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前職の職場で社員旅行に行った時の事です。
不思議な話で、しかもオチもありません。
聞いてください。
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1泊2日の旅行に出発です。
バスに20人ぐらい乗って高速道路を走っていました。
僕はいじられキャラで、男子からも女子からも、後輩にもからかわれる様なキャラでした。
その旅行も、みんなと和気あいあい、楽しい車内でした。
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「次のSAで休憩するよー」と上司。
トイレに行ったり、買い物したり、それぞれが楽しそうに行動していました。
僕は仲間とフライドポテトや、たこ焼きを食べたりしていました。
「そろそろ出発の時間だね」と、みんなでバスに戻りました。
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それまでは、何も変化のない、普通の時間でした。
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バスに乗り、エンジンがかかり、出発しました。
その時、別の団体旅行のバスとすれ違いました。
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その時、なにか異常な違和感を感じました。
え…?と思い、廻りを見たら、そのすれ違っていくバスの乗客が、全員僕を見ているのです!
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窓側の人はもちろん、反対側に座っている遠い席の人も身をのばして覗き込んでまでも見ています。全員が。
気のせいではなく、全員僕と目が合っているのです!
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瞬きもせず、僕を「凝視」をしているのです。
まるで僕を見たまま時間が止まってしまった様に。
怖いけど、何が何やら判らず、目がそらせません。
何?どうして?僕に何かあるのか?
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バスは少しずつ遠ざかり、見えなくなりました。
僕は、鼻血でも出てるのかな?と思い、鼻を拭ったりしてみました。
何も判りません。
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「いや。ビックリしたよぉ。さっきのバスの人、全員僕見てたよ…」
と隣の友達に話しかけようとした時、さらに衝撃を受けました。
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瞬きもせず、僕を見てたのです。
さっきのバスの人達と同じ表情で!!
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「え、おい!何だよ!」と言った僕の視界に入ってきたのは、同僚20人の、同じ表情でした!!
全員、黙って動かず僕を凝視していたのです!!
バスガイドさんまで!
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ものすごく怖くなり、「何?何ですか?僕になにかありましたか?」と、敬語になってしまいました。
すると、すぐその凝視は解かれ、みんな普通に戻ってそれぞれが廻りの人と話し始めました。
怖さのあまり、ものすごく長く感じましたが、たぶん10秒ぐらいだったと思います。
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隣のやつも「いやぁ。食べ過ぎたな。目的地に着いても夜メシ食えねーよなー」なんてお気楽に喋りかけてきます。
「いや、ちょっと待てよ。何だったの?さっきの凝視」と聞いても「は?どうしたの?何それ」と、全く何も覚えていません。
他の人に聞いても「KOJIなんて見てねぇよ」「えー私、さっきから○○ちゃんと話してたよ」と、みんな本当に判っていない様です。
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ドッキリかなと思ったのですが、ネタバラシもありませんでしたし、何より他の団体客のバスの関係ない人達も同じ表情でした。
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あの、全員が僕を見たまま止まっている映像が、今でも忘れられない怖い想い出です。
あの数十秒、何があったんでしょうか…。
作者KOJI