中編3
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世界の終わり

小5の時の話です。

寝ていた僕は、おかしな感覚で目覚めました。

それは完全に遅刻の感覚でした。

あ!やっちゃった!

時計を見ると10:00でした。

あちゃー…。

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ふ…と隣の布団が気になりました。

父親と寝室が一緒だったのですが、普段ならとっくに会社に行っている時間なのに、見ると父親が寝ていたのです。

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え!どうしたんだろう。

「お父さん、ヤバいよ。もう10時」

起きません。

「お父さん!」

と布団を取りました。

えっっっっっっっっ!

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腹部から大量の血を流して死んでいたのです!

「わぁっ!お父さん!」

揺り起こしてみたのですが、目を開けませんでした。

「うわぁん!お父さん!」

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もう会社に行っていて、いない筈の母親の部屋にも行ってみました。

「わぁん。お母さん…」

そこには、同じ状態の母親がいたのです。

「うそでしょ!なんでー!お母さぁん!」

お兄ちゃんの部屋に行っても同じ状態でした。

「わぁん!どうして!」

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居間に行ってTVを点けてみました。

もう10時というのに、全てのチャンネルが砂嵐でした。

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家からでて、近所の家を廻りました。

鍵の開いている家しか入る事が出来ませんでしたが、全ての家でも同じ状態で亡くなっていました。

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どうやら大きな刃物の様なもので一刀のもとに殺されている様です。

誰が…。何の為に…。どんな武器で…。

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訳も判らなず大泣きしながら彷徨い歩きました。

人は一人もいません。車通りもありません。

全くの無音の町に、僕の鳴き声だけが響きます。

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公衆電話を見つけ、かけてみる事にしました。

ポケットには10円玉一枚しかありません。

友達の家に電話します。

呼び鈴が鳴ります。

ずっと鳴り続けましたが出ません。

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受話器を置くと10円玉が戻ってきました。

次はいとこの家にかけてみました。

呼び鈴は鳴り続けましたが、出てくれません。

その二軒の番号しか覚えていなかった僕は、そこからは手当り次第にランダムに番号を鳴らし続けました。

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東京は03だったよな…。

06って大阪だっけ…。

夢中になってかけ続けました。

数十分間、やってたでしょうか。

誰も出てはくれませんでした。

「なんだよ…。どうして…。誰もいないの?何で僕だけ…」

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数十分の電話との格闘を終えた僕は、次に何をすべきか、何が出来るか、全く思いも付かないまま受話器を置き、振り向きました。

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あっ…

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それは、僕の後ろにずっと立っていた様です。

小5の僕よりずっと小さな男の子でした。

ザンギリ頭で前髪が長く、眼が隠れていたその子は、鼻から下しか見えませんでした。

泣きながら電話をかけまくる僕を、数十分間笑いながら見てたのです。

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そしてその手には、死神の持つ様な大きな鎌の様な武器を持っていました。血塗れになったその鎌は、鈍く光ります。

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その刃物を見たあと、もう一度その子の顔を見たら、その子はニヤリと、さらに片側の口角を上げました。

あぁ…。こいつかぁ…。

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ピピピピッ

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目覚まし時計の音で起きました。

大泣きしたまま起きた僕は、全て夢だった事に気付きました。

隣を見ると、すっかり出勤して主のいない父親の布団。

母親の部屋も、お兄ちゃんの部屋も、出勤、登校の後でした。

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TVを点けるといつもの番組。ホッ…。

登校すると学校もいつも通り。

その日は帰ったら、いつもよりたくさん家族に甘えてしまう僕でした。

今でも思い出してしまう、トラウマ夢の話です。

夢オチですみません…。

Concrete
コメント怖い
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@おーいお茶 さま

いつもお読みいただきありがとうございます!
実体験か、体験した人から直接聴いた話だけを投稿していますので、投稿頻度が少なくてすみません…。
皆様の様に素敵な話を創作できれば良いのですが…。
また思い出したら投稿します。
ぜひまたお読みいただけると励みになります。
よろしくお願いいたします!

返信

ニューヨークの話からずっとファンです!
実話体験が凄い面白怖いです!
また楽しみにしてるので次作待ってます(^^)

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