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短編2
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背中の窪み

 この前に部下達と関西に出張した時にあるキャバクラに行った時の話なんだけれど、背中に特徴的な四角い窪みが二つある女の子が居た。

中国人だかインド人みたいな特徴的な名字の子だったが酒の入っていたせいか今は何と言う名字だったのかよく思い出せない。

ショートヘアの髪型と小麦色の肌に少し堀が深い感じの笑顔の素敵な子だった。

窪みについては何かの怪我の痕か手術痕だろうと思って触れない様にしていたんだが、酔った部下の一人が不躾にもそこにいきなり手で触りながら

「ここ窪んでるけど、これ背骨は大丈夫なんですか?よく折れませんね?」

と聞きやがったんだから困る。

殺意を抱きその部下を注意しようとしたらその子は

「ああ、これ?ウチ実は人造人間なんよ、これコンセント用なんやがデカ過ぎて合うんが少ないんよ!」

と言い場を笑いの渦にしながらこっちをフォローしてくれた。

部下が酔い潰れた頃にさりげなく詫びを入れたが

「ああ、気にせんでええよ?人造人間ゆーんもあながち嘘でも無いし」

と言われた。

は?

と一瞬、疑問符が頭に浮かんだが、その後に説明された漠然と覚えている彼女の話を要約するとこうだ。

一般人に詳しい素性は明かせないが自分は元々「鬼」等と呼ばれていた日本古来の存在であり、ある寺の邪鬼像の中に封印されていた。

それが廃仏毀釈によって封印が解かれてしまい今はこうして人間に化身して生活しているのだと。

「ほんまに菩薩様は優しい御方やったんよ?

300年もずーっと村人を見守っとったのに恩知らずにも火付けられても

『これで悟りが開ける』

ちゅーてだーれも恨まんし。

あまつさえ邪鬼であるウチが一緒に燃えん様自分から台座から落ちて火からも空気のバリアーみたいな良く分からんもんで守ってくれたんよ?

漫画みたいやろ。

信じられる?たかが台座の邪鬼一匹の為によ?」

話を聞き終える頃には酔いも冷めており人間では無い存在、しかも邪悪な悪鬼と今自分は対峙している、そう思うと・・・いや、彼女の何かを感じた身体が勝手に震えていた。

最後にこちらの異変を気遣ってか

「きゃっはーwこないな嘘松にマジになってて、おかわいーお人やねーw」

とフォローされたが明らかにこれは彼女は嘘をついている。

場は更に笑い声に包まれ話題はありふれた世間話に戻っていたが汗は何故か引かなかった。

嬢が唐突にこんな話する必要があるのだろうか?

こんな話大して怖くも無いだろうが俺は仕事柄人の感情の機微や嘘や誇張を見抜くのは得意なのだがこの話はどうにも作り話とも思えなかった。

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