中編4
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タクシー

車の故障で会社までタクシーで行くことにした

久しぶりのタクシー乗車だ

家から会社までどのくらいかかるんだろうかとヒヤヒヤものだ

タクシーが来た

会社までの住所を言った

会社へ着いた

乗車賃を払った

まぁまぁの金額だった

今日は特に忙しかった

終わったのがもう午後9時過ぎ

帰りもタクシーで帰ろう

タクシーが来たので家までの住所を言った

ところが帰る途中で夜間の工事中に当たってしまった

仕方ないので迂回をすることになった

ところがどういうわけが帰る道筋で

工事中や交通事故で迂回ばかりになってしまった

タクシーの運転手も苦笑いをしていた

どんどん家から遠くなっていく

運転手から思わぬ話を聞いた

怪談話だ

あ・・・という感じ

怖い話をされても私はもう慣れてる

適当に相打ちをしていた

私の同僚から聞いた話なんですけれど

その同僚のお友達もタクシー運転手なんです

その同僚のお友達をJさんと呼びますね

そのJさんが仕事を終えていつもの店で飲んでいつものように酔っぱらって店の中で寝てしまったそうなんです

目を覚めるとママさんたちがお店の後片付けをしてまして

もうお店が終わる時間かと

まだ酔いがあるのでタクシーを呼んだそうです

もちろん自分の勤めてるタクシー会社じゃないですよ

他所のタクシー会社です

およそ10分後にそのタクシーが来たそうです

そのタクシーに乗って運転手と他愛の無い話をしてたら

Jさんは自分もタクシー運転手だと思わず言ってしまったそうです

しばらく沈黙が続いたそうですが

お互いに仕事の苦労話をしたそうです

家に着き料金を払おうとしたそうですが足りなくて「家に取りに行くから待っててくれ」と言い急いで家に入りお金を手にもって外に出たらそのタクシーはもういなかったそうです

「え??・・あれ・・・料金をもらわずにどこ行った?」

といいながら周辺を探したそうです

おいおい・・・売り上げはどうするんだよ・・・

とりあえず、そのタクシー会社に電話をかけて「明日にも乗車料金を払いに行くから」と言ったそうなんですが・・・ところが、電話に出た受付の人が「はい?・・乗車料金ですか?」と不思議そうに言ってきたので経緯を話したそうです

「え・・・すいません、お客さんのお名前を知らせてください」

「あ・・はい…〇〇と言いますが」

「すいません・・・お名前が記録に無いんですよ・・・何時ごろにお電話を掛けましたでしょうか?」

「○○時に電話を掛けましたよ」

「○○時ですね・・・やはり・・・記録が無いんですよ・・・すいませんが、運転手の名前を憶えていますか?」

「え・・・ちょっとまってよ・・・酔ってたからな・・・えーーと・・・たしか・・○○さんだったかな」

「え・・・○○ですか・・・あのぉ・・・お客様、酔ってたようですけれど・・・間違いありませんか?」

「まぁ・・おそらく・・・」

「あのぉ・・・」

電話の受付の人の話だと

その○○という運転手はちょうどJさんが電話をかけた時間に交通事故を起こし緊急搬送されたということです

「ですから、○○はお客様の所へは行けれないはずなんですが」という旨の説明を受けた

もうJさんは頭が真っ白になりしばらくの間茫然としたそうです

そんなわけがない・・・

車内でしゃべっていたんだ

あれはどうみても生身の人間だ

私もプロですからね

色々な人間を乗せてきましたよ

すると私は幽霊のタクシーに乗って幽霊の運転手と会話していたんですかね

私は返事に困った

色々な事象を体験したきたがこういうケースははじめてだ

もうそろそろ我が家に近づいてきた

「お客さん・・・色々と話を聞いてくださりありがとうございました

もうそろそろ着きますね」

家に着いた

「いくら?」

「○○円です」

私は財布を開けて中身を見た

あかん

少し足りない

「すいません・・少し足りないので取ってきますね」

「はい・・・」

私は慌てて家に入りS子から足りない分を出してもらった

急いでタクシーの所へ・・・・

「へ?・・・・うそ・・・タクシーはどこ?」

辺りを見回してもそのタクシーはいなかった

ま・・・ま・・・・まさか・・・・

すぐにそのタクシー会社へ連絡をした

そのタクシー会社の運転手はちょうど私が会社から乗り込んだ時に息を引き取ったらしい

私は背筋から魂が抜けていく感覚に陥ってしまった

茫然と立ちすくんだ

Concrete
コメント怖い
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