長編8
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夏の風物

暑い暑い

7月からの蒸し暑さは8月も続き夜も蒸し暑い

不思議なのはホテルの間(旅館の間・・・仏間の部屋の隣の部屋)はなぜか暑さを感じない・・・エアコンは作動していなくても蒸し暑さが無い

暑いことは暑いけどね

けれどこの部屋に入ると心が落ち着くのか精神的に落ち着くのかよくわからないがホッとする

日中の暑い時でもこの部屋では昼寝ができる

ほかの部屋ではエアコンを切った状態で寝たら汗だらけで寝れない

ましてや書斎室でエアコンを切ったらまさにサウナだ

狭い部屋だから暑さが部屋にこもる

夜の間はカナちゃんママの寝室になっているので男子禁制だ

もちろん結界は張ってある

自分たちが小さい時はここが家族の寝室だった

公園でのお祭りは終わっていよいよお盆

毎年恒例で和尚様のお寺で泊ることになっている

お寺だからいろいろな怪異現象は起きる

色々な方があの世からこの世へ戻ってくる

だから8月はこの寺での幽霊の目撃など多数和尚様の耳に入る

怪奇音もすごい

泊ってたお客さんからのお話を和尚様から聞いた

このお寺の宿泊の常連のお客さんだ

常連といっても予約がなかなか取れない

年に2回か3回ほどしか泊まれない

それでも毎年予約を入れてくれる貴重なお客さんだと和尚様は言っていた

その方は東京の方で管理職をしてる方

毎日会社に入ってくるクレームを処理する課の管理職をしているとか

毎日がストレスで体調があまりよくないと話をしていたとか

どこか安くて心休まる宿泊施設は無いのかとネットで調べていたら

ここのお寺の宿泊の条件が一番合ってるということで予約の電話をもらったそうだ

和尚様はきちんと正直にお寺での宿泊の決まりや周辺に関しての情報を伝えて予約をしてもらっている

その結果、大きなトラブルは今のところは無いと話していた

決して贅沢な食事は出ないしまわりにレジャー施設は無い

あるのは山登りと山の頂上から見る景色だけ

あとはお寺の周辺の散策

これだけだとお客さんに話をしている

大半のお客さんは和尚様の説明を聞いて半分はキャンセルされている

泊まる部屋数が3つしかない

きちんと理解をしてもらったお客さんだけを泊めている

ですから評判はすごぶるいい

精神的に落ち着くという声が多数だと言っていた

昼間は散歩

夜は山登りと頂上から見る夜景と夜空

これだけでストレス解消になっている

あとは和尚様の説法

または個人で瞑想など

縛られた環境ではないので段々と落ち着いてくるのがわかるとお寺から出るときに言われている

その常連客の中のお客さんの家族が怪異現象にあった

寝てると廊下の方で足音がした

人の話声がした

金縛りにあった

など

和尚様は「そういう現象も起きますよ」とお客さんには説明をした

お客さんもびっくりした顔で帰っていくという

お寺ですから怪奇現象は起きる可能性は大

お客さんにとっては恐怖とスリルが重なっての宿泊になるのかな

ただ・・・一緒に霊をお持ち帰りとなったお客さんもいると話していた

後日、家でこういうことがありましたとか

交通事故にあいましたとか

和尚様は宿泊客の中で一番ゾッとした体験をした

宿泊後、1週間たってその家族から家に来てほしいと頼まれた

理由は家に来たらわかるという

その家に行き父親から詳しい話を聞いた

息子の様子がおかしいと

その息子は中学生で明るい性格の子だったとか

お寺へ泊ってから息子の行動が一気に変わった

言葉使いが荒くなり親に対して暴力を振るうようになった

奇声を上げたり夜中に外を徘徊するようになった

目つきも生気がなくだんだんと体が細くなっていった

あまりにも変わった息子を一度病院へ連れて行った

だが、異常は無いと言われた

明らかに異常な行動を病院でもしていたのに「異常なし」という診断に両親はほかの病院にも連れて行った

3か所の病院へ連れて行っても診断は「異常なし」という

どんどん変わっていく息子を見て原因は何かと考えた結果

お寺へ泊った後だと気づいた

どう考えてもそれしか理由が無い

意を決して和尚様に電話をしたということだ

準備が整い父親宅へ

2時間ほどでその家に着いた

普通の家

父親はサラリーマン

母親は息子の暴行で実家へ避難していた

父親から説明を聞いてるときにも2階から奇声が聞こえていた

ドアを叩く音やなにをしゃべっているのかわからない奇声をあげていた

和尚様は父親に頼んで息子さんを見せてほしいと頼んだ

父親は和尚様を2階へ案内をした

ドアには鍵かかかっていた

父親は鍵を開けてドアを開けた

悪臭が鼻についた

明かりをつけた

部屋中ゴミだらけ

息子を見た和尚様は絶句した

ガリガリにやせ細り目がもう完全に死んでいた

和尚様は父親に対してお祓いをすると約束をした

準備がいるので一週間待ってくれるように頼んだ

和尚様はオヤジに助けを頼んだ

オヤジは和尚様の話を聞いて明日にもお祓いをしないとヤバイと和尚様に言った

準備を早く整え和尚様を家に来るのを待って早々に出発した

結局、私と3人娘が加わることになった

家に着き父親からさらに詳しい話を聞いた

父親の案内で2階へ行った

私とオヤジと父親だけで2階の部屋へ行った

私は気絶しそうになった

もはや・・・生きる屍・・・とても中学生の男子ではない

頭は真っ白になり頬がこけ体全体に骨の形が浮き上がっていた

オヤジもあまりにもすごい光景で立ったままになった

オヤジは大声で「貴様!よくもまぁ!!この俺が貴様を地獄界へ落としてやるからな」と大声で怒鳴った

やせこけた男子は一瞬だけだが体が反応した

「よぉし!!!いい覚悟だ!○○(息子の名前)に入り込む小便垂れ」と大きな声を出した

ピクンピクンと体が反応した

「貴様は生きてるときも死んだときも人間の屑だったな!

貴様のような者は生まれ変わりはできない

出来たとしても単なるクソとなるだけだ」

息子の体がさらに反応をした

「貴様はバカで自意識過剰で親からもバカにされていたな」

息子の体が反り返った

「貴様!!!お前が死んで悲しむやつは誰もいなかったな!両親をはじめみんなが喜んだ!」

息子がいきなり立った

「貴様は生きてる価値もなし死んでる価値もない

貴様はこの地球が亡びるまで生まれ変わりは出来んぞ」

「お前は自分がすべてだと思ってるだろ

バカ、あほ、お前のようなうんこのカスにも劣る奴があの世でもこの世でもいるという恥さらし」

((ウウウウウ!!!!キキキキキ!))

「オ、オヤジ!!」

((キサマコソ、バケモノデハナイカ、ヒトヲクライ、オニヲクライ

キサマコソ!ウンコノカス))

「てめぇ!!しばくぞ!!」

おいおい・・オヤジ・・・

「オヤジ!相手に乗るな」

「う!!!」

「せがれ・・3人娘たちと父親を連れて一旦家から出ろ、車の中で待機だ」

「わかった」

「くそ坊主を呼んできてくれ」

「くそ坊主!お経を大声で唱えてやれ」

和尚様の大きな声が外まで響いていた

およそ2時間ほど・・・

和尚様が出てきた

「終わったですわい・・・なかなか・・・手強いですわい・・・これは長期戦になりそうですわい・・・」

「和尚様・・・」

「とりあえずは封印をしましたわい・・・ですが・・・まだまだ・・本体を封じ込まないといけないですわい・・・これは1年以上かかるかも・・・」

「え!!そんなにですか・・・息子の体は大丈夫なんですか?」

「徐々に良くなっていきますわい・・・家に結界をしましたわい・・あとは息子さんの気力だけですわい・・月に1回ほど除霊をしますわい・・・」

「そうですか・・・わかりました・・・お願いします」

オヤジが出てきた

「ふっ・・・なかなかだな・・・」

「とりあえずは結界を張り少しだけ弱体させた・・・1年ほどはかかる・・・

月に1回程度だな・・・」

「今日はここまで・・・来月に来る・・・」

私たちは父親に頭を下げて帰路についた

「せがれ・・・今回のは・・・ありゃ霊障じゃない・・・確かに3体ほど憑いていたけどな・・それは今日で全部除霊した・・・帰ったら元課長を家に呼ぶ・・今後の対策も含めてな・・・」

「ちょいまち・・・全然理解できん・・・3体憑いてるんだったら霊障だろ?」

「あぁ・・あの3体は単に憑いていただけだ・・・あの息子の体な・・体中、傷とアザだらけだった・・・意味わかるよな?」

「虐待されていた?・・・まさか・・・」

「そのまさかだよ・・・今回の霊障の本体はあの父親に憑いていた・・・俺もびっくりしたぞ・・・あの3体を除霊して成仏したのなら体の傷やアザは1時間ほどで消えてなくなる・・・1時間経ち2時間ほど様子を見ていたけど傷やアザが消えない・・・「これはおかしい」とくそ坊主と話をした・・・この傷やアザはだれかに殴られた痕じゃないかと・・・

くそ坊主と意見が合ったのはあの「父親」だと・・・この家全体が空気が重いんだ・・・

ということはその原因はあの父親しかいない・・・」

「さようですわい・・・わしゃもおかしいと思ったんですわい・・・全然、傷やアザが消えない・・・もしかしたら・・・と・・・」

「とりあえずは家に帰って元課長を呼んで警察の力であの息子を安全な場所へ移す・・・

その後にあの父親に憑いている本体を除霊させる」

家に帰り早々に元課長へ連絡をした

すぐに元課長は家に来た

「お邪魔します・・・」

3人娘たちが迎えに行った

「お久しぶり・・・3人ともかわいくなったね」

「エヘヘヘ!うん!」

「かわいくなったんだぞ」

仏間で私とオヤジと元課長で経緯を話をした

「そっか・・・霊障じゃないんだな・・・わかった!明日、警察へ行ってくる・・早急に対策をしないと大変なことになるからな・・・」

「できれば明日にもあの息子を隔離してほしい」

「わかった!あっちの署とも連絡をして早急に隔離させる」

早々に昼過ぎには所轄の警察官が息子を病院へ移動させた

父親には除霊を集中的にするために息子を隔離したと説明をした

母親には真実を話した

母親もあっさりと父親が息子を虐待しているのを見ていた

自分も旦那から虐待されていたと話してくれた

和尚様はさらに父親に憑いている霊障を細かく説明をした

本来の父親は優しかったはず

恐らくお寺へ来て帰る途中で霊に憑かれたんだろう

息子を病院へ入院させて傷やアザの治療をした

3か月ほどで傷やアザは治った

元気な息子へ戻った

父親の除霊はやはり1年近くかかってしまった

月に1度、家に行き父親とおしゃべりをしながら除霊という形にした

行くたびに父親の表情も明るくなっていった

1年後にはすっかりと成仏できた

今は親子で暮らしている

オヤジや和尚様が疑問に思ってくれたから解決できた

やはりこの2人はすごい

単に酒飲み仲間じゃない

それと楓の協力で解決できたといってもいい

オヤジ、和尚様、楓の3人で父親の除霊をしたのだから

本当はオヤジと和尚様2人で除霊できると思っていたのだが

2回目の時にはっきりと相手の素性がわかった

父親の先祖霊もおり悪霊が悪霊を呼ぶというまさに手強い相手だった

先祖霊が完全に人質となっていた

悪霊たちは先祖霊を使って息子を虐待していた

まずは先祖霊を開放し黒幕の悪霊を一気に除霊する作戦

計画は立てたものの相手は悪霊の暴力団

生前が暴力団で殺人や強盗など凶悪犯だった

それが30体

一進一退でなかなか進まず

半年たってから不思議と除霊がどんどん進んでいった

楓の力が徐々に解放されていったようだ

何とか解決できた

Concrete
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