タルパさんの語り9(13階段の考察)

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タルパさんの語り9(13階段の考察)

皆さん、この猛暑をいかがお過ごしでしょうか?

俺もね、暑さで、エアコン効いた部屋から出たく無いですね。

ところで、皆さんは、13階段は御存知ですか?

不吉と言われ、13階段がある場所には霊が集まるって。

何時ぞやタルパさんと宅飲みした時にね。

俺聞いたんですよ。

実は、日本の建築法と日本人の平均的な体格で考えると、階段は13段がしっくり来るって噺を。

興味を持って調べてみたら、確かに彼の言う通りだった。

しかし、今の俺が住むアパートもそうですが、階段が13段では無いのです。

個人的な考察なのですが、13という数字が不吉って西洋の考えじゃ無いかなって思うのです。

タロットカードの13は死神ですし、有名なところでは、キリスト教では、キリストを裏切ったユダは13番目の弟子。

更にキリストが磔刑に処された日は、13日の金曜日なんて言われてますよね。

さて、これは何故なのか?

実は、俺も情報が欲しいのですが、戦前の日本の建物は階段が13段だったのでは?

と考えてます。

何故なら、都市伝説で囁かれてる噺によると、戦後、GHQの処刑台の階段が13段だったってあるんですよ。

『火の無い所に煙は立たず』なんて言いますからね。

さて、謎が残る13階段ですが、タルパさんは、それこそ迷信と言ってまして。

これは彼の体験談から来てるものなんですねぇ。

今回はね。ちょっと怖い噺からは、逸れるかも知れませんが、その時の噺をしようかと思います。

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ある日ねタルパさん。当時勤めてた会社の後輩から、言われたそうなんですよ。

後輩「タルパさん、ヤバいです。僕が住んでるアパートなんですけど、階段が13段なんですよ」

するとね、タルパさん。先程の説明をして、元来日本人に合う段数は13段だって説明したんですけどね、後輩君は全く聞いて無い。

タルパさんもね。流石に距離を置いたんです。

それからは、やれ、人影が見えたやら、話し声が聞こえるやら、変な物音がするやら言い出した。

タルパさんは、そういった事分かりますからね。

霊の仕業で無いと分かったのですが、後輩は霊現象だって思い込んでいる。

そして、遂に霊媒師の方を呼び、除霊の依頼をしてしまった。

1人では心細いからと、タルパさんに立ち合いを求めたんですね。費用は5万円。

タルパさんね。内心はもったいない。お金の無駄遣いだと思ってたんですがね。

本人が聞かないものですから、これで後輩君の気が済むならって黙って居た。

いざ、除霊が始まった。

タルパさん、違和感を覚えた。

以前自分が除霊を受けた時と、霊媒師の雰囲気が違う。

本気じゃ無いって思った。

除霊が終わって、スッキリした後輩君の顔を見て、後輩君が救われたなら良いやって思ったんです。

後輩君は霊媒師さんとタルパさんにお茶、茶菓子をご馳走して、料金を支払い、霊媒師さんと、タルパさんは帰る事にした。

後輩君の部屋を出た後。

霊媒師さんがタルパさんに声を掛けた。

霊媒師「貴方、視える人でしょ?」

タルパさんは誤魔化そうとしたんですけどね。霊媒師さんが続ける。

霊媒師「実は、部屋に入った瞬間、ここには霊は居ないって分かっていたんですよ。でも、彼必死だったでしょ?悪いと思いながら、つい、除霊してる様にしてしまった。こんなの初めてですよ」

なんて笑ってた。

するとね。タルパさん。その霊媒師さんを少し気に入って、今までの経緯を居酒屋に場所を移して話した。

するとね、その霊媒師さん。その居酒屋の支払いをしてくれて、更に一万円別れ際に渡したそうです。

口止め料って言ってね。

タルパさん言ってました。

後輩君は俺の話し全く聞いてくれなかったけど、最後は美味しい思い出来たってね。

だからね。タルパさんは13階段の呪いはありえないって思ってるんです。

でもね、13階段を避ける日本の建築。真相はどれなんですかね。

俺にも分かりかねます。

俺が聞いたのは、こんな噺でしたよ。

また、会いましょう。

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