今回は自分自身の能力の恐ろしさを指摘された
今まで全然気づかなかった・・・
久しぶりにS君やF子が帰ってきた
「やっぱり、ここが一番落ち着く」とF子の大きな声
夕食もいつもながらの賑わい
人数が多い分仕方ないか
「先週な・・・おもわぬ人間に会ったぞ、F」
「え・・・誰?」
「ほら中学校の時の同級生のBだよ」
「え・・・B?・・・」
「ほら・・いたろ、不良グループ、その中のBだよ」
「あぁ・・・あいつか!「おしゃべり不良」と呼ばれてたっけ」
「そうそう・・あいつに会った・・・もっと驚くのはきちんと髪を7:3にわけてたことだよ・・・サラリーマンしてる・・・はじめ、誰だか分らなかった・・・あまりにもギャップの差が激しくて今でも正直信じられん」
「うそだろ!7:3・・・信じられん・・・あの頃は中学生のくせに金髪でリーゼントだったぞ・・あ・・オヤジもそうだったな・・・」
「たしかに、おやっさんもリーゼントであきらかに「不良」ですという格好だったもんな
まぁ・・今でもあんまし変わらんけど」
「はははははは!!!」
「そのBがF、おまえのことを話し出したんだよ」
「え・・・俺?・・・」
「そう・・・おまえのこと・・・不良グループの間では「絶対に手を出すな」と言われたらしい」
「え?・・どうして?」
「ほら、あいつ・・・番長のGがおまえのこと怯えていたらしい」
「よくわからん」
「俺もよくわからなかったからしつこく聞いたんだよ・・・そしたら・・・番長のGが「あいつの目を見たことあるか?・・・時折、するどい眼光で俺をにらみつける時がある
顔は怒っていない・・・でもその目を見ると明らかに殺意を感じるんだ・・・いいか、おまえら、あいつとは関わるな・・・あんなボケた顔をしてても俺は目を見りゃわかるんだ・・・」という感じで番長がBに話したらしいんだよ」
「え?・・・俺って・・・番長にガンつけなどしたことないぞ・・・ガンを飛ばしたらなにされるかわからんし・・・そんなに俺の目って鋭いか?」
「俺もびっくりしたけど・・・俺的には鋭いとは思えないが・・・」
「ふっ・・・見る奴はわかるもんだな・・・恐れ入ったぜ・・・その番長、すごいな・・
一度、タイマンしたかったぜ」
「おやっさん・・・あの番長の喧嘩の強さはすごかったよ、ほぼ県内の番長をボコボコにしたんだからさ・・あ!・・・おやっさんには敵わないと思うけど・・・」
「そんなに強かったのか、Sちゃん、時代が違うからな・・・F!・・・おまえ、そこんところも自覚してないよな・・霊感はないと言ってるがこの前も言ったけど自覚がないんだよ・・それと同じで鋭い眼光さえも自覚してない・・・」
「いや・・オヤジ・・自覚も何もそんな目をしたことはない」
「ふっ・・・おまえが子供時代のときによくお小遣いをせびったろ・・俺が怖い顔をして脅して小遣いを巻き上げてた・・・でもな・・俺もお前が怖かったんだよ・・・おまえ自身が怖いんじゃない・・・おまえの目の奥に潜んでる「眼光」が怖かった・・俺も他人から「鋭い眼光してる」とよく言われるがそれは単に相手をびびらせる「眼光」だ・・だけどな・・せがれ・・・おまえの「眼光」は人を殺す「眼光」なんだよ」
「え?・・・よくわからん・・・オヤジに勝てるとは思ってないよ・・・逆に半殺しにされる」
「それだよ・・・思い込みなんだよ・・・俺に勝てるわけがない・・という思い込み
小学生の時のせがれなら俺は勝てる・・だが・・・今は・・・俺が負ける」
「おやっさん!マジで言ってるんすか?」
「マジだよ、Sちゃん・・・こいつが本気の怒りが出た時には俺自身の命が危ない・・・せがれのマジ怒りモードで睨み合いしたら俺・・完全にビビる・・・一度人間はビビると何もできなくなる・・・そういう要素をせがれは持ってる・・・」
「おいおい・・・オヤジがビビるわけがない・・・今でもオヤジは怖いぞ・・・オヤジ、年を取ったな」
「確かに年を取ったさ・・・多少人間的にも丸くなったと思う・・・でもな、せがれ・・お前の「眼光」の鋭さは全然衰えてない
俺は内心「せがれとマジ喧嘩したら・・・恐らくあの世へ行くかな・・・」とお前を見るたびにそう思う・・・喧嘩せずに相手を黙らせる・・・究極の勝つ方法だよ」
「おやっさんが負ける・・・信じられない・・・Fは大人しい地味な奴だぜ、おやっさん・・買い被りしすぎだよ」
「せがれは確かに大人しい・・・けど・・・大人しい人間ほどマジ怒りモードになったら見境もなく暴れだすだろ・・・せがれの場合は暴れるんじゃなく相手の目を睨みつけて相手を黙らせるんだよ・・・一度な・・・せがれが小さいときに何気なくせがれの目を見てたんだよ・・・じっと見てたら背中に寒気が走った ゾクッとね
なんだろうと思いまた見つめた・・・目の奥から何気ない殺意を感じたんだ・・・
せがれの顔はにこにこしながら笑顔だけど・・・じっと見つめていくうちに体中の震えが来た・・・俺はすぐに悟った・・・やはりカエルの子はカエルだと・・・きちんと受け継いだんだ・・・」
「マジっすか・・・おやっさん・・・」
「間違いない・・・本人が自覚していないだけ・・・理性で抑えてるだけ・・・」
「オヤジ・・・冗談はよせ・・・」
自分自身全然自覚がない
もちろん鏡を見ても自分の瞳に眼光が鋭いとは思えない
しかし、オヤジが真剣な顔をして言うのなら本当なのかも
「理性で抑えてるだけ」というオヤジの言葉
もしこの理性が無くなったら自分はどうなるんだろうか?
オヤジを超える何か未知の力が出てくるんだろうか
よくよく考えてみれば私は相手に対して怒りの感情が沸かない
幼少の時のS子の仕打ちにも怒るという感情が沸かなかった
はじめは「妹だから」という気持ちだと思っていた
しかし、今回指摘されてはじめてわかった
「理性で抑えているだけ」だと
この「理性」がいや抑えている自分がいつ限界がくるのか・・・
想像するだけで・・・夜も眠れない
作者名無しの幽霊
今回は自分でも驚いてる
そんなに「眼光」がするどいのか
今まで言われてことがなかった
というか知らなかっただけ
とおりで不良連中、私が来るとサッといなくなったわけだ
街中で会ってもサッと逃げていく
よその町へ行ってもいかにもという集団がいてもサッと逃げて行った
たしかに高校生の時に駅前でカツアゲにあったことがあったがそいつが俺の目を見た途端に逃げ出した
それから1週間後に久しぶりに元課長が家に来た
「オヤジからの指摘でこう言われたんだけど」というと
元課長も「そうだよ・・・おやっさんの言う通り・・・F君・・・
おやっさんが誘拐犯だと思われてはじめて署へ来たときにF君を見た
F君が私をじっと見てた
私もF君を見た、そして目が合った時に俺の体が硬直した
俺は柔道や空手など段を取っているこの俺が硬直した・・・
「なんという鋭い眼光だ・・・すごい殺意の目だ・・・間違いない、おやっさんの子供だと確信したよ
「殺意」と言っても誰でも彼でも「殺す」という意味じゃないよ
本当の敵に遭遇した時に相手を見つめて一瞬で相手の攻撃・攻撃意識を無くすんだ
私も柔道や空手をしてたんだから多少の喧嘩は強いと思ってた
けれど・・・F君の目を見てからそんな思い込みは消えたよ・・・
あんな小さい子に私は負けたんだと自覚したよ」
人から言われてはじめて気づくことが多いけど
今回は自分としてはあまりよくないというか意識をせずにその力を使ってた
どうしたら「理性」じゃなく自分の意識下でコントロールできるんだろうか・・・