皆さんいかがお過ごしでしょうか?
前回自身の夢に関する不思議な噺をしましたが、タルパさんに話した際に、夢といえばと不思議な噺をしてくれました。
今回はその噺をしたいと思います。
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この噺はね。
タルパさんは未だに現実だったのか分からないと言ってましてね。
タルパさんの地元には、『見てはいけない赤い橋』って噂話がありまして。
その橋を渡るとあの世行きやら、橋を渡ると廃村に繋がり、そこへ行くと呪われるなどが主な噂です。
20歳を超えたある日。タルパさんは友人のA君、B君と地元の居酒屋で飲んでました。
なんでもB君がパチンコで大勝ちしましてね。タルパさん、A君を誘って飲みに来たわけです。
盛り上がって3人で帰る途中。突然B君が言います。
B「そーいや、先輩に聞いたんだけど、〇〇(地名)にさ。潰れたドライブインあってさ。それって噂のアレじゃね?
タルパ「赤い橋か?」
B「そうそう」
A「〇〇ってここから少し歩けば行けるよな。行ってみようぜ」
酔った勢いもあり、3人でその場所へ行く事となった。
その場合ね。県境に近い場所なんです。
暫く歩くと
『〇〇ドライブイン』
って看板が見えて来た。
建物なんか荒れ放題。
看板の文字も薄れてる。
建物の裏に回ると、荒屋(あばらや)がある。
うっすらと光がさしてるのが見える。
タルパさんはね。そこで一気に酔いが覚めた。
だってね。
割れた窓ガラスから中が少し見えたのですけどね。
裸電球が揺れているのが、見えた。
何よりね。『蕎麦屋』って暖簾が掛かってる。
深夜ですよ。
蕎麦屋が営業してるわけもなく、何故電気が通っている事もおかしい。
近くに古く、錆びた郵便ポストもある。
木製で、朽ちかけた、トーテムポールみたいな物もあるんですよ。
そこ自体がまるで現代では無いみたいに見えるんです。
するとね、A君が言います。
A「あれ見ろよ」
A君が指差すのは、荒屋を超えた辺り。月明かりに照らされた赤い橋が見えた。
A「行ってみようぜ」
荒屋を抜けた道に行くと、霧が出てくる。
雨なんか降って無い。
タルパさんね。これが、幽霊が出る時に出る霧だと感じた。
橋の入り口に差し掛かると、立て看板が見える。
その立て看板には、何故か真新しい紙にこう書いてある。
『この先に数十年前まで村がありました』
ここまで来るとタルパさん、流石に進んではいけないって感じた。
でもね。A君は、タルパさんの制止も聞かず橋を進んでしまう。
あぁ、どうしようなんて思ってたんですが、タルパさんとB君は進む事が出来ない。
するとね。
タルパさんの意識は途絶えるのです。
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目覚めると、タルパさんは自宅の布団の上でした。
時間は12時過ぎ。
どのように帰って来たか覚えて無い。
まずはB君に電話した。
電話に出てくれたのがタルパさんの安心に繋がる。
タルパ「おはよう。昨日はご馳走様」
B「おはよう。良いよ良いよ。昨日はかなり勝ったからね。でも、昨日は流石に飲み過ぎたなー、俺どうやって帰って来たか覚えてないわー」
タルパ「帰りにBが先輩から聞いたとかで〇〇のドライブイン跡に行ったの覚えて無い?」
すると、B君から意外な答えが返って来るのです。
B「え?なにそれ?そんなの知らないぞ。つーか、〇〇にドライブインの跡地なんて無いんじゃね?」
タルパさんがいくら話しても、知らないの一点張り。
B君は酔ってたんじゃね?俺らかなり飲んでたじゃんと言われれば、何も返せない。
電話を切ってA君にも電話してみる。
A君も電話に出てくれた事に安心はしましたが、
言うまでも無いですよね。
A君も何も覚えて無い。
どうやって帰って来たかも分からないって言うんです。
すると、A君が言います。
A「そーいやさー。爺ちゃんから貰ったお守りが割れてるんだよ。何か知らない?」
なんて言われた。
後日、A君から、割れたお守りを見せて貰ったのですが、タルパさんも流石に言葉を失った。
そのお守りね。中に木の板が入ってるんですが、木目に逆らって割れてた。
更にタルパさん。
記憶を頼りにその〇〇に行ってみたのですが、ドライブインの跡地なんて無かった。
タルパさんは言ってました。
あの日に見た赤い橋はなんだったのか。
今はね酔って夢だったと思ってるなんて言ってましたね。
廃村が異次元に繋がる噂は都市伝説でもお馴染みですよね。この噺もその類でしょうか?
なんとも不思議な噺でしたね。
また会いましょう。
作者蘭ユウジ
タルパさんが思い出した噺を聞かせてくれました。