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長編14
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盆踊り

長い夏休みの期間が来た

楓の計画的な夏休みの宿題を片付けていく姿を見て「すごいな」と思う

自分は・・・というと・・・夏休み最後の1週間で追い込んでなんとか・・・

F子もきちんと計画的に宿題を片付けて行ったな

オヤジやおふくろを巻き込んでいたのでさんざん文句を言われた

楓はきちんと葵やカナちゃんの面等をよくみてくれる

自分は・・・もう宿題のことで精いっぱいで・・・F子の面等など一切しなかった

才能のある子はそういうところでも発揮するんだなと

「すごいよね、楓ちゃん・・・きちんと計画を立てながら宿題してる・・アニキとは全然違う、似なくてよかったね」とF子の余計な言葉

「うん!長い休みだと思ってるとあっという間に休みは終わるから・・・予定としては8月上旬には全部終わるよ、F子お姉ちゃん!」

「すごい!!!わたしも一応は計画を立てていたけど・・・アニキ・・・のせいで・・計画が狂ったことがあるよ」

「パパ・・・計画性ないもんね・・・」

うわ・・なんという会話だ

「明日、盆踊りだけど参加するよね、3人娘たち?」

「うん、もちろん!盆踊りをした後に金魚すくいや輪投げもするよ」

明日は公園で町内会の盆踊り大会がある

規模はそんなに大きくないけど屋台や子供向けの遊びがある

時間は夜の7時から11時まで

結構長い時間があるのでよそからの人も結構参加してる

毎年、我が家でも全員が参加してる

盆踊りの日

昼間の蒸し暑さが夜も続いていた

3人娘たちが早く行きたいというので先に行ってもらった

「いいかい!知らない人に声をかけられてついて行ったり何かをもらったりすることは絶対にしちゃダメだよ」

「うん!わかってるよ、パパ!!」

楓がいるので安心だけど・・・親としては心配

色々な人が集まってくるから

「気を付けて、パパたちは後から行くからね」

「うん!!!」

元気よく3人娘たちは家を出た

「パパ、僕たちも行くよ」と匠と仁たちも家を出た

「楓たちを頼むぞ」

「わかってるよ、パパ」

さて・・・一番の問題児・・・オヤジはどこだ?

夕方から姿が見えない

「おふくろ、オヤジはどこだ?」

「アイツ・・・そういえば夕方から見てないわね・・・風来坊だから・・そのうちに帰ってくるでしょ」

恐らく商店街であの悪童3人組で酒盛りしてるんだろうな

悪ちゃん仲間・・・死ぬまで縁を切れないだろうな

「おそらく、商店街で飲んでるよ」

「あ・・・例の悪童3人組だわね・・・アイツが主犯だからね・・・死ぬまで縁は切れないよ」

おふくろも同じ考えだ

商店街の悪童2人の息子たちは立派な大人になってる

親がアレでも・・・子は立派に育つ

「帰ってきてやったぞ!!!」

オヤジの声だ

酔っぱらってる

昔は「父ちゃんが帰ってきた」と言ってF子と一緒に出迎えだけど

今は・・・疫病神が帰ってきたとしか思えない

「おいおい・・・酔っぱらいやがって・・・今から公園へ行くぞ!」

「公園?あ!忘れてた、盆踊りか!!!まぁ・・いいや・・・俺も行く」

「いや・・・酔いを醒ましてから来い!」

去年は酔っぱらって公園へ行く途中でドブに足を突っ込んで顔から倒れた

額から血が出てまさに夏のホラーという顔だった

そのまま公園へ行ったのでオヤジの顔を見た人たちは悲鳴を上げていた

普通の状態でも怖いのに額から血が出てるからまさにお化け

「去年みたいなことが絶対に起きる!醒ましてから来いよ」

「あぁ・・・去年な・・・まぁ・・・酔いが醒めたら行くわ」

オヤジを残して全員が公園へ向かった

町内の人たちもゾロゾロと公園へ向かって歩いていた

「婿殿・・・」と後ろから声をかけられた

義理の父母だった

「家へ寄ったんだけどね・・・返事が無かったから・・・」

「え!?・・・いや・・家にはオヤジがいるはずだけど・・・」

「そうなの?・・誰もいなかったわよ」

「え・・・オヤジ・・・は!!!」

おふくろも・・

「アイツ・・・」

公園へ着いた

すぐに娘や息子たちを見つけた

5人とも一緒に遊んでいた

「楓、オヤジを見た?」

「じいちゃ?ううん・・見てないよ」

「じいちゃんは見てないんだぞ!」

あれ・・・てっきり公園へ来ていると思っていた

公園内から悲鳴が聞こえた

悲鳴した方を見ると・・・なんか・・・変な歩き方をしてる・・・

よく見ると・・・額から血を出してる・・・オヤジ・・・・

去年と同じじゃないか

いや去年よりも怖さがパワーアップしてる・・・

歩き方がまるでゾンビ

オヤジを見た人たちは悲鳴を上げて逃げ回っていた

そのゾンビがこっちへ来てる

「うわ・・・恥ずかしい・・・こっちへ来るなよ」

「マジ・・・アイツは・・・ゾンビ以上だよ」

「じいちゃ・・・」

パトカーのサイレンの音

警察官がこっちへ来てる

「すいませーーん!!通報がありまして・・・顔から血を流した人が歩いていると住民の方からの連絡・・・・うわっ!!!」と警官2人もオヤジの顔を見て悲鳴を上げた

「お・・おやっさん!!大丈夫ですか?喧嘩ですか?相手はどこ?」

「いや・・・おそらくドブに落ちて転んで額をけがしたんだとおもう」

「え・・?ドブ?ですか?・・・」

「とりあえずはおやっさんを病院へ連れていきます」

「すいません、お願いします」

疫病神!!!恥ずかしい!!!

後日、駐在所の警官が家へ来た

病院での出来事を話してきた

案の定・・・病院内でパニックが起きた

警官たちがオヤジをかかえて病室へ向かう途中でオヤジを見た人たちが悲鳴を上げたりそのまま失神したりとパニック状態となったらしい

普通でも怖い顔だ・・・額から血が出てるからさらに怖い

オヤジを知らない人は悲鳴を上げるのは当たり前

オヤジを見た医師も最初に悲鳴を上げたらしい

医者ですら悲鳴を上げたんだ

まさに疫病神ゾンビだ

オヤジはあくる日の夕方にケロッとした顔で帰ってきた

額に大きな絆創膏を貼られていた

まさにキョンシーだ

「オヤジ!まさにキョンシーだな」と言ってやった

家族全員が笑いの渦に

「うるせ!」と言って仏間へ行ってしまった

ところで・・・話を戻すと・・・・

お祭りもそろそろ終わりころ・・・

カナちゃんの様子が少しおかしい

ジィーとブランコの方を見てる

「どうした?カナちゃん?」

「うん・・・おじさん・・・さっきから・・あっちの方向から誰かに見られてる感じがするよ」

カナちゃんが指を指す方向を見た

ブランコがある

別に誰もいない

「いないけどね・・・」

「ううん・・・いるような気がする・・・」

珍しい

カナちゃんが何かを感じてる

「楓は何かを感じる?」

「ううん・・・私は・・・」

「おじさん・・・あそこ!ほら!」と言いながら指を指した

全然見えない

「全然・・見えないけど・・・」

「パパ・・・私にも見えた・・・ブランコの鉄柱の傍・・・小さな女の子がジィッとこっちをみてる・・・カナちゃんと同じくらいの年の子だよ・・・おかっぱ頭・・・」

「え・・・今時、おかっぱ頭・・・戦前の子か・・・戦後間もない子なのかな・・・」

「パパ・・・あまりいい感じがしない・・・ここを一旦離れたほうがいいよ」

お祭りも終わりそう

早々に私たち家族は公園を離れた

「カナちゃん・・大丈夫?」

「うん・・おじさん・・大丈夫だよ」

私は時折後ろを振り向いた

別にどうのこうのじゃないのだけれど・・・

「パパ・・あまり後ろを見ないほうがいいよ」と楓に注意された

お祭りも終わったのか人々が公園から出てきていた

家に着いた

匠たちはすぐに2階へ行ってしまった

「じいちゃ・・・大丈夫かな?」と楓はオヤジのことが心配そうだった

「大丈夫!・・あれくらいの血を流したところで本人はケロッとしてるよ・・

明日には帰ってくるよ」

本当に帰ってきたよ

私はふと昨晩のカナちゃんの様子をオヤジに話をした

「なに!カナちゃんが・・・そっか・・・」

「今のところ、カナちゃんは普段通りだけどな」

「もう少し様子を見よう・・」

相も変わらず葵の傍にいる

別段・・・変わった様子はない

S君から電話がかかってきた

「おい!昨日の盆踊りの写真にな・・・不思議なものが写ってるぞ・・・」

「え・・・どんな?」

「とりあえずはメールで送るから見てみろよ」

結構、撮っていたんだな

最後の方・・・例のブランコ

うわっ!と思わず叫んでしまった

ブランコに乗るおかっぱ頭の女の子が写っていた

一見、普通に見えるのだが・・・女の子の周辺にモヤがかかったような感じ

もう1枚はブランコの鉄柱の傍に立ってこっちを見ながら笑ってるような感じ

カナちゃんが言っていた通りだ

「楓、書斎室まで来てくれ」と大声で楓を呼んだ

「なに!!パパ」と3人娘が書斎室へ来た

写真2枚を楓に見せた

「パパ・・・うっ・・・気分が悪い・・・」と今にも吐きそうな顔になっていた

「大丈夫か?」

「パパ・・・この子だよ・・・見えたのは・・・」

「カナちゃん・・」

「パパ、カナちゃんに見せたらダメ!!」

私はびっくりした

「パパ・・スマホをポケットにしまって・・・」

「うん、わかった」

「パパ・・・この子は絶対にダメ・・・じいちゃんを呼んで」

私はどうなっているのかわからずとりあえずオヤジを呼んだ

「オヤジ!!ちょっと来い」

「うるせーな、今、落語を聞いてるんだよ、後にしろよ」

「じいちゃ!!早く来て」と楓が叫んだ

「おう!!今行くぞ」

オヤジが走ってきた

「どうした?」

「じいちゃ・・・ちょっと面倒なことになったよ・・・昨日の盆踊りの・・・例のブランコ・・・パパ、じいちゃんに見せてあげて」

楓に言われた通りポケットからスマホを取り出してオヤジに見せた

「うわっ!!こりゃ・・・あかんぞ!!カナちゃん、葵ちゃんはすぐに仏間へ行ってくれ」

葵とカナちゃんは手を繋いで仏間へ行った

「こりゃ・・・相当な・・・悪霊だぞ・・・完全にカナちゃんを狙ってるぞ・・・

カナちゃんもF子ちゃんと同じで霊媒体質だ・・・くそ坊主を呼べ、せがれ」

何かなんだが・・

私は急いで和尚様に電話をかけた

「繋がったか!ちょっとよこせ」

「おい!!!くそ坊主!今からでも家へ来い!!!理由は家に来てから話すから、なに?・・明日、檀家衆と約束がある?そんなもん、ほかっておけ

いいから早く来い!!!」

「せがれ!3人娘を仏間の部屋から出すなよ・・もう例の悪霊、家の傍に来てるかもしれん・・・俺とせがれで交代で見張る・・・トイレは必ずついて行けよ・・・」

「お・・・おう・・・わかった」

家族全員をリビングへ呼んだ

「夜の間は絶対に外へ出るな」とオヤジの言葉

「カナちゃんママ、S子ちゃんは「旅館の間」で2人いてくれ・・あそこは安全な場所だから・・・巧ちゃんや仁君は2階の自分の部屋にいてくれ・・絶対に夜の間は家から出るなよ・・・物音や人の声が聞こえるかもしれんが無視してもいい・・・もし怖くなったら仏間へ逃げればいいぞ、3人娘たちは仏間にいるんだぞ、ばあちゃんもいるからな」とオヤジは詳細に今の状況を説明をした

私もやっと理解した

やはり・・・カナちゃんと目が合ってしまったようだ

「兄ちゃん・・・どうする?二階へ行く?」

「いや・・・仏間でいたほうがいいかもな・・・じいちゃんやパパやばあちゃんもいるし・・」

匠と仁は仏間で寝ることになった

「兄ちゃんたちが一緒なら安心なんだぞ、楓姉ちゃん」

「うん!!」

夜もどんどん更けていった

おふくろたちは後片付けが終わり仏間へ来た

「後片付けは終わったよ・・・S子ちゃん、○○さん(カナちゃんママの名前)は「旅館の間」へ休憩しておくれ」

「おっちーー!!わかったんだぞ」

「それでは失礼します、おやすみなさい」

「だいぶ、外も静かになってきたね・・・おや・・もうこんな時間かい・・私は「旅館の間」で寝るよ」とおふくろは隣の部屋へ行った

オヤジが外の様子を見ていた

「まぁ・・・今のところは・・・とりあえずはほかの部屋の明かりはすべて消しておこう」

「そうだな」

オヤジと私で各部屋の明かりを消していった

もう0時を過ぎた

一気に静かになった

S君には今の状況をメールで送った

「S君も気を付けて」と書いて送った

「静かだな・・・落語も終わったし・・・」

ジャリジャリ

石を踏む音がした

「ん・・足音が・・・」

「確かにきこえた・・・」

「奴が来たかな・・・」

オヤジは壁に耳を当てた

「人じゃないな・・・」

ジャリジャリ

行ったり来たりしてる

「結界が張ってあるから家の中へ入れなくてウロウロしてるぞ・・・」

((熱いよ・・・タスケテ・・・喉がかわいたよ))

外からかすかに聞こえた

「オヤジ・・・聞こえたか?」

「聞こえた・・・返事はするなよ、無視だ」

((お腹すいたよ・・・父ちゃん・・・母ちゃん・・・タスケテ))

小さな声が聞こえた

((体が熱いよ・・・痛いよ・・・))

「オヤジ・・・」

「我慢しろ・・・」

ジャリジャリ

ウロウロしてる

「おい・・・くそ坊主に・・・「家に来るな、近くのコンビニでまっとれ」とメールしろ・・」

「わかった・・」

和尚様から返事が来た

「わかりもうしたわい・・・大体わかり申したわい・・・とりあえずは・・相当な悪霊ですわい・・・子供の格好はしていますがこりゃ・・悪霊が数体集まっていますわい・・・

一度、お経をあげますわい」と返事が来た

「オヤジ・・和尚様、すでに家の外にいるみたい、今からお経をあげるみたい」

「そっか・・・」

玄関の方から大きな声でお経を読む声がした

和尚様だ

1時間ばかりお経の声がした

「もう大丈夫ですわい・・玄関を開けてほしいですわい」

「オヤジ・・・」

「行くな!・・・」

「なんで?」

「騙されるな・・あいつはくそ坊主じゃない」

「え・・・・」

「くそ坊主は自分勝手に行動はしないよ・・「誰もお経をあげろ」と言っていない」

メールの着信が届いた

和尚様からだ

「今、コンビニへ着きましたわい・・・オヤジ殿の言う通りここで待ってますわい」と書いてあった

「オヤジの言ったとおりだ」

「だろ・・・」

ドンドン!!!ドンドン!!

ものすごい勢いで玄関を叩いている

「開けてほしいですわい!!!もう成仏しましたわい」

ドンドンドンドン

「声を出すなよ」

「わかった」

10分ほど玄関を叩く音が響いた

「せがれ・・くそ坊主に家に来いと送れ、それと奴は玄関にいるからおもっいきり塩を投げてやれ、と書いてくれ」

およそ10分後に和尚様のお経と塩を投げた音がした

なにか人がもみ合う音がした

「こりゃ!!悪霊め!!!この塩をくらえ!!ナミアミダブツ!!!成仏しろ!!!」

「せがれ・・俺が外に出るから、外に出たら鍵を閉めろよ」

オヤジは走って玄関へ向かった

私も走った

「せがれ・・・今だ!玄関の戸を開けろ」

「わかった」

玄関の戸を開けた

オヤジが勢いよく外へ出て行った

すぐに鍵を閉めた

「こりゃ!!化け物!!!俺が相手にしてやる!かかってこい!!!

ほら!!どうした!!!」

ガタン・・・ドン

外からものすごい怒声と罵声が響いた

和尚様のお経の声とオヤジの怒声

化け物の叫び声

1時間ほど響いていた

静かになった

「せ・・・が・・・・れ・・・あけて・・・くれ・・・おわっ・・・たぞ」

「本当にオヤジか?」

「ばか・・やろう・・・俺だ・・」

私はふと思い出した

オヤジのおふくろ・・ばあちゃんからオヤジの弱味を聞いた

「5歳までオネショ」と聞こえるように言った

「テメェ!!!ぶっころすぞ!!!なにがオネショだ!!!ここを開けろ!!!しばくぞ」

オヤジだ・・・

私は玄関の鍵を開けた

オヤジがものすごい勢いで玄関の戸を開けて入ってきた

「テメェ!!しばられたいか!!!」

オヤジは完全に半狂乱に陥っていた

私の首を絞め始めた

「グェ!!!オヤジ!!!落ち着け!!!」と叫んだ

「じいちゃん!!!!パパになにしてるの!!!離しなさい」と楓の大きな声

オヤジは楓を見た

オヤジはうろたえて・・・私の首からオヤジの手が離れた

オヤジはその場でヘナヘナになって座り込んだ

「オヤジ・・・大丈夫か?」

「せがれ・・・すまん」

オヤジが顔を上げた

「ギャァーーー」と私は悲鳴を上げた

オヤジの顔から血がどんどん流れていた

絆創膏がはがれてそこの傷口が開いて血が出ていた

まさにお化け

文章ではこの恐怖を表しにくい

再現ドラマのような感じなら間違いなくTV局へのクレームが殺到するだろう

「子供がひきつけを起こしたぞ」

「トラウマになるようなドラマを放送するな!」

「じいちゃんが心臓発作で倒れたぞ」

などなど

TV局の電話回線はパンクするだろうな

B級ホラー映画なら間違いなく売り上げ1位になる

そのくらいの怖さだった

和尚様は道端で放心状態になっていた

私も幾分が落ち着いた

和尚様を抱えて家に入った

オヤジはその場所でまだ座っていた

「オヤジ殿・・・」

「おう・・・」

オヤジが顔を上げた

ギャァーーーー

和尚様は気絶した

朝になり

オヤジと和尚様は起きていた

私は後片付けをはじめた

道端に大きな絆創膏

血がべったり付いていた

「うわ・・気色悪ぃ」

絆創膏を拾おうとしてハサミで挟もうとしたときにすべって絆創膏が落ちた

絆創膏の裏に何か書いてあった

「モウニドトコナイ・・・アンナバケモノ・・・」と血のりで書いてあった

化け物がオヤジをバケモノと・・・・・

そういえば・・・勢いよく外へ飛び出していったときに悲鳴が聞こえたけど・・・

あれって・・・まさか・・・化け物の悲鳴?・・オヤジを見て悲鳴を上げたのかな

「あぁ・・・悪霊・・・俺の顔を見て「バケモノ」と叫びやがった

「バケモノ・・・コワイ・・・クルナ・・・」と叫び声をあげやがった

くそ坊主のお経と俺の顔で逃げていきやがった・・・」

オヤジ・・・・・

そう言えば・・・地獄界へオヤジが行ったときに閻魔大王から「もう二度と来るな」と言われたらしい

オヤジが無事に帰って1か月後に不審なメールが届いていた

「ムスコサンヘ・・・センゲツ・・・オヤジサンガ・・・ジゴクカイへキマシタ・・アバレマワッテ・・・タスウノヒガイシャガデマシタ・・・ジゴクカイハ・・ヒサンナ・・・ジョウキョウニナリマシタ・・・エンマダイオウサマモオイカリニナラレテ・・・ニドトクルナ・・ト・・・

ムスコサンカラモ・・・オツタエクダサイ」

はぁ?・・・なんだこりゃ

誰かの悪戯かと思った

オヤジに聞いたら

「あ・・・たしかに地獄界へ飛ばされたよ・・・小さな鬼ともが寄ってきてよ

「ニンゲンカ・・・オイシクナサソウダ」と言いやがってな・・・

俺はキレて・・・その小さな鬼ともを切り刻んでやったわ・・・

その親が知らんが大きな鬼が泣きながら「コドモ・・ヲ・・・カエセ」と叫びながら

襲い掛かってきた・・・もちろん返り討ちにしてやった・・・まぁ・・・俺一人だからな・・捕まったよ・・・閻魔大王とやらの前に出されてよ・・なんかごちゃごちゃと言いやがった・・・「何を言ってるんだ、コラァ」と叫びながら閻魔大王の頭を叩いてやった・・・もろに当たったのか・・・頭を抱えて転げまわっていたぜ・・・「もう二度と地獄界へ来るな」と言われてまた飛ばされてよ・・・」

オヤジ・・・悪霊たちが「バケモノ」と叫んだのは理解する

これ・・・再現ドラマにしたいくらいだ

本当に一番怖いのは生身の人間だとわかったよ

Concrete
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