皆さん。いかがお過ごしですか。
最近、朝と夜での寒暖差に過ごしにくさを感じますよね。
俺にとって姉の様な櫻井さん。
昔体験した噺を聞かせてくれました。
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前回の体験から少し経った時の事。
櫻井さんもお酒が飲める歳になりました。
大学生活にも慣れ、お酒の味も覚えたある日。
大学からは自宅が遠く、更に最寄り駅から自転車で帰ってました。
暫くは、そのまま帰っていたのですけどね。
その内、人通りも少ない事から、最寄り駅付近のコンビニで缶チューハイを買って、飲みながら自転車を漕ぐ様になりました。
アルコール入るとね。
自転車の夜風が心地良いんだ。
そんな時にね。
コツン、コツン。
と物音が聞こえる事に気付く。
最初は、何の音だろう。
その程度でしか思って無かった。
ただね。櫻井さん気付いてしまった。
その音。いつも櫻井さんが買ってる缶チューハイが売り切れで飲んで無いと聞こえない。
最初はね。偶然だと思った。
さほど気にして無かったんです。
そんな時、また、コツン、コツン。と聞こえる。
また聞こえるなぁ。やっぱお酒飲んでると聞こえるのかなぁ程度にしか考えて無かった。
コツン、コツン、コツン。
最初は遠くから聞こえてる。
次第に近づいて来る。
コツン、コツン、コツン、コツン。
しかもね。少しずつ早くなって来る。
櫻井さんね。怖くなって来た。
気付いたんですよ。
聞こえてるのは革靴の足音であり、自転車に乗っているのに聞こえるわけがない。
ふと見ると電柱に花が添えてある。
直ぐ後ろに音が近づいている。
櫻井さんね。つい振り返ってしまった。
するとね。黒いモヤが視えて、次第に人の形になって来る。
モヤはスーツ姿の男性になる。
チューニングの合わないラジオの様なノイズの後、こう聞こえた。
「インシュウンテンハアブナイヨ」
櫻井さん。怖くなって自転車飛ばして直ぐに家に逃げ帰った。
その日は寝て、次の日の朝。その場所に行ってみた。
やはり、花が添えてある。
すると、近所の方が来たので、ここで何があったか聞いてみたんですね。
その方から驚くべき事実を聞く事になります。
そこね。飲酒運転で近所の方が事故を起こして亡くなったと言うのです。
櫻井さんは思った。
あの男性は自転車とはいえ、飲酒運転すると自分の用になるよって忠告してくれたんでは無いかと。
でもね。怖がらせるのはやめて欲しいって言ってましたね。
なお、櫻井さんはその日から、お酒を飲みながら自転車漕ぐのはやめたそうです。
何か事故が起きてからでは遅いですからね。
俺が聞いたのは、こんな噺でした。
次の噺でまた会いましょう。
作者蘭ユウジ
櫻井さん。再び登場です。