短編2
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格子天井の夢

さて、皆様はおかしな夢を見たりするだろうか。

追われる夢、人ならざる存在と対峙する夢、好きでも無い相手や、仲良くしている訳でも無いクラスメイトが、知らない筈の親戚の家に大挙して来る夢………

何故か拳銃が出て来て謎の使命感に駆られて、標的に向かい引き金を絞り発砲する夢や、姿が見えないのに米軍の巨大爆撃機の影に追い掛けられる夢、直近では巨大な軟体動物───自分の顔程も有るアフリカマイマイが寝床に現れて、グワバっと勢い良く起きて、ビショビショのシャツに更に冷や汗をかいたなんて経験が有ったりと、幼少より変な夢ばかり見る。

いつ見た夢だったかは忘れたが、常夜灯の点いた空間で私は目覚めて、天井を見ると昔の掘炬燵(ほりごたつ)の様な上面で、本来天井の下に括り着けられる筈の二股ソケットの裸電球とピンポン玉大の常夜灯のコンビが、天井の上に着けられていて、

「あー、祖父様と祖母様の家の炭炬燵(すみごたつ)を炭の視点で見上げた形みたいだなー」

なんて、身内も誰も居ない場所で目覚めた筈なのに、妙に冷静だったのも違和感が有りまくる。

常夜灯で何と無く動けるが、何故か私は寝直そうとせずに、父方の祖母宅に在る様な巨大なタンス横の引き戸が開けられているのに気付いて、好奇心からかゆっくりポッカリと開いた闇に近付こうとする。

横を見ると、小さな柱時計が振り子を勢い良くビュンビュンと揺らしていて、0:00を指したまま時報も鳴らさない。

引き戸の開けられた場所からは下に続く階段が見えるが、明かりは私が目覚めた部屋の常夜灯だけで、やはり闇がぽっかり口を開けている。

歩き出そうとした所で目が覚めた。

あの夢は、一体何の暗示だったのだろう。

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