「うううう・・・・・」
「パパ・・だいぶうなされてるよ、ママ!!」
「起こさなきゃ・・・パパ!!起きるんだぞ!!」
「ううう・・・」
「パパ、大丈夫?起きるんだぞ」
「うわぁーーーーー!!!!!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「すごい、汗・・・」
「葵、楓、カナちゃんは無事か!!」
「パパ、しっかり!!」
「パパ・・・大丈夫?」
「んんんん・・・・夢か・・・・」
「うなされていたよ、パパ」
「そっか・・・・」
「パパ、どんな夢見てたの?」
「それは・・・」
山道を走っていた
全然知らない道だ
車の中には楓、葵、カナちゃんの3人娘
そして、私の4人
どこへ向かっているのかよくわからないが夜中の山道を走っている
街灯は勿論無くヘッドライトの明かりが頼りだ
山道をくねくねと曲がりいったいどこを走っているのか
車の中は3人娘のおしゃべりでにぎやか
少し疲れてきたので脇道に車を止めた
車の外へ出て山の空気を吸い込んだ
周りは山と雑木林
あとは暗闇があたりを支配していた
3人娘たちも車から出てきて外をキョロキョロと見まわした
何かに怯えたのか3人娘たちは慌てて車の中へ戻った
私も車に戻り運転席から周囲を見回した
3人娘たちも車の中からあたりを見ていた
ここにいても仕方ないので車を発進させた
しばらく走っているとハンドルが急に重くなってきた
くねくね道を力いっぱいハンドルを動かして走らせていた
とその時に・・・ハンドルが取れてしまった・・・・
びっくりしたのと同時にガードレールにぶつかってしまった
その衝撃で気を失ってしまった
どのくらい時間がたったんだろう
目を覚ますとガードレールが目に映った
慌てて後ろを振り向いた
3人とも頭や顔から血を流していた
わたしは名前を呼びながら体を揺らした
返事がない
私はとんでもないことになったと思いそのまま呆然としていた
遠くから私を呼ぶ声がしてきた
楓の声だ
わたしはびっくりして楓を見た
楓は血を流しながら倒れている
私は空耳だと思った
また楓の声が聞こえてきた
私はスゥーーと気を失った
耳元が何か騒々しい
目を薄く見開いた
白い服を着た看護師たちが慌てた様子が見えた
私は目を開いた
どうやら病院のようだ
起き上がろうにも起き上がれない
医者や看護師たちが何か言っているようだが聞こえない
私は顔を左右に振った
楓、葵、カナちゃんはどこだ?
病室には私しかいなかった
私は医者に3人娘たちのことを聞いた
医者は口パクしながら何か言ってる、聞こえないのだ
口元をよく見ながら何とか何を言っているのか・・・
口元を見ながら私も真似た
((3人娘?お子さんですね・・・たった今・・・息を引き取りました・・・))
私は・・・頭の中が真っ白になった
娘たちが死んだ・・・嘘だぁ!!!
そんな・・・・私が殺したんだ・・・・
私は大声で泣いた
そのまま気を失ったようだ
遠くから楓の声が聞こえてきた
((パパ・・・死んじゃったね・・・何で・・あんな山奥の道で事故を起こしたんだろうね、ママ))
((わかんないんだぞ!!家族に黙って一人で行くなんで・・・おかしいんだぞ・・・))
え・・・私は死んだ!?・・・・死んだのは娘たちではないのか?
どういうことだ?
私は目を開けようとしたが目が開かない
体を動かそうとしたけれど動かない
え・・・・死んだ・・・死んでるのか・・・・
また・・・意識がなくなったような感覚に陥った
((パパ、大丈夫?起きるんだぞ))
S子の声で目が覚めた
夢だったようだ
良かった・・・・
((葵、楓、カナちゃんは無事か!!))と叫んでしまった
私は体を起こして周りを見た
自分の家だ
楓とS子が心配そうに私を見ていた
((「パパ、しっかり!!))
((パパ・・・大丈夫?))
私は((んんんん・・・・夢か・・・・))とつぶやいた
((パパ・・・何で私たちを置き去りにしたの?))
((娘たちを置き去りにするなんでひどいんだぞ))
私は「えっ」となった
目が点になった
言っている意味が理解できない
「置き去りにした」とは一体どういうこと?
((パパ・・・ひどい・・・私たちを置いて勝手に自分だけ病院へ行った・・・
葵やカナちゃん、わたし、パパをじっと待ってた・・・いつまでたってもパパが戻ってこない
・・・絶対に許せない))
えええ・・・夢?・・・夢から覚めたんじゃないのか
「パパ!!起きて、こんなところで寝てたら風邪を引くよ」
「ママ!!パパが床で寝てるよ!!!」
「パパ!!床で寝ていたらダメなんだぞ」
「あ・・・え・・・」
「パパ・・起きて・・・もう朝だよ」
「もう朝か・・・」
私は体を起こした
どうやら床で寝ていたらしい
え・・・おかしい・・・たしか・・・自分の寝室のベッドで寝たはずだ
何で・・・リビングの床にいるんだ・・・
私はあたりを見まわした
S子と楓しかいなかった
「あれ・・みんなは?」
「パパ・・・何寝ぼけてるの?」
「今は3人しかいないでしょ」
え・・・3人・・・どういうことだ?
「3人って・・・・」
「パパ、パパが山道で事故って・・・3人以外は全員死んだのよ」
「え・・・?・・・・事故?」
「覚えてないの?・・・家族旅行の帰りに事故を起こしたんだよ
ハンドルが取れてね・・・」
ええ・・・ハンドル・・・夢じゃなかったのか・・・
「パパ・・・最後に葵が「パパに置き去りにされたんだぞ、絶対に許さないんだぞ」と言って目を閉じたんだよ」
ええええ・・・・・そんな・・・・現実だったのか・・・・
私は床にヘナヘナと座り込んでしまった
顔を床にこすりつけて大泣きをした
「パパ!!!!大丈夫?何で床に顔をこすりつけてるの?」
「え・・・俺のせいで・・・俺のせいだ・・・ごめん・・・葵、カナちゃん・・・許してくれ!!」
「パパ!!寝ぼけてる!!ママ!!大変、パパが変になったんだぞ!!」
「パパ!!なんで床に座り込んでるのさ?何で泣いてるんだぞ?」
「え・・・ええ?・・・葵・・・え?・・生きてる?え・・・」
「パパ・・・起き上がるんだぞ」
「あぁ・・・」
あれれ・・・みんな、朝食を食べていた
「みっともない!せがれ、なにしてるんだ?」とオヤジの呆れた声
え・・・自分でも何が起きたんだ?
葵とカナちゃんが心配そうに寄ってきた
耳元で「パパ・・・今度からあたちとカナちゃんを置き去りにしないで・・・・」
私は血の気が引いた・・・・
また気を失った
作者名無しの幽霊
何が何だか・・・
もしかしたら・・・と
最後の「パパ・・・今度からあたちとカナちゃんを置き去りにしないで・・・・」
私は少し疑問に思っていたので後から葵に聞いたら「パパ・・事故って何?え?・・あたち・・・そんなこと言った覚えはないんだぞ」という返事だった
カナちゃんにも聞いたが同じく「言っていないよ」という返事
夢にしたらすごくリアルだった
どこまでが夢だったんだろう
でも夢でよかった・・・大事な家族だ
((今度はきちんと先週のような事故にならないように気を付けよう))
今、私は心の中で何と言った?
「事故・・・」と言ってた
楓や葵やカナちゃんは「事故って何?」と不思議そうに聞いてきたけれど・・・・
何で自分は「事故」という言葉を思ったんだろうか・・・・