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短編2
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金縛り2 赤子さん

僕が今住んでいるマンションに越してきて、かなり最初の頃。

「なんやあれ」

僕の部屋のベランダに、彼女は現れた。

彼女の特徴はとにかく赤い事。着ている服、髪の毛、肌の色、全てが赤いのだ。血を塗りたくったという感じではなく、元から赤いという感じだ。

初めて見た時は、ただベランダにいただけだったが、別に部屋の中に入れないというわけではない。例えば僕が電話をしている時の事。

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「そんでその後な」「ザー、ザー、」

「もしもし?」電波が悪く聞こえずらいと思っていると、右から気配が…というより確実に息づかいがすると思って横を見てるが誰もいない。しかし、僕にはなぜかそれが彼女だと言うのがなんとなくわかるのだ。ベランダに定期的に現れる彼女を、僕はかってに赤子さんという名前をつけた。

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そんなある日の夜中の事。なんだか寝苦しいなと思っていた時、少しずつ、うとうとし始めた頃、僕を子供の時から苦しめるあれがまたやってきた。「金縛りや」

あーまたかと心の中で嘆いていると、部屋のベランダの方に気配がある。

それがわかった時、僕の頭の中に急に映像が入ってきた。角度的に、僕の部屋の天井から僕の部屋を見下ろす感じだ。「何が起こったんや。」

読んでいる人からしたら、それって金縛りじゃなくて、幽体離脱じゃない?って思う人もいるだろうが、これは幽体離脱ではない。

なぜなら僕は横になってる感覚を持ちながら、頭の中の映像を確認している感じだからだ。これは幽体離脱とは言わない。

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状況を理解すべく、頭に入ってきた映像の中から自分の部屋を見渡して見る。

見るとベランダの方に人影がある。

「赤子さん?部屋に入ってきてるし」

赤子さんは部屋のベランダの扉の前に、座りこんでいる。

「もしかしてこの頭の中の映像は、赤子さんが見せてきてんのか?…なにをするつもりなんや?」額には冷たい汗が、全身には鳥肌が走る。

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「…ねえ、ねえ、ねえ、」

とても高いようにも、とても低いようにも感じられる独特の声が聞こえる。

「赤子さん、とうとう話しかけてきおった…」

金縛りで声もでない、体も動かない。そんな中で同じ言葉を繰り返すだけだった彼女の言葉に変化が起きる。

「あなたのそばに行っていい?」

全身に血の気が引いた。見ると部屋全体が赤色に変わって行く。ただの赤ではなく、漆黒の赤だ。だんだん意識が遠のいていく中、赤子さんが僕の顔を覗きこんだ所で、僕の意識はなくなった。

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その後も彼女は、僕の部屋のベランダに不定期で現れ続けている。金縛りで彼女が出てきたのは、今のところこれ一回限りである。

彼女は僕個人に憑いた霊なのか、部屋にい憑く霊なのか、どちらかはわからないが、今後も長い付き合いになりそうだ。

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shake

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