長編16
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わたし

皆さんはドッペルゲンガーという言葉を知っていますか?

世間で自分とよく似たような人物が3人はいるといわれている

しかし、今回の件は「よく似ている」ではなく「私自身」という現象が発生したのだ

自分自身が一番驚いた

顔つき、仕草、服装、癖・・・すべて「自分」なのだ

月曜日のお昼前にF子から不思議な電話をもらった

「アニキ!!!ちょっと・・・今、どこにいるの?」

「え・・会社だけど・・・」

「うそ!!本当は駅前の喫茶店にいるんじゃないの?」

「え・・喫茶店?いや・・・会社だよ」

「ええ・・・だって・・目の前にアニキと女の人がいるよ」

「はぁ?・・・F子!おまえも冗談が言えるようになった?」

「冗談は言ってないよ、アニキ!斜め向かい側にアニキと女性が座ってるんだよ

楽しそうに何か話してるし・・・」

「おいおい!俺は会社にいるんだよ、うそじゃない

「え・・うそだ、だって・・喫茶店にいるアニキ・・スマホを持って私と話してるじゃん

「はぁ???・・・ようわからん・・俺、すごく忙しいんだよ、切るぞ!」

「ア・・アニキ!!」

一体何だよ

F子が珍しく俺をからかうために電話をしてきたのかよ

なんかすごくむかついてきた

私は急いで家に帰った

F子がいた

「おい!!F子!昼間、なんだよ、なんのつもりだ!」

「アニキ!あの女の人は誰?きちんと説明してよね」

「はぁ?女の人?俺は会社にいたんだぞ」

「うそだ!喫茶店にいた!私とSアニキがちゃんと見たんだから!ね、Sアニキ」

「う・・・・まぁ・・・そのぉ・・・」

「なに!そのあいまいな言い方!Sアニキ!私と一緒に見たじゃん」

「あ・・・まぁ・・・」

「もう!!!Sアニキ!証拠をアニキに見せてあげて」

「はぁ・・・F・・・これを見てみろよ」

S君がスマホを私に見せた

私は全身から血の気が引いていくような錯覚に陥った

たしかに「わたし」が映っていた

服装も同じ

顔も私

「ね!これ!どうみてもアニキだよね?ちゃんと説明してよね」

「いや・・・え・・俺は会社にいたんだ、喫茶店には行っていない」

「え・・信じられない・・アニキ・・これどう見てもアニキだよね?

この女の人は誰?関係は?名前は?」

「いや・・俺は知らない、知らないよ」

「アニキ!!いい加減にしてよね、こんな立派な「証拠」があるんだよ

何で正直に話さないの?」

「だから!俺はずっと会社にいたんだよ、うそじゃない!

T先輩や会社にいた連中に電話をして聞いてみろよ、F子」

「もう!!頑固!アニキ!・・もういいよ!S子ちゃんに話すから」

「おいおい!!!ちょいちょいまち!!ちょっと待て

、落ち着け!F子!」

「私は落ち着いてるよ・・・アニキ・・・きちんと説明をして・・・ねっ!」

「だから!俺は喫茶店には行ってないし女の人は知らないよ」

F子の目に涙が出ていた

S君はオロオロしてるだけ

私はどうなっているのかさっぱりわからない

確かに動画内の人物は「わたし」なのだ

しかし、私はこの時間には会社にいたのだ

T先輩と仕事の話をしていた

一体どういうことだ?

「おっちーー!!!ただいまなんだぞ!!夕食のおかずを買ってきたんだぞ!

今晩はハンバーグを作るんだぞ!」と能天気なS子の声が聞こえてきた

S子がリビングへ入ってきた

「おっちーー・・・・どうしたんだぞ?」とS子のびっくりした顔

「おっちーー!F子ちゃんが泣いてる!パパ!!F子ちゃんをいじめたんだな!!

大事な妹を泣かしたんだぞ!パパでも許さないんだぞ!!」とS子の怒った声

「違うよ、誰もいじめちゃいないよ・・・」

「うそなんだぞ、何で泣いているんだぞ?Sアニキがいじめたんだぞ?」

「違う!俺じゃないぞ、S子!」

「うううう!!!嘘つきアニキ達!!」

「うるせーな、どうした?」と3人娘とオヤジがリビングへ来た

「おっちーー!!パパ!F子ちゃんが泣いているんだぞ」

「なに!!オオ、ホントだ、おい!F!!!てえめぇ!!謝れよ!!」とドスの効いたオヤジの怒声

「オヤジ!俺じゃないよ・・・」

「じゃ!誰だよ?」

「いや・・・そのぉ・・・おやっさん・・・」

「Sちゃんかい!」

「いや・・俺じゃない・・・おやっさん」

なんかややこしくなってきた

もう険悪なムードだ

3人娘たちも何か起きているのかわからない顔をしていた

「パパ・・・これ・・・」

F子はオヤジにスマホの動画を見せた

「おいおい!F子・・よせ!」

オヤジの顔が一気に表情が変わった

アカン・・・殺される・・・まだまだやりたいことがたくさんあるのに・・・

「F!!!・・・おまえ・・・説明してみろよ」と怒声

「いや・・本当に俺は会社にいたんだよ、オヤジ、嘘じゃない

俺自身もびっくりしてるんだよ」と言うと

「・・・・だよな・・・説明なんかできやしねーよな・・・」と言ったきり無言になった

数分間の沈黙

「こりゃ・・・あかんぞ・・F・・・おまえ・・・大変なことになってるぞ」と震えた声でオヤジが私を見た

「え!?・・・なに?どういうこと?」

「あのな・・・ここに映ってる奴な、確かにお前なんだよ」とオヤジが言うと

F子が大泣きした

S子はキョトンとした顔

「かつ、お前じゃない・・・これはおまえの分身というか人形(ひとかた)なんだよ

おまえ・・だれかに呪いをかけられてるぞ・・・ちっ!」

「え・・・呪い?誰に?人から恨まれることはしたことないよ・・・」

「だとおもう・・・おまえが人から恨まれるような人間じゃないさ」とオヤジは下を向いたまま何かを考えていた

「え・・呪い?・・・アニキ・・・」とF子はびっくりした顔で私を見た

「おっちーー・・・パパ・・・」とS子は心配な顔をしてこちらをみている

「F・・・」とS君も悲しそうな顔をしていた

「アニキ・・・ごめん・・・」とF子は私の手を握ってきた

「いいよ・・・別に・・・」と言うと

「うん・・・アニキは不細工だけど・・・絶対にS子ちゃんを裏切らないと信じてたよ」とさらに強く手を握ってきた

おいおい・・・今さっきのあの疑惑の目はなんだよ・・不細工は余計だよ

一応疑いは晴れた

「しかし・・・いったい誰だ、俺のせがれに人形(ひとかた)を作った奴はよ

それも超高度な技術で作られてるぜ・・・本物と瓜二つじゃないか

・・・・・まぁ・・・」と言ったきりオヤジは無言になった

「まぁ・・思い当たるフシはあることはある・・・俺の親族家系ならこのくらいは作れる・・あとは・・・あの忌々しい一族だな・・・チッ・・・」とオヤジは天井を見上げて一呼吸をした

「とにかく・・・この人形(ひとかた)を消さないとな

明日、おれのおじきに聞いてみるけど・・・くそ坊主にも手伝ってもらうか

それと、隣にいる女は誰なのか・・・早く解決しないとえらいことになる」

「まじかよ・・勘弁してくれ・・・一体目的は何だよ・・・」

事態は・・・さらに悪化していた

私の体調がどんどん悪くなっていった

和尚様の薬も効かない

体が宙に浮いた感じなのだ

足が地面に着いていない感じ

そして時折・・電気が背中を走っていく

そして・・・耳元で誰かが囁いてる

立つこともできなくなってしまった

横になっていても宙に浮いた感じ

「こりゃ・・・あかん・・おじきにも聞いたんだがこんな完璧な人形(ひとかた)は初めて見たと言っていた・・・俺もだ・・・瓜二つだ・・・かならずあの人形(ひとかた)を作り操ってる奴がいる・・・そいつを見つけないと・・・人形(ひとかた)が「本物」にすり替わるんだよ・・つまり今見ている本物のFが偽物になってこの世から消える

それも時間の問題・・・おそらく1週間後にはお前、消えるぞ」

「おいおい!!!オヤジ、目の前で言うなよ・・・」

「とりあえず、時間稼ぎの方法はわかってる・・・とにかくお前は横になって寝てることだ

・・・体調不良や悪夢を見るけど・・・・それはすべて「幻」だ

とにかく我慢しろ」

「もうな・・・体中が痛いんだよ・・・なんか体が宙に浮いてる感じだし・・」

「明日、くそ坊主が薬をもってくるからな、くそ坊主と何とか対策するからな」

症状が出て1週間が過ぎた

日々追うことに痛みが増し体全体がねじれてるんじゃないかという感覚に陥っていた

明日、和尚様が新しい薬を持ってきてくれるので少しは楽になるのかな

娘3人組は毎日私の様子を見に来てくれた

「パパ・・・痛いの?ここ?大丈夫」と楓の優しい声で少しは痛みが和んだように思える

「おじ・・・さん・・カナ・・・少し力をお・・じさんにあげるね」とカナちゃんは私の手を握ってくれた

少し「自分」という感覚が戻るような感じがした

「パパ・・・あたち・・・どうしよう・・・」と葵は涙声で私の傍で泣きそうな顔をしていた

食欲も落ち・・・食欲がなくなった

寝れば・・・なんか・・・悪夢なのか・・・うなされているらしい

翌日の昼に和尚様が来てくれた

「なんとか薬は作り申したわい・・・でわ・・」と言いながら2粒私に渡して白湯で飲んだ

しばらくすると喉のあたりから何か新鮮な空気が流れてくる感じだ

それが全身に渡っていく感じ

体が宙に浮いていた感覚がなくなり横に寝ているという通常の感覚に戻ってきた

「和尚様・・・なんか体が軽くなってきました・・・息も楽に吸えるし・・・」

「それはよかったですわい・・・基本的に漢方薬なので副作用も少ないはずですわい

気分が悪くなってきたら2粒飲んでくだされ・・・」

「話はオヤジ殿から聞き申したわい・・・完全に「人形(ひとかた)」ですわい・・・

普通は・・・紙とか木とかで人に似せて作るんですけれど・・・そのぉ・・動画を見せてくだされ」と和尚様が言ってきたのでS君はスマホの動画を和尚様に見せた

和尚様の顔色が一気に変わった

「これは・・・あかんですわい・・・完全に「人間」として誰かが作り申したわい・・・

何で・・恐ろしいことを・・・その横にいるの女子が恐らくこの「人形(ひとかた)」を作った人物かまたは操作をしてるんでしょうな・・・見た限り・・・まさに本物に近いですわい・・・オヤジ殿と相談して対策を考えますわい・・・」

和尚様は仏間の方へ行った

薬が効いているのか久しぶりに体が軽くなった

久しぶりに自分の寝室で長時間寝た

窓から人の声や車の音がよく聞こえてきた

お腹が空いてきた

私はリビングへ向かった

リビングではおふくろやカナちゃんのママ、S子・F子たちがおしゃべりをしていた

「おっちーー、あれ!パパ、起きて大丈夫なんだぞ?」とS子はびっくりした顔になった

「うん・・・薬を飲んで体が軽くなった・・・お腹空いたよ」

「お腹空いたんだ・・・パパ、少し待って何か作るんだぞ」とS子は台所へ行った

「F・・・災難だね・・・誰だろうね・・・本当に迷惑だよ」とおふくろはぼやいていた

「アニキ・・・大丈夫?困ったことがあったら何でも言ってね・・・」とF子が優しい言葉をかけてくれた

オヤジと和尚様とS君と2人の娘がリビングへ来た

「今晩、なんとか人形(ひとかた)を無効化というか呪いを解けるようにはするからな

それまではゆっくりとしとけばいいぞ」

「オヤジ・・・そうするわ・・・後でお風呂も入りたいし・・・お腹すいたし・・・」

「おっちーー!!料理できたんだぞ、食べるんだぞ、おかゆと梅干と焼き魚なんだぞ、おいしいんだぞ、パパ、ゆっくり食べるんだぞ」とS子が料理を持ってきてくれた

久しぶりの食事

おいしい!!素朴なメニューだけどお腹がすいているからうまい!!

「パパ、良かったんだぞ、葵、もおかゆ少し食べたいんだぞ」と私のそばに寄ってきた

「カナ・・も、食べたい」とカナちゃんもおかゆを見ていた

「少し余ってるから持ってくるから・・・少し待つんだよ」とおふくろはキッチンへ行った

3人で食事をした

家族との食事もひさしぶり

わたしはのんびりとリビングでTVを見た

少し眠気が来たのでソファに横になり寝てしまった

目が覚めた、もう夕方になっていた

リビングではワイワイガヤガヤと騒々しかった

「あ!パパが起きたよ、ママ!!」と楓の声

「パパ、大丈夫?帰ってきたらソファで寝てたから・・」と楓の心配した声

「大丈夫、ゆっくりと寝れたよ・・・」

私はカウンターの椅子に座りコーヒーを飲んだ

体の調子は良かった

「とりあえず、今晩・・・時間稼ぎにはなると思うが・・・一応・・・仏間で寝てくれ

その間に、くそ坊主にお経と呪縛を解く術を俺がするからな

相手へ送り返す術だ、それで犯人はわかるはずだ」

「さようですわい・・・なんとかしますわい」

夜中11時を過ぎた

子供たちはぐっすりと寝ている

「そろそろはじめるか・・くそ坊主、お経を唱えろよ」

「わかりもうしたわい・・・」

和尚様のお経の声が部屋中に響いた

そして・・オヤジの訳のわからない言葉で何かブツブツ言ってる

私の頭の中に和尚様のお経が響いていた

段々と眠くなってきた

しばらくすると・・・

私は駅前の喫茶店の前にいた

後ろから女性の声がした

私は振り返ってその女性を見た

全然知らない女性だ

何か女性がしゃべっているが何も聞こえない

その女性が私の腕をつかみ喫茶店へ入ろうとした

私はびっくりしてその掴んだ女性の腕を振り払った

女性はびっくりして、また何かしゃべっている

それでも私の腕をつかんで喫茶店へ連れて行こうとしている

仕方なしに私はついていった

窓際から道路がよく見える位置の席に着いた

女性が何か注文をしている様子だった

しばらくするとウェイトレスが注文をした品物を持ってきた

女性はうれしそうな顔をして食べ始めた

いったいこの女性は誰なんだ?

すると突然、スマホが鳴った

見るとF子からだ

((

「アニキ!!!ちょっと・・・今、どこにいるの?」

「え・・会社だけど・・・」

「うそ!!本当は駅前の喫茶店にいるんじゃないの?」

「え・・喫茶店?いや・・・会社だよ」

「ええ・・・だって・・目の前にアニキと女の人がいるよ」

「はぁ?・・・F子!おまえも冗談が言えるようになった?」

「冗談は言ってないよ、アニキ!斜め向かい側にアニキと女性が座ってるんだよ

楽しそうに何か話してるし・・・」

「おいおい!俺は会社にいるんだよ、うそじゃない

「え・・うそだ、だって・・喫茶店にいるアニキ・・スマホを持って私と話してるじゃん

「はぁ???・・・ようわからん・・俺、すごく忙しいんだよ、切るぞ!」

「ア・・アニキ!!」

))

んんんん・・・どこかで聞いたセリフだ・・・

待てよ・・・これ・・・ずっと前にF子とやりとりをした電話じゃないか

どういうことだ?

え・・・もしかして・・・F子たちが見たのは・・・やはり私なのか?

これは夢だろ・・・

「おいおい!!F!!!起きろ!!!」とオヤジの叫び声

「え・・・あ・・・・」と体が動かない

「おい!!!・・・こりゃ・・くそ坊主、もっとお経を唱えろ」

「はい!!」

私の体は完全に金縛りになっていた

意識だけはあるのだが体が動かせない

オヤジは私の上半身を起きさせて背中からおもいっきし叩いた

3回ほど叩かれてやっと自由に体が動くようになった

「オヤジ・・・動けるようになった」

「よぉし!!大丈夫だ・・・」

だいぶ落ち着いた

「オヤジ・・・夢を見た」

「お・・・まさか・・・あの時の喫茶店のことだろ?」

「え!!!どうしてわかった?」

「やはりな・・・この前の動画を見たときにな・・おまえが映っていたんで・・びっくりした・・・あの時の状況を見て咄嗟にごまかしたけど・・・動画内に映っていたのは間違いなくおまえだよ・・・つまり、同日同時刻におまえが2人いたことになる・・・今さっき、お前が「夢」だと言っていたがあれは「夢」じゃなく時空を超えてあの時の時間帯におまえはあの喫茶店にいたんだよ・・・いわゆる幽体離脱だ・・・その「人形(ひとかた)」にお前の魂が入ったということだよ・・・おまえの分身な・・・」

「よくわからん・・・夢を見ていたんじゃないんだ・・・とおりでなんとなくリアルっぽいというか・・・感覚というか感触というか・・・なにか現実というか・・・説明できない・・・でも・あの女性は一体だれだろう・・・全然知らないんだよ」

「その女性に無理やり喫茶店へ連れていかれんだろ?」

「ええ、どうしてわかったんだよ、オヤジ」

「やはりな・・・おまえ・・・とんでもないのを引き込んだかもしれんぞ・・・

女性に見えたのかもしれないが・・・そいつは「死神」だよ・・・」

「え・・・うそだろ・・・オヤジ・・・」

「間違いない・・・この前にも言ったと思うけど「霊感」がないわけではないんだよ、自覚がないだけ・・・だからいろいろな霊を引き寄せてる・・・自分自身、きちんと「霊感」があると自覚しないと死ぬことになるぞ・・・とりあえず相手の正体はわかった・・・だけどな・・いくら俺が神の一族の子孫だからといってなんでも除霊ができるわけではない

特に「死神」は神と真逆の存在・・・意味わかるか?」

「全然・・・わからん」

「つまり力はお互いに同じくらいなんだよ・・・まともに戦ったら共倒れになる恐れがある

・・・一応・・奴とは話し合うけれど・・・もし聞き入れられなかったら・・・俺はあきらめる・・・おまえのこともな・・・」

「オヤジ・・・・」

「オヤジ殿の言うことは間違いないですわい・・・私も力添えしますけれど・・・

相手次第ですわい・・・・」

どうやら私はとんでもないものを引き寄せたようだ

「オヤジ・・・これからどうしたらいいんだよ?」

「まぁ・・普通の通りに生活をしとけ・・・あとは俺が何とかする、クソ坊主もいるし・・・おじきにも話すからな・・・まぁなんとなるさ」

「さようですわい・・・気になさらずに普通に生活をしてくだされ・・・」

普通に・・・と言われてもな・・・

2日後にオヤジのおじが我が家に来た

「ひさしぶり!えらいことになったの・・・あいつから聞いた時には驚いてひっくりかえったわ・・・まぁ・・話の内容から大体のことはわかった・・・とにかくお前の「分身」を本体へ戻さなくではな・・・明日から3日間・・・わしと例の和尚とあいつとで「死神」と話すからな・・・そんなに心配することはないぞ」

「話し合いって・・・そんなことできるのか?」

「あ・・・普通の話し合いじゃない・・・説明がしにくいな・・・とりあえずは普通の生活をしてればいい」

オヤジ連中はおじの寺で「死神」と「対話」をした

結果的に話すと・・・・

私の寿命を10年短くすることで「死神」は手を引くと約束をしたらしい

ものすごい攻防をひろげたらしく何とか妥協できる限界ギリギリまでがんばったらしい

それを聞いた時には私の意識が無くなりそうになった・・・・

私の寿命が10年短くなるなんて・・・

深夜に私とS君とオヤジと和尚様の4人がリビングで「今回の件で確認がしたい」とオヤジの提案で集まった

「オヤジ、和尚様、ありがとう・・」と頭を下げて礼を言った

「おいおい・・せがれよ・・無事に解決したからいいってことよ」

「さようですわい」

「今回の件な・・・俺は・・・なんとなく・・・腑に落ちないことがある

とくにあの「死神」・・・本当に死神だったのか・・・」

「さよう・・・わしゃも・・・ちょっと・・・とおもいましたわい」

「ものわかりが良すぎるってことよ・・・たしかに無茶な要望をしてきた・・・

そのことで争いにはなった・・・けどな・・・「お前の寿命10年で・・」と俺がおもわず口に出してしまった・・・そしたら・・即答でOKになった・・・呆気にとられたよ」

「わしゃもです・・・え!?・・・となりもうしたわい」

「なんかおかしいですわい・・・あっさりしすぎですわい・・」

「そうなんだよ・・・こりゃ・・・何かあるよな」

あれやこれやと話しているうちに・・・・全員が「あっ」という声を出した

4人とも・・顔を見合わせてうなづいた

「もしかしたら・・・」とオヤジが言うと全員が「そうかも」と答えた

およそ1か月後・・・あの忌々しい一族から電話がかかってきた

あの忌々しい一族の「主」が急死したということだ

聞くと食事中に突然を血を吐いて苦しみ悶えて死んだということだ

私とS君は「まさか・・・」と声を出してしまった

また深夜にリビングで私とS君とオヤジで例の電話について話をした

「こういうことだったか・・・・見事にやられた・・・せがれをダシにしやがった

くそ!・・・早く見抜けば・・・くそっ!!!」とオヤジは悔しさで涙が出ていた

まんまとしてやられた

真の狙いはあの忌々しい「主」を殺すことだったんだ

私はあの忌々しい一族の争いのダシに使われた

真の犯人は次期「主」になる長男だと思う

すべてを操っていたのは長男だろう

すべて前の「主」へ呪いが返るように長男は呪詛したんだ

見事にその罠にかかってしまった

「ちょっとまって・・・じゃあ、俺の寿命10年は無効なのか?」

「あ・・・どうだろ・・・わからん・・・」

直接手を下さずに他人を利用して殺す

呪詛一族らしいやり方だ

「しかし・・・ここまでして・・・そんなに一族の長になりたいのか・・」とオヤジは考え込んでしまった

おふくろと私とオヤジはあの忌々しい一族の葬儀に出た

一応密葬という形で葬儀は行われた

私たち家族だけが葬儀に来たようだ

ほかの一族は誰も葬儀に来なかった

葬儀もスムーズに執り行われていった

オヤジが怪訝そうな顔をしてこっちへ来た

「おい・・・いまさっきな、あっちの一族の話を聞いていたんだが・・・」

オヤジの話では

忌々し一族の連中は「誰かに呪い殺された」という噂話になっていた

「そりゃそうだろ・・・あいつらがしかけてきたんだから」と私が言うと

「いや・・・あのな・・・どうもあちらさんのほうはマジで誰かに呪い殺されたんだという話になってる・・・つまり・・・俺たちが「主」を呪い殺したんじゃないのかと俺は今さっきの話を聞いててそう思った・・・」

「マジかよ・・あいつらが仕掛けてきたんじゃないの?」

「いや・・そんな感じではなかった・・・」

「もし・・本当にあいつらが仕掛けてなかったら・・・いったい誰だ?

というより・・・こりゃ緘口令を敷かないと・・・今度こそあいつらの「呪詛」で殺されるぞ・・・」とオヤジはささやくような声で私たちに言った

「こりゃ・・・問題だわね・・・Sちゃんにもきちんと話をしなくちゃね」とおふくろは緊張していた

一体・・どうなってるんだよ

本当の真犯人は誰なんだよ

こりゃ大変なことになった

バレたら・・・

私たちは早々に忌々しい一族の家から出て急いで家路についた

車の中でもそのことでもめた

いつ・・・バレるのか・・・戦々恐々だ

こんな仕掛けをしたのは誰?

Concrete
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