文章が書けない。
つい、3日前からだ。パソコンに向かってキーボードを叩き、思い付いた言葉を書き連ねる。しかしどうだろう。書いた文章をよく見ると、全くと言って良いほど、理路整然としていない。
いまこの瞬間も、書けば書くほど、文体も、語彙も稚拙で、読む側の気持ちなど1ミリも考えていない、そんな風に崩れていく。
やればやるほど駄目になる。私はいつもそうだ。そして、自分の周りに一定数存在する、要領のよく、賢い人達から言及され、何をやってもイマイチな人、というレッテルを貼られてしまう。
このレッテルが剝がれる事は決して無い。剥がそうとするその傍から新しく貼られてしまうのだ。
味方などいない、敵しかいない。弱みを見せたが最後、鬼の首を取ったように、待ってましたと、ありとあらゆる欠点を責められる。
優しい人は確かにいる。けどそれは、私が「うまくいっている」から。うまくいかなくなったら、離れていく。
自然な事だ。誰だって、美しくて特技があって、器量も要領もいい人の傍に居たいはず。
何もない、取り柄も何も全て失った人の元にいて、何の得があるだろうか?
「ごめんね」
皆そう言って離れていく。優しいから、謝罪をくれる。全然いいのに、そんな事。
伴侶だって、いつか離れていく。
友人だって。
世界だって。
ごめんね、って、悪気はないのよ、でもね…今の貴方、疲れていて駄目でしょう?って。
そう言って、いかに私が、この世界に存在する事が難儀かを説いて、キラキラした世界に行ってしまう。
貴方たちは、新世界で生きるにふさわしい。だって、素晴らしいから。手に余るほどの能力を備えているから。
全部あげて本当に良かった。
私は彼女に、力をあげた。才能をあげた。人脈をあげた。美貌をあげた。それら全てを評した結果をあげた。
そして、夫をあげた。
わざと嫌われて、落胆する夫を支える役割をあげた。
出来損ないの妻に振り回され、力を削られて疲れ切った夫に近づくチャンスをあげた。
そして、お金をあげた。素晴らしい人達に恵まれる、素晴らしい世界に行くための、一度しかないチケットをあげた。
今、彼女と夫は笑っている。
新しい世界で。新しく、素晴らしく、闇など無い、幸福がありとあらゆる形で降り注ぐ世界で。
この世の全ての美しさを凝縮した彼女と一緒に、夫は笑顔を振りまいて穏やかに暮らしている。やっとあいつから離れられた、って。
私との生活が、いかに地獄で、いかに退屈で、いかに実りの無い、無駄なものだったか。
それらを邂逅する事で、より一層、彼女と一緒になれた幸福を何度も何度も味わう。
私はこれから、この世の醜さをすべて集めたような、そんな人間になる準備をする。
彼らが府の感情を持った時、どこにぶつけていいか分からない時、私が必要だろう。
誰だって、ぶつけるものが必要なのだ。
作者rano_2
急になにも思いつかなくなって、気持ちをぶつけた次第です。
物語を書けなくなるって、絶望ですね。