中編5
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珍しい客

オヤジ達が帰ってきた

「おーーい!!帰ってきてやったぞ」

「あ!じいちゃんだ」と3人娘は駆け足で玄関へ向かった

「じいちゃ・・???・・・だれ?・・・」

「あ・・・こいつか・・・商店街の居酒屋で知り合ったんだよ・・・」

「こ・・こんばんわ・・・」

「こんばんわ、なんだぞ」

「じいちゃ・・・大丈夫?」

「だいぶ酔っちゃって・・・家まで連れてきましたけれど」

わたしは玄関が騒がしいので見に行った

「あ・・・オヤジ・・大丈夫か?・・すいません・・・」

「いえいえ・・・」

「どうぞ・・・」

「え‥いや・・もう帰ります」

「おい!!まだ早いぞ、家で飲みなおそう」

「いや・・・ちょっと・・・困ったな」

「お酒はともかく休憩をしていってください」

「え・・・はい・・・」

年のころは30代な感じ

サラリーマン風な人だ

オヤジに捕まったんだろうな

「おい!せがれよ、こいつな・・・マジシャンだぞ・・・ほれ・・・なんかひとつマジックしてみろよ」

「え・・いや・・・ここでは・・・ちょっと・・・」

「おまえならどこでもできるだろ・・・」

「え・・・まぁじゃ・・・パチン」

廊下の100円ライト全てが消えた

「えええええ!!!!!うそだろ!!!え・・・消えた・・・消えるはずはない・・・

ひとつひとつスイッチが付いているんだ・・・」

「パパ!!!!すごい!!!消えたよ」

「消えたんだぞ・・・」

そんなわけがない

マジックは必ずネタがある

ネタを準備してからマジックはするものだ

この人は初めて我が家に来た

ネタを仕込むなどできない

「では・・もう1度・・パチン」

廊下のすべての100円ライトが点いた

「マジか・・・・今度はすべて点いた・・・」

「パパ・・・」

「すごいんだぞ」

「それではもうひとつ、パチン」

「うわっ、パパ、私の髪に花飾り・・・うそーー」

楓の髪の横に赤いバラの花が櫛のように付いた

「パパ・・・すごい!!!」

もう一同びっくり

この人は何者だ?

「な!すげぇーーだろ・・・これぞ本物のマジシャンだ・・・な!」

「いえ・・・私は普通のサラリーマンですよ・・・マジシャンじゃないんですよ

余興で遊びで指をパチンと鳴らしたらできるようになっただけです・・」

え・・・指パチンでできるのか・・・

「パチン」

私は指を鳴らした

何も起きない・・・・

「パパ・・・何も起きないよ・・・」

「あれ・・・おかしいな・・・」

「せがれじゃ無理だよ、あははははは・・・」

何でだ・・・・

「では・・・パチン」

サラリーマン風の男の手に一輪の花が出てきた

「え・・・えええ・・・何で・・・」

指をパチンとした瞬間に花が出てきた

「はい、お嬢さん・・・どうぞ」と楓に手渡そうとした

その瞬間、楓の体が一瞬硬直したように体が止まったように見えた

「あ・・・ありがとう」

「すげぇだろ!!!こいつのマジックはもっとすげぇーーんだ、お店のいたときのマジックはもっとすごかったぞ」

「いやいや・・・余興ですよ・・・趣味なんですよ・・・」

「わたし、そろそろ帰りますね、会社がありますので・・・おやすみなさい」と言い

家を出て行った

「せがれよ、すごかったろ・・・ネタが無いマジック俺もはじめてみた・・・

はじめ、あいつのマジック見てて必ずどこかに仕掛けがあるとおもってじっと見てた

しかしな・・・指をパチンとしただけでいろいろなものが出てきたんだ・・・

それでおれが「1万円札だしてみなよ」と意地悪を言ったら「それは・・・無理ですよ・・・お金などは働いてもらうものです・・・でもこれならパチンと鳴らしたらビールが俺の前に出てきたよ・・・本物かどうか飲んだらよ・・・本物のビールだった・・・

それであいつにいろいろと聞いてみた・・・でもよ・・・あいつも理屈がわからないと言ってた・・・ある日に何気なく指パチンと鳴らしたら物が出てきたんだとよ・・・

はじめは面白がって指パチンしていたけれど「今は怖い」と言ってた

凶器やお金などは出てこないけどそれ以外はほとんど出てくるってな

それで・・・毎晩・・・あの店で飲むようになったんだとよ・・・でも・・指パチンすれば出てくる・・・どうしたらいいのか困ってると言ってた」

「まぁ・・・ちょっとな・・・不思議と言えば不思議だけど・・・自分自身が理屈がわからないと確かに不安だよな・・・でも・・・マジックじゃないような気がする

一種の超能力だろ・・・原理はわからないけど・・・」

「パパ・・・あの人から花をもらう時になにか・・・よくわからないけどあの人のほかにもうひとりの人の手が見えた・・・私・・・あの人・・・何かにとりつかれているんじゃないかとおもう・・・私、人との中に入るのは苦にはならないけど・・・あの人の場合はそばに寄りたくないという拒否反応が出たんだよ・・・」

たしかに・・・いつもなら人のそばに寄ってる

でもあの人の場合は確かに離れていた

「楓ちゃん・・・本当?・・・俺は全然感じなかった・・・・酔ってるとはいえ・・

これは・・・連れてきてはいけないものを連れてきたかな・・・・やばいな・・・

当分・・あの店へ行くのやめるわ・・・」

「そのほうがいいかも、じいちゃ」

ところが・・次の夜に・・・・

「帰ってきてやったぞ」

「じいちゃ!!!」

「ふう・・・やっとこさ・・・着いた」

椅子に座るなりオヤジは寝てしまった

「じいちゃ・・・大丈夫かな」

30分ほどしてオヤジは目を覚ました

「今何時だ・・・ふぅ・・・」

「どうした、オヤジ?」

「あのよ・・・・俺な・・・商店街の店は行かないで、ほら・・新しい駅のそばにできた居酒屋あるだろ・・・あそこに行ったんだよ・・・そしたらな・・・あいつがいたんだよ・・・俺、ゾッとしてな・・そぉーーと帰ろうとしたらあいつが呼び止めやがった・・・

「奇遇ですね・・・私が奢りますよ・・パチン」と・・・そしたらビールが3本、目の前に出てきた・・・「どうぞ、飲んでください」と・・・俺はもうびっくりして・・・その店から慌てて出たよ・・・もう1軒の居酒屋のほうへ行ったよ・・・ソシタラナ・・・アイツがいたんだよ・・・そんな馬鹿な・・・「おやじさん、まだ酔っていないじゃないですか・・奢りますよ、パチン」と目の前にビールが出てきた・・・

もう・・恐怖しかなかったよ・・・その店からも慌てて出てよ・・・帰り道にあるラーメン屋あるだろ・・・あそこへ行ったんだよ・・・店の中へ入ったら・・・アイツがいたんだよ・・・

「おやっさん・・・失礼じゃないですか・・・私が奢ってるのに飲まないなんて・・・パチン」と今度は日本酒が出てきた・・・・もう疲れてしまってよ・・・仕方なしに日本酒を飲んだよ・・・「おやじさん・・奢ったものは素直に飲まなきゃ」と言ってきたんだよ・・・もう・・・俺な完全にパニックになってよ・・・家へ帰ってきたわけ・・」

「ええ・・・・完全にストーカーじゃん・・・」

「怖いんだぞ」

「じいちゃ・・・よりによって・・・」

((おやじさん・・・何で僕を連れて行かないんですか・・・))

一同、リビングの入り口を見た

アイツが笑って立っていた

全員気絶した・・・・

Concrete
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