孫たちが遊びに来た
年に1度のお盆の日には全員が私の家へ来ることになった
昔は和尚様のお寺へ泊りに行っていたのだがその和尚様も亡くなり違う人が後を継いだ
もちろんお参りや泊りには行く
娘や息子や孫たちで大賑わいだ
もちろんS君やF子たちの子供たちや孫も来ている
この屋敷内もだいぶ変わった
屋敷の北3分の1は売却をした
敷地内をきちんと整理もした
古い洋館はすべて解体もした
昔の雰囲気は無くなった
屋敷内での散歩の時にこの屋敷内での出来事・財閥としての歴史などを歩きながら孫たちに教えた
古い写真なども見せて孫たちは目を丸くしたり驚いたりしていた
自分の家では全員が寝泊まりは無理なのでスタジオの家も寝泊まりとしていた
孫たちはテントの中でキャンプファイヤーとしてお盆の日を楽しんでくれた
バーベキューや花火など大人も子供も大いに遊んだ
昔ならオヤジが怖い話をしてくれたのだけどな・・・・
私が怖い話をしても孫たちは全然怖がらない
楓や葵は苦笑いをしていた
「パパはちょっと無理だね・・・じいちゃんは雰囲気も怖かったからね
ホント、じいちゃんの怖い話は怖かったよ・・・」
私たちの体験談なども孫たちに話をした
孫たちは興味津々になって聞いてくれた
敷地内での天体望遠鏡で星空探索もした
あっという間に時間は過ぎて行った
夜も0時を過ぎ子供たちは眠そうな顔をしていた
「じいちゃん・・・眠いよ」
「もうこんな時間だな・・・もうそろそろ寝ようか・・・」
「うん・・・」
大人たちはそれぞれの家へ向かった
私とSくんは孫たちの横のテントで孫たちを見ることになった
子供の時のことを思い出した
あの頃が懐かしい
今思えばオヤジの存在感がすごかったな
私自身は疫病神と思っていたけれど孫をもってオヤジの気持ちが少しはわかるようになったのかな
オヤジがいなければこの一族は大変なことになっていたなと
もう孫たちは寝てしまった
疲れていたんだな
昼間は蒸し暑かった
夜になっても蒸し暑い
テントの中では我慢するしかない
孫たちの所には小さな扇風機を置いて風だけは送ることにした
それでも全然違うからな
「暑いな・・・」
「だな・・・年のせいもあるけれどな・・・お互いに老けたよな・・・時間はあっという間に過ぎて行ったな・・・F子の老いの姿を見ることになるとはな」
「同感・・・S子も同じだ・・・孫たちを見てると楓や葵の小さいころを思い出す
オヤジやおふくろが本当に孫たちをかわいがってくれた・・・」
「確かにな・・・俺もおやっさんやおふくろさんにすごくかわいがってもらったよ・・もう一度あの頃へ戻りたい」
「ほんと・・・戻りたい・・・あの頃が一番幸せだと今感じてるよ・・・今もそうだけどな・・でも違うんだよな・・・オヤジの元気な姿、無茶苦茶だったけれど今一度俺の所へ来てほしい・・・」
「俺もそうだ、両親がいなくなってはじめてわかるんだな・・・神経質なオヤジだったけれど・・・おふくろは心配性・・特にS子のことは気にかけていた・・・Fの所へ嫁いでおふくろはすごく安心していたよ・・・ああいう性格だからいずれは戻ってくるんじゃないかとね・・・おやっさん、おふくろさんは「いい嫁が来た」と言って喜んでくれた・・・孫が4人になったんでおふくろはびっくりしてたよ・・・とくにオヤジはびっくりしてた」
いつのまにか寝てしまったようだ
((おい!せがれよ、がんばってるか?おおおお・・・お前、老けたな・・・でもな、まだここへ来るのは早いぞ、今な、アイツと旅行中なんだよ・・・もう少し2人きりでいたいからな・・))
「え・・・・オヤジ・・・」
「どうした?」
「今、オヤジがいた」
「え・・・」
「オヤジがおふくろと旅行中だってよ・・・」
「ほんと、おやっさんとおふくろさんは仲がいいな・・」
少し目に涙が・・・
「まだ朝まで時間あるよ、寝ろよな」
孫たちが起こしに来てくれた
「じいちゃ・・・夜に誰と話してたの?」
「え・・・S君と話をしてたよ」
「ううん・・・Sおじいちゃんじゃないよ・・・テントの入り口で知らない人が立ってたよ・・・」
「え・・・まさか・・・本当にオヤジが会いに来てくれたのかな・・・」
「ひぃじいちゃん?・・・すごく心配そうな顔をしてテントの中をのぞいていたよ」
「そっか・・・いつまでも子供なんだな・・・オヤジ、ありがとうな」
清々しい朝だ
蒸し暑さも少しは和らいていた
孫たちを連れてスタジオへ行った
朝食の準備は整っていた
大所帯・・・すごい数の料理だ
私は夜にあったオヤジの夢の話をした
「パパ・・・じいちゃん・・・ちゃんと答えて来てくれたんだね・・・私もじいちゃんにあいたい」と楓が少し涙目で話してきた
「私も・・・じいちゃんにあいたい・・・私が一番末っ子だから一番かわいがってくれたと思うよ・・・じいちゃん私の言うことは何でも聞いてくれた・・・色々なものを買ってもらったし・・」
「俺もじいちゃんに会いたい」と匠も言い出した
「俺もだ・・・ばあちゃんにあいたい・・・まだまだ聞きたいことがたくさんあったし・・・」と仁
大人になった子供たちは泣き出した
孫たちはびっくりしてた
「パパやママたち何で泣いてるの、じいちゃん」と孫が言ってきた
「いずれ・・・わかるよ・・・いずれね」と答えた
「さぁさ・・お食べ」とF子の言葉
「私もパパやママに会いたい、兄さん」とF子も涙目になっていた
「そうだな・・・今夜、寝るときに全員に会ってくれと頼むよ」
まぁ‥オヤジよ・・・おふくろと楽しい旅行を楽しんできてくれ
作者名無しの幽霊
オヤジが枕元に立ってくれた
こんなうれしいことはない
私もオヤジと同じ年齢になった
月日が経つのは早い
孫たちを見てるとオヤジとおふくろが元気なころの風景を思い出す
敷地内も変わった
綺麗に整備できた
もう昔の面影はほぼ無くなってしまったけれど
生まれた家は解体して今はマンションやアパートや新しい家が建っている
もうここも昔の面影はない
街がどんどん変わっていく
改めてオヤジとおふくろに感謝