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これはRさん(女性)が体験した、怖いというより不思議な体験の話です。
Rさんは家から大分遠い高校に進学することが決まっていました。
家から遠いこともあり知り合いが誰もおらず、入学式の日にその高校は校則がかなり厳しいということを知りました。
入学式が終わってから両親と一緒に車で帰路につきましたが、不安と憂鬱さで泣いてしまいました。
それでも高校に通わないわけにはいかないので、定期券の買える窓口がある駅まで行きました。
Rさんは車の中で泣き疲れ、駅の窓口まで行くだけの元気も気力もなくなってしまったので母が定期券を買いに行く事になったのです。
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母が車を出て少ししてから運転席に座っていた父が「R、なぁあれ見て。あの女の人なんか顔変じゃないか?」と言って駅の方を指差しました。
父が指差した方向を見ると駅のホームが見え、多くの人が電車を待っています。
その中に一人、明らかに他の人とは異質な女の人がホームに立っていたのです。
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服装は派手でもなく地味でもないごく普通な格好で、少し長めの黒髪なのですが、顔が完全に狐(もしかしたら犬だったかも)なんです。
狐顔の目がつり上がったとかではなく完全に動物の狐なんです。
一昔前に都市伝説で人の顔した犬「人面犬」って流行ったことがありますが、この女性は言うなれば「獣面人」と言えばいいのでしょうか?
Rさんも父に「ほんまや、あの人だけ顔が動物だ、人の顔じゃない!」と返事をしました。
その駅は田舎の駅で電車の本数も都会ほど多くはないので長い時間その奇妙な女の人を見ることができました。
こちらからの視線に気付いていないようで、顔が狐の女の人とは目が合う事もなく、ホームに電車が停車し乗客を乗せて発車したらいなくなってました。
その後何かおかしいこともなかったのですが、私と父が見たものは一体何だったのでしょうか?
Rさんが不思議な体験をしたのはこの一回だけで、その後顔が動物の人を見てはいないそうです。
作者死堂 鄭和(しどう ていわ)