中編5
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後部座席

車を運転していて何となく後方のどちらか一方に荷重がかかってるような感覚を覚えた人はいるとおもいます

後ろを向いても何も無し

やはり・・・後ろの片方に人が乗ってるような感覚・・・・

軽はともかく大きな車を運転した人は後ろが気になるというか・・・

何となく一番後ろの席に誰かが乗ってるような感覚

背筋が寒くなったと感じた方は多いと思います

その日の夜は大雨

楓が自転車に乗って塾へ行こうとしたときに私は声をかけた

「おいおい・・・外は雨だよ・・・パパが乗せていくから」

「え!!ホント!!パパ、ありがと!!」と言いながら

鞄を抱えて車の後部座席に乗った

まだ時間は午後7時過ぎ・・・もう辺りは真っ暗

今日は楓一人だけが塾へ行く

私はちょっと心配になった

塾が終わるのが夜の9時ごろ

娘一人が自転車で家まで帰るのは心配

いつもは上の兄たちと一緒に行き帰りしているので心配はしていないけれど

「帰りもパパが迎えに行くからね」

「うん!!!今日は雨だから濡れていくしかないと思ってた

兄ちゃんたちは今日は休みだし・・・正直・・・心細かったよ、パパ

あ!パパ、途中でコンビニに寄ってね」

「うん、わかったよ」

と少し娘と会話しながら塾へ着いた

「9時ごろにはここにいるからね・・・」

「うん!!ここで待ってるよ、パパ」

と元気な声で塾の扉を開いて顔をこっちへ向けて手を振ってくれた

親バカながら本当に娘はかわいいと思う一瞬だ

私たちが幼少のときにオヤジはF子の心配ばかりしていた

少しF子に嫉妬心を覚えていた

「どうして・・・妹ばかりかわいがるんだろ・・」と

いざ、娘を持ってはっきりとわかった

どうしても娘たちのことが気になることだ

幼少のときのF子は体が弱く声も小さかったのでオヤジはもう心配で仕方なかったんだろう

幼少の時を思い出しながら家へ帰る途中で・・・少し違和感を感じた

何となく楓が座っていた座席に人が乗ってるような感覚を覚えた

後ろを振り向いたがもちろん誰もいない

気のせいかな・・・と思いながら家に着いた

車だと10分ほどで家に着いた

1ブロック隣のほうに駐車場を借りている

歩いて数分

傘をさしていたが雨が土砂降りになっていて結果的に服はびしょびしょ

玄関を開けたら2人の娘が迎えてくれた

「パパ、びしょびしょなんだぞ、風邪をひくんだぞ、早く着替えるんだぞ」

「うん・・・」

早々に服を着替えた

楓抜きの夕食

私はふと今さっきの違和感が気になった

2階の娘の部屋から駐車場を見た

土砂降りで少し見えにくかったけれど別に何もない

オヤジの車と私の車が土砂降りの大雨で霞んで見えた

気のせいかな・・・

そう思いながらカーテンを閉めようとしたときに後部座席のほうに人影らしいのが一瞬だが見えたような気がした

疲れてるのかな・・・・

お迎えまでまだ時間はある

書斎室で横になって仮眠しよう

ウトウトと・・・眠ってしまったようだ

「パパ!!!もう起きる時間なんだぞ!楓姉ちゃんを迎えに行くんだぞ」と葵の大きな声で目が覚めた

腕時計を見たらもう午後9時5分前だった

「こりゃあかん、急いで迎えに行かなきゃ」

「パパ、コンビニ行くんでしょ?私たちも一緒に連れて行ってほしいんだぞ」

慌てて2人娘を乗せた

カナちゃんが後部座席に乗った時にカナちゃんの顔が一瞬びっくりした顔になったのを見て

「カナちゃん、どうしたの?」と声をかけた

「ううん・・・別に・・・」と小さな声で返事してきた

カナちゃんもF子と同じで少し病弱だ

声も小さい

オヤジが一番心配していた

家庭環境の複雑なところで育ったのも一因だと思う

今は打ち解けてくれて家族のだれでも話をしてくれるようになった

このままどんどん元気になってくれればな・・・と・・・・

まぁ・・・元気すぎてS君を尻に敷いているF子のような元気さまではいってほしくはない

オヤジは元気になったF子を嬉しそうに言うが

おふくろは逆に心配だと私に話してくれた

私もおふくろと同じ考えだ

元気さのあまり・・・・いや・・・やめよう

娘二人のおしゃべりを聞きながら塾へ着いた

楓が待っていた

「パパ!遅い!」と楓のムッとした顔

「楓姉ちゃん!!コンビニへ行くんだぞ」

「うん!!パパ、コンビニへレッツゴーー」

コンビニまでは塾からおよそ10分のところにある

楓がたまに後ろを見て頭をひねっていた

葵やカナちゃんに声をかけられていないときに振り向いていた

私は「えっ」と思っていたが聞こうかなと思った時にはコンビニに着いていた

娘3人はお菓子やジュースなどをたくさん買ってきた

あ・・・明日は休みか・・・・

雨はいつの間にかやんでいた

大通りに面しているので車の交通量が多い

私は大通りを避けて脇道から家へ帰ることにした

およそ15分ほどで家に着いた

その間も楓は後ろを振り返っては頭をひねっていた

楓、一人夕食を食べ始めた

葵とカナちゃんは仏間のオヤジのところへ行ってしまった

仏間から3人の笑い声や話声が聞こえてきた

「楓・・・いまさっき車の中でしきりに後ろを振り向いていたけど・・」と聞くと

「パパ・・・あのね・・・私の後ろの席・・・なんとなく・・・人がいるような感じがしたの・・・葵とカナちゃんは二人寄り添ってて私の真後ろは空いてたから・・・おかしいな・・とおもって何度も後ろを見たの・・・それに・・・私の座席を後ろから腕で押してきたような感じもしたんだよ、てっきり・・・葵が押してるのかなと思ってたけど・・・

葵の位置からだと押せえられないんだよね」

私は一気に背筋が凍った

気のせいじゃなかった

我が家で一番の霊感の持ち主の楓が言うのなら間違いないだろう

「それでね・・・私たちが降りるときに・・・その人も降りていったんだよ・・・」

「え・・・てっきり・・・葵かカナちゃんが降りて行ったんだと思った」

その得体のしれないものがドアを開けて降りたのか・・・・

私はその時は降りる準備や娘たちに声をかけていた

左右の後部座席側のドアがパタン、パタンと閉まったので娘たちが降りたんだと思っていた

「楓、その得体のしれんものは降りてどこへ行った?」

「あのね・・・パパ・・・パパの後ろにいるよ・・・」

それを聞いたときに驚いで飛び上がってしまった

即座に後ろを振り向いた・・・・

髪の長い女?の顔が見えた

よく見るとガイコツ・・・・

私は気絶した

Concrete
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