声がした。

民家のカーテンの奥からだ。

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お腹が空いているのか、それとも機嫌が悪いのか、『おぎゃあ、おぎゃあ』と火が付いたように泣いている。

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ネコは、それをじっと見つめている。

ぴんっと立つ白い耳の片側の先に、少しだけ黒色が混じっている。

僕が居る事には、まるで気がついていない。

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そして、

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[……、

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……、

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……っ、]

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ネコが、泣き声を上げた。

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“鳴いた”のでは無い、“泣いた”のだ。

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カーテンの向こうの声と、寸分違わない泣き声だった。

その表情は真剣で、勉強熱心な優等生の様だった。

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『おぎゃあ、おぎゃあ』

カーテンの声は隔てられたようにくぐもっていて、

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[おぎゃあ、おぎゃあ]

ネコの声は夕空の下でよく通る。

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「……」

静かなのは、僕だけだった。

開いた口塞がらないのでは無く、閉じた口元が開かない。

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『[おぎゃあ、おぎゃあ]』

と、声は重なる。

赤ん坊の泣き声と、赤ん坊の泣き声を真似するネコに、僕はどうすればいいのか分からない。

でも、どうしてそう思ったのか、1人だけ静かでいる自分が不自然に思えた。我ながら、おかしな感性をしているのかも知れない。

けれど、今思えばこの空間で1番異質なのは僕の存在だったかも知れなかった。

そう思ってしまったから、

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「お…、おぎゃ……」

僕も“泣き声”を真似しようとした。

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瞬間、ネコが振り向いた。

上半身でガバッと振り向いて、ぎこちなく開こうとした僕の口から出た音に、ビクッと肩を少し上げていた。両方の耳が僕の方に向いていて、伏せた前脚の、右の方を少し前に出して地面を掴んでいる。

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しまった、、、そんな表情をしていた。

まるで、見られたくないものを見られてしまったような反応だった。

そしてそんな表情を一瞬だけ見せたかと思うと、直ぐに塀の向こうへ、ぴょんっと高跳びして、居なくなってしまった。

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寂しくなってしまったシバザクラの隣は、周りと同じ自然の色を残し、カーテンの奥の赤ん坊の泣き声だけが、ずっと続いていた。

ただただ何も分からないでいる僕は、その声を聞きながら、ネコが居なくなった場所を照らす、斜めの夕陽をいつまでも眺めていた。

…そんな夢。

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◯◯◯

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「(ごみのひ〜ごみのひ〜)」

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子鳥の囀(さえず)りに混じる声で、目が覚めた。

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「(ごみのひ〜ごみのひ〜)」

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ベットから首を横に向けると、南を向いた窓の外側、ベランダの手摺りに、カァカァと鳴くカラスがいた。

僕はその声に、そうか…今日は水曜日か……なんて、寝ぼけた頭でぼんやりと考えながら、枕元の目覚まし時計を見やった。

いつもより30分も早い起床だった。

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どうやら、ご機嫌なカラスに起こされてしまったようだ。

僕はじいっと、窓の向こうで風を浴びるように羽を広げるそいつに、物言いたげな視線を送る。

しかし、濡れた髪のように艶やかな黒いカラスは、まるで僕の方を見向きもしないで、カァーと鳴いては、まだ白い空へと好きなように飛んで行ってしまった。

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「(ごみ〜のぉ…)」

姿と共に消えてなくなった声に、小さくはぁと溜息を吐いて、羽毛布団を深く被った。

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……僕は、動物の声を聞く事が出来る。

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耳に届いているのだけれど、何となく脳内に直接受け取るような声として、その言葉が解るのだ。

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なんで聞こえるのかは判らない。

いつから聞こえるのかも判らない。

なにせ、初めて聞いた声の主がどんなだったのかさえ、てんで思い出せないでいるのだ。

だけど、物心ついた時から聞こえていた訳では無かったのは分かっている。少なくとも、先程見た夢の時期では、僕の聴覚に異常は無かった。

むしろ、小学校低学年の頃には「動物の声が聞けるようになれたらいいのに」なんて、子供っぽい幻想に、思いを馳せていた。

物心ついた時から大のネコ好きだった幼い僕は、言葉が分かればお友達になれるのではないかと、本気で考えていたのだ。

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まぁ、同じ言葉を話す上に種族まで一緒の“ヒト”とだって、僕は友達を作れないでいるのだけれど……

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カラスの居なくなったベランダの手摺りから視線を外し、僕は反対側の壁に寝返りを打った。

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僕が住む地域のゴミ出しの日は、毎週土曜日と水曜日だ。

カラスは頭が良いから、こうやってその曜日の朝にはややテンションが高くなる。

近所のざんばらなおばさんが、生ゴミの入ったゴミ袋をネットもかけずに適当に置いていくからだ。

だから、その生ゴミを目当てに、カラスはびっくりする程正確に曜日を憶えている。

多分、「スイカに身が付いてから1番美味しくなる48日後に、農家よりも早起きしたカラスが食べていくのはカラスが健気にも日付けを数えているからだ」という話も、あながち嘘では無いのかもしれない。

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そんな事をぼんやりと思いながら、ベッドに横たわったまま、背中を丸める。

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……深めに被った布団の中で、僕は二度寝が出来ずにいた。

寒いからではない。昨晩だって、寝付くのに中々時間が掛かった。

朝起きて、昨日よりは幾分か気持ちに整理がついたけれど、それでもどこか、学校へ向かう足が重い自分がいる。

というより、少し震えている、自分がいる。

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別に、勉強が嫌だからとか、クラスの誰かと喧嘩したからだとか、そういう訳では無い。

そもそも、未だ何も始まっていないのだから。

だってまだ、高校に入学して一週間も経っていないのだ。

授業も、人間関係も、校内の教室の配置さえ、未だ何も分からない事ばかりなのだ。

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だがしかし、新しい環境に対する不安で、学校へ行くのが億劫(おっくう)になっているという訳でも無い。

確かに僕は極度の口下手というか、ちょっとした対人恐怖症というか、所謂(いわゆる)コミュ症だし、ネコ型ロボットに泣き付く眼鏡の少年の如く勉強も運動も出来ない。何と言っても、農業高校に入るくらいなのだから。

だけどやっぱり、それらが僕の通学意欲を奪ったという訳では無い。

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すぅ……、はあ…

深呼吸とも、溜息とも取れる、重い息。生暖かいのに湿ったように冷たくて、布団の中で自分の手の甲にかかった息が、なんだか自分の息じゃないように思った。

鉛のような空気が、ずっと僕に纏わりついている。昨日の夜から、いや、昨日の午後から。

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寝汗をかいたのか、背中がすうっと冷たい。

こんなにも朝日が明るいのに、少しだけ、鳥肌も立っていた。

本当は、カラスの声が聞こえた瞬間も、ビクリと一瞬だけ身体が硬直してしまっていた。

否、羽ばたいて行く時のバサリという音にだって、心臓の鼓動が跳ね上がっていた。

それだけ、周りの音や声に敏感になっていた。

なんだかずっと、緊張しているみたいだ。

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原因は、判りきっていた。

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だから昨晩はずっと、ビクビクと震えていた…のだと思う。

怯え、恐怖し、畏れを抱いて、たった独りで縮み上がっていた。

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……だけど、

あの幼い時の記憶を夢に見て、そして昨日の農場での事を思い返して、考え至った事がある。

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…例えば、カラスはとても頭が良い生き物だ。

先程も述べた通り、物覚えが良くて、中にはクルミを割る為にわざと車に踏ませて実を取り出すものもいるという。

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犬だって、ヒトの言う事を聞けるくらいに、頭が良い。

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しかし、そんな頭の良い彼らだって、その言葉に耳を傾けると、一様に拙い喋り方をする。

ヒトのように長い文章をすらすらと述べる事なんて有り得ないし、何か興味を抱いたものを真似してみる事はあれど、考察をする事なんて出来やしない。

せいぜい「(おなかすいた〜)」とか「(あそんでくれるひとー)」とか、言葉を覚えたての子どものような、単語3つくらいで出来る文が限界だ。

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それが、動物というものなのだ。

ヒト以外の動物は、挑戦することは出来ても、考えることは出来ないのだから。

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僕はそれを誰よりも理解している。

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だからこそ、昨日の出来事が恐ろしかったのだ。

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僕は昨日、農業高校生活最初の実習で訪れた農場で、動物の声を耳にした。

あれはそういう聞こえ方だったから、確実に動物の声だった。

しかし、その言葉使いはまるでヒトのように饒舌(じょうぜつ)で、しかもあろう事か、他のどの動物ともかけ離れた知性を持ち合わせていた。

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そんなのは初めてだった。

だから僕はその未知の存在、有り得ない筈の存在に、酷く恐怖し、竦然(しょうぜん)としたのだ。

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そして、心のどこかでは、違う感情も芽生えていて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。

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…だけどあの夢お陰で、今は幾分か気持ちが楽になっている。

幼い頃の記憶を振り返って、思い至った事、

それはあの存在に対しての、僕なりの仮定であり、回答であり、願望を含む自己暗示であった。

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僕はこう考えることにしたのだ。

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「あの正体不明の声の主は、ネコである」

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赤ん坊の声をピッタリと真似するネコであるならば、きっと、はきはきと流暢(りゅうちょう)に喋ることが出来るのだ。

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あの時の僕はまだ動物の言葉が分からなかったけど、きっとあのネコならばヒトと同じ程の知性を持っているかも知れない。

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突拍子も無い答えのようだけど、何故だかそうだと確信を持っている僕がいる。

どこから湧いてくる自信かは判らないが、直感めいたものが、そうだと言っていた。

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そしてこの考えに思い至った瞬間から、僕の身体はまた震えて鼓動が早くなってしまっていた。

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それは未だ半分残る恐怖とは違った、興奮によるものだった。

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ぐるぐるとごちゃ混ぜになった感情は、坩堝(るつぼ)のようにぐちゃぐちゃだ。

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相変わらずベッドに横たわったまま、部屋の片隅に置かれた棚を見やる。

そこには色々な動物の本と、それに混じって妖怪や幽霊の本が並んでいる。

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冷たい布団の中で、きゅっと毛布の裾を握る。

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僕の心は、きっとあの時から変わっていない。

我ながら、おかしな感性をしていると思う。

……そう、きっと、異常者なのだ。

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