近所の心霊スポット特集ではないけれどもうひとつあまり行きたくない場所がある
裏山のトンネルだ
裏山の神社からさらに西へ2Kmほど離れたところに南と北を繋ぐトンネルがある
長さは500メートルほど
決して古びて電灯が無いトンネルではない
国道のトンネルなのでトンネルの中は常時明るい
普段は通らないので気にしてはいないけれど今回はどうしても隣町のおふくろのお友達へ用事があってそのトンネルを通った
トンネルを使わずに遠回りをすると1時間もかかる
トンネルを使えば30分ほど
我が家の建っている場所は本当に中途半端
商店街へ行くときにも例の墓地を通らないと早くいけないし
おふくろの会社へ行くときも橋を越えていかないと時間がかかる
隣町へおふくろのお友達から「遊びにおいでね」とおふくろは電話を受けていた
いろいろと忙しくてすぐには行けれなかった
そのお友達は幼馴染で小学校中学校が一緒でほぼ同じクラスになった
自然とお友達になっていった
よくおふくろの屋敷へも遊びに来てもらっていたらしい
そのお友達は子供がいない
だから孫娘たちをすごくかわいがってもらっている
私とF子も当然ながらかわいがってもらった
いろいろなものを買ってもらったしいろいろなところへも連れて行ってもらった
実家は会社の経営者でおふくろと同じ金持ちのお嬢様
今はサラリーマンの旦那さんと2人暮らし
質素な生活をしている
そのお友達は特にF子を実の娘のように気を使ってもらった
幼少期のF子を知っているお友達は今のF子を見て一番驚いていた
「Fさん・・・妹さん・・すごく変わったわね・・・小ちゃいときはいつもあなたのうしろにいて小さな声でしゃべっていたのに・・今じゃ彼氏さん?なのかな、大きな声でおしゃべりをしていておばさんびっくりしちゃったわよ・・すごく美人さんになっちゃって・・・あなたのおばあさまにそっくりだわね・・○○さん(おふくろの名前)の家へ行くとあなたのおばあさまが良く出迎えてくれたわ・・・上品で本当にきれいな人だった・・・F子さんがモデルさんをしてると聞いて写真集を買うようになったわよ・・」と話してくれた
おふくろの忙しさも落ち着いたのでそのお友達のところへ行くことになった
日曜日の午後へお友達のところへ行き深夜過ぎに帰途へ着いた
「楽しかったわ・・・あの人全然変わっていない・・・実家が企業の社長さんだったので私と同じお嬢様なのよ・・・私と違って家での躾が厳しくて門限があったのよね・・なかなか長時間お話が出来なかったのよ・・・」
「え・・・おふくろもおばあさまから相当な躾をされたでしょ」
「ええ・・・でもね、門限は無かったのよ・・・だからあいつと付き合い始めてから結構深夜まで遊んでいたのよ・・・色々と連れて行ってもらったから少しは世間様を知ったけれどね・・・」
「えええ!!!でも怒られたでしょ?」
「ううん、全然・・・深夜1時だろうが朝帰りだろうが両親は何も言わなかったのよね・・・一応、誰といたのかは聞いてきたけれどね・・・「アイツといたよ」というと両親は何も言わなかったのよ・・・」
「え!うそだろ・・・朝帰りって・・・・お嬢様のすることじゃないと思うけどな、おふくろ」
「普通はね・・・その点、両親は何も言わなかったからね・・・おそらくアイツだからだと思うけどね・・・」
「いや逆に危ないじゃないかよ・・・オヤジだぞ・・・不良だぞ・・・何されるかわかったもんじゃないよ、おふくろ・・・」
「F・・・それはちょっと言い過ぎだよ・・・確かに素行は良くないけど・・・当時は高校生だったから・・純粋にお付き合いしてたのよ・・・結婚するまで・・アイツとはね・・・無かったのよ・・・」
((この話をF子、S子、S君に話した
S君はびっくりしてひっくりかえった
「おやっさん・・・ある意味、すげぇな・・・俺なんか・・な、F子」
「ちょっと!!!アニキ、ここで話すことじゃないでしょ!!」とキレた
「あ・・・・うん」
「おっちーー!!アニキ、私たちもね」
「こらっ!S子!!」
「おっちーー、怒られじゃったんだぞ」
「とに・・かく・・・あのおやっさん・・・すこしは俺、見直しだぜ」
「わたしもパパを尊敬しちゃうよ・・・パパとママが仲がいいのはきちんとパパが守っていたんだ」
「おっちーーー、私もそう思うんだぞ」))
「うそだろ!!!初耳だ!!!信じられん・・」
「わたしもだよ、ばあちゃ、パパ、じいちゃんが・・」と楓はびっくりした顔になった
葵とカナちゃんもびっくりしてた
いろいろとおふくろの昔話を聞きながらあの例のトンネルへ
ちょうどトンネルの真ん中あたりでエンジンが止まった
「あれ・・・エンジンが止まった・・・かからないぞ」
「パパ・・・大丈夫なの?」
何回キーを回してもエンジンがかからない
「なんで・・・オートマの車がエンストするんだよ・・・」
私の車はボロ車だがオートマ仕様だ
エンストするわけがない
もちろんガソリンは入っている
幸いにも深夜だから車はそんなに通らない
「こりゃ・・・あかん・・・どうしよう・・・JAFを呼ぶよ」
「それがいいと思うよ、F・・・」
JAFに電話をしたら到着まで2時間ほどかかると言われた
もう深夜の2時を過ぎてる
明日は楓は学校があるし私も会社がある
「娘たちよ、今のうちに寝たほうがいいと思うよ」
「うん・・・明日学校あるし・・・」
突然、ラジオから音というかノイズが流れた
「えええ!!!おいおい・・・」
一同びっくり
「キーは外してるんだ・・・どうしてラジオから音が出るんだよ・・・」
ラジオからはノイズが激しくて耳障りだった
所々で何か聞こえた
ノイズがひどくて聞き取りにくい
ザァ・・・ーーーーー
ワ・・・・ザァーーーーーー・・・・コ・ド・・モ・・・サ・・・・ザァーーー
「うわ!なんだ・・・何か言ってる・・・」
「何か言ってるわよね・・・聞こえにくいわね」
突然、うしろの方で窓を叩く音がした
トン!トントン!
一同、びっくりして飛び上がった
恐る恐るバックミラーを見た
誰もいない
バックミラーには明かりが囂々と照らされたトンネルだけが映っていた
「パパ・・・後ろで音がしたよ・・・」
「確かに音がしたわね」
「音がしたんだぞ、パパ」
一体何だ・・・・
いつのまにかラジオから音が聞こえなくなっていた
「パパ・・・眠くなってきたから寝るね」と娘3人たちは寝てしまった
「私もよ・・眠くなってきたわね」とおふくろも寝てしまった
急に恐怖が湧いてきた
起きているのは私だけ
私はキョロキョロと周りを見回していた
時折車が通過していく
誰も止まってはくれなかった
腕時計を見た
午前2時半
辺りはシーンとしていた
遠くからは時折虫の音や鳥の鳴き声?みたいなのが聞こえた
背筋になにか氷を付けられたような感覚が襲ってきた
さらに30分後・・・眠気が襲ってきた
ウトウトしはじめたときに運転手側から窓を叩く音がした
ハッと目が覚めて窓を見た
JAFの作業員が立っていた
「こんばんわ・・・大丈夫ですか?」と声をかけてきた
ふと時計を見たら2時半過ぎ・・・え・・・早いな‥と思いつつ
「はい・・・どうもエンジンがかからなくて・・・」
「そうですか・・・早速見ますね」と言い
ボンネットを開けた
作業員がコソコソと作業をし始めた
およそ30分後に作業は終わった
「終わりました・・・会員様なのでお代はいいです・・・これが修理した箇所です…置いていきますね・・・それではお先に失礼します」と後ろに置いてあったJAFの作業者に乗って走って行った
トントントン!
「おい!!大丈夫か!!」と大きな声がした
私は目を開けて窓を見た
警察官2人が窓を叩いていた
「君、大丈夫か?」と聞いてきた
「え・・・?・・・はい・・・大丈夫ですけれど・・・」
私はこの状況が理解できなかった
「君・・車から降りて」と言われたので素直に車から降りた
私は一瞬目を疑った
辺りをよく見まわした
廃墟のパチンコ店があった
車はその廃墟したパチンコの駐車場に止まっていた
ここは・・・この廃墟のパチンコ店はトンネルから出て100メートルの交差点の一角にある
頭が混乱してきた
たしか・・・車がエンストしてトンネルの真ん中あたりで止まったはずだ
なんで・・・廃墟のパチンコ店の駐車場にいるんだ
「通行人の知らせ」で来たということだ
車内を見たら子供が3人いたので事件性が考えられるのでいろいろと聞かれた
免許証や子供たちとの関係など
もう一人の警官が署へ連絡をしていた
おふくろが
「私は○○会社の責任者、署に私のことを話をすればわかると思います」と助け船を出してくれた
警官が無線で交信した
「し、失礼しました!!!○○財閥の総帥であられましたか上司の命令で私たちは引き揚げます!失礼しました」と言い足早にパトカーに乗り走って行った
「おふくろ・・・ここ・・・駐車場だよ・・・たしかトンネルの真ん中でエンストしたよな・・・」
「そうだよ・・・なんで・・・ここへ」
「おふくろたちが寝た後にJAFが来たんだよ・・・直してもらって・・・アレ・・・その後の記憶が無いぞ・・・アレ・・・」
「何時ごろに来たのよ?」
「たしか午前3時前だったような・・・」
「2時間はかかると言ってたでしょ?早すぎない?」
確かにだ・・・早すぎる・・・でも早く到着したと思っていた
「あ!!!!!いろいろとおかしすぎるぞ、おふくろ!!!
あの作業員、どうやってボンネット開けたんだ?ボンネット開けるにはここのところを引っ張らないと開かないんだよ・・・それにJAFの会員じゃないよ・・・」
普通なら実費を要求してくるはずだ
私はスマホでJAFに確認しようと履歴を見た
無い!!!JAFへ連絡をした電話番号が無い
嘘だろ・・・
「おふくろ・・・JAFへの連絡をした履歴が無いんだよ・・・俺、確かに電話をしたよな?」
「え・・・履歴が無いって本当なの?どういうこと?」
「わからん・・・たしかにJAFの制服を着てた・・・車両もJAFと書いてあった・・・
呼んだはずだ・・・何で履歴が無いんだ・・・」
私はもう1度JAFへ連絡をした
意外な返事がきた
たしかに連絡は受けた
準備をして現場へ作業員を行かせた
2時間ほどかかり午前4時前後に到着をしたが故障した車両が見つからないと連絡が来た
一応周辺も捜したが見つからなかった
どういうことだ一体
じゃああの作業員は誰だ?
なんで履歴が残ってないんだ
修理をした後の記憶が無いのはなぜだ?
JAFの会員ではないので実費を要求してくるはずだが作業員は「JAFの会員様ですね」と言っていた
その時にキチンと言えばよかったのだがすぐに修理を始めたので言わなかった
なぜ、駐車場にいるんだ?
もう訳がわからん
夢を見ていたのか?
いや夢ならJAFからわざわざ作業員は来ないだろ
絶対にトンネルの真ん中でエンストした
娘やおふくろも「間違いない」と言う
私はふと思い出した
作業員から修理箇所の紙をもらった
たしかボンネットの隅に置いたはずだ
あった・・・修理箇所が書いてあった・・・きちんと作業をした人の名前も書いてあった
「おふくろ・・・あったよ、修理した証拠の紙・・・これ見て」
「確かに・・・もう1度JAFへ連絡をしてこの作業員の名前を聞いてみたらどう?」
「
わたしはもう1度JAFへ連絡をした
作業員の名前を言ったら相手の人は急に黙ってしまった
「すいません・・・もう1度作業者の名前を言ってもらえませんか?」
「○○さんですね」
「あのぉ・・・あのですね・・・○○は・・・去年に・・・あのぉ・・・
病気で亡くなったんですよ・・・それに現場へ行かせた作業員は別の人です・・あのぉ・・・」
私は茫然とした
マジかよ・・・・
亡くなった人が修理に来たのかよ・・・・
完全に力が体から抜けた
「大丈夫かい?どうしたの?」
「おふくろ・・・修理をしてくれた人・・去年に病気で亡くなってるんだよ・・・」
「え・・・・うそでしょ・・・」と絶句した
子供たちもびっくりしてた
「でも・・・なんで・・・駐車場にいるんだろうね・・・」
「おふくろ・・・直した後の記憶が無いんだよ・・・確かに眠気があったのは確かだよ・・・寝ぼけながらここまで運転したのかな・・・」
「まぁ・・・可能性はゼロじゃないけど・・・」
お化けが出るトンネルとして有名なところ
色々なうわさ話がある
しかし、このトンネルでの事故や事件は一切ない
霊道からも外れている
不思議としか思えない
家に帰りオヤジに詳細に事を話をした
オヤジの顔が一瞬曇ったように感じた
「おい・・・せがれよ・・・お前・・・本当は事故ってて死んでいたんじゃないのか?
真ん中でエンスト・・・オートマ車はよほどの限りエンストはしないぜ・・・ということは
真ん中で事故を起こしたんじゃないのか・・・
それも正面衝突
だから車は止まったんだよ」
「え・・・????・・・・オヤジ・・・何を言ってるんだよ、事故ってたら・・・」
体が痛い
周りが騒々しい
救急車のサイレンがうるさい
人の声が騒がしい
「おい!!気が付いたぞ」
「おおお・・良かった・・・急げ、早く運べ」
わたしは目を開けた
私の目の前で車が2台
正面衝突をしていた
私のボロ車の前面は完全に潰れていた
相手の車も同様だ
ふと周りを見た
トンネルの中だ
やっと理解をした
事故ったのだ
おふくろ・・・娘たち・・・・
タンカに乗せられて救急車の中へ
気を失った
作者名無しの幽霊
事故った
幸いにもおふくろや娘3人組は何もなかった
私は全身の打撲となぜか背中になぜか1cmほどの穴が空いていた
1週間ほど入院をした
不思議なことは事故ったという記憶が無い
ぶつかったという感覚が無い
それはおふくろと3人娘も言っていた
気づいたら救急車の中だったと言っていた
普通はぶつかる寸前までは覚えているもんだ
トンネルの中で事故って気を失い夢?を見ていたのかな
いろいろと不思議な事象が起きた夢?だったな
おふくろや娘たちも不思議で仕方ないと言っていた
退院してからしばらくしてふとズボンのポケットの中に手を入れた
何かある
何だろうと思い出してみた・・・・
JAFの故障個所の紙だった
作業者の名前を見た
夢?の中の作業者と同じ名前だった
私は気を失って倒れた