タルパさんの語り6(すりガラスの向こう側)

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

タルパさんの語り6(すりガラスの向こう側)

『生霊考察』で登場したカナコさんを覚えていますか?

そう。白檀製の仏像を持ち、タルパさんに渡したラピスが開眼したと言う方ですね。

霊能力を持つ為、不思議な事が起きたそうです。

タルパさんがF県K市でカナコさんと暮らしてた頃の噺を聞かせてくれました。

separator

タルパさんその頃。2交代制の工場で社員をしていました。

日勤の週が終われば、次の週は夜勤。

そんなシフトだった。

ある日の事。夜勤終わった後、当時の浮気相手のリクさんを学校に送ってから家に帰りました。

その日は、カナコさんお休み。

彼女が起きてたら、どう言い訳しようかなんて考えながら、帰路に着いてました。

家に着くと、カナコさんは寝てる。

彼女を起こさない様にシャワーを浴びる為にバスルームに入ります。

「おかえり」

突然声をかけられてビックリした。

タルパ(カナコの奴いつの間に起きたんだよ…)

タルパ「悪りぃ、起こしちゃった?」

「ううん」

バスルームのすりガラスには人影があります。

あれ?おかしいんだ。

カナコさんね。何時もなら、お構い無しにバスルームに入ってくる。

「今日は遅くない?」

タルパ「作業少し届かなくてさ…」

「ふーん。ご飯は?食べて来た?」

タルパ「まだ」

こんな感じでね。話しかけてくる彼女に当たり障り無く返答するんだけど、違和感が募って来る。

この、何時もなら起きない事に心臓の鼓動が早くなっているのも感じる。

辞めれば良かったんですけどね、タルパさんは言った。

タルパ「ところでカナコは?」

「まだ寝てるよ。キャハハハハハ」

するとね。さっきまで、すりガラスの向こう側に見えてた影が消えた。

そこで、タルパさん。大声でカナコさんを呼んだ。

すると、起きたであろうカナコさんが眠そうな顔で、バスルームに入って来た。

カナコ「あー、おかえりなさい」

何時ものカナコさんで安心したのも束の間。

無表情で抑揚の無い声で

カナコ「今日もリクちゃん送って来たんだ…」

あの時、バスルームのすりガラスの向こう側に居たのはなんだったのか。カナコさんに聞けなかった。

流石にあの時は死を覚悟したなんて言ってましたよ。

俺もね、その噺聞いた時不思議に思いました。

俺が聞いたのはこんな噺でしたよ。

Concrete
コメント怖い
2
4
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

タルパ さんへ
あー、うん。実はこの噺、ユーザー外(怖をポチれない方)からの評判がかなり良いですね。
俺の作品はユーザー外の人気が高めなんですよ…

返信
表示
ネタバレ注意
返信