その頃私は、喉に違和感があった。
喋れないほど。
なんか、ゴワゴワしたものがのどに挟まった感じ。
気持ち悪くて吐きそうになった。
…てか、嘔吐した。
今日は学校を休んだ。
私は声が出なくて、そしてあることを思い出した。
Rにそっち行くと連絡をしてすぐにマスクをつけてパーカーを持ち、半ズボンをきて自転車に股がった。
自転車は兄のお下がりだが、いつも6にしてあったギアを1にした。
理由は簡単、そんな気力がないからだ。
とりあえず行く。
Rの家は徒歩10分くらいで行けるがそんなに外に出たくないから全力で行く。
いつもの運動不足が響いて息切れが凄い。
インターホンを押す。
すぐにドタドタと足音がしてガチャリ、と音をたて扉が開いた。
R『……。』
私『……。』
2人とも無言だった。
…シュールな光景だが、喋れないんだ仕方がない。
Rが手招きをした。
家に入れと言う事だろう。
私はコクリ、とうなずき家に入った。
すごくシュールだと思った。
Rは布団を出していて、あったかいお粥を出してくれた。
お礼をしてふーっと、息を吹きかける。
食べようとした時、気持ち悪くなった。
どうやらRも同じようだ。
すぐに隣にあったバケツを取って嘔吐する。
そこには黒い塊が浮かんでいた。
R『…なんだこれ…、』
私は驚いた。
声が出ていたのだ。
私も声をだす。
私『あー、あー、あー、』
何事もなかったように声が出た。
喉の違和感も消えている。
Rがなんの気なしにその黒い塊に目をやる。
R『…なぁ、これ、髪の毛じゃね…、??』
私はもう、それに目をやる勇気は無くなっていた。
そして、呟いた。
私『…苦しい思いをしたんだな、あいつも。』
幽霊だって感情はあるのだ。
そーゆー色も見えるし。
私はアイツの記憶が見えた。
アイツは苦しんでたんだ。
暗い所にいて、食べ物がなくなったから髪とか爪とかを食べたんだ。
多分、分かって欲しかったんだ。
私『…ごめんとは言わないけど、分かって欲しかったなら記憶を見せるだけにしてくれ』
私『私はあんたをわかってあげられないし。』
それだけ言うと私は目を瞑ってもう一度記憶を思い出していた。
作者つむぎ