本当に毎日仕事と家事をこなしてる
総帥という財閥のTOPとしての顔と
家庭での母親という顔
グループの総帥として財界や政界の人たちとも会う
運転手付きボディーガードがオヤジ
まぁこのオヤジがうっかり八兵衛的な存在
そのおかげでいろいろな情報がオヤジに集まってくる
まぁ、オヤジの頭じゃほとんど理解していないと思う
その情報をオヤジはおふくろに話をしている
いわばオヤジは単なる情報収集役としておふくろに付いているだけ
まぁあの事件が一番の財閥としての危機だったと思う
東京本社のある部署から財閥の重要な情報が外部へ流れた
アメリカ政府が日本政府へ連絡してきた
その政府要人が東京本社へ来て発覚した
東京本社は各国の人たちが働いてる
幹部はいい大学の出身者で固めてある
東京本社長は東大の出だ
顧問5人も同じ
エリートの塊
だからおふくろは東京本社とは別にあの屋敷を総本部としている
頭の良い者は必ず敵対者に狙われる
その予防のためでもある
総本部は100人しかいない
高卒と中卒
大卒者は絶対に入れない
これはおふくろの母親の提案
頭の良い人は近くには置くな、と
財閥の斜陽の原因は本部にエリートを置いたからだとおふくろは言っていた
いろいろな原因もあるけれど一番の原因は頭の良い人間ほど働かないということ
うその情報を申告したり他社に勝手に情報を流したりと祖母の代は大変だったらしい
管理は難しい
一人一人監視などできるはずがない
だからこそ東京本社と総本部に分けた
大学出は東京本社、各支社へ行ってもらう
高卒・中卒は総本部へ来てもらってる
パートやアルバイトは雇わない
ほかのところと逆にしている
総本部は単に情報収集と管理と指令をすればいいから
各支社のデータはすべて総本部へ集めてる
東京本社は実行部隊
営業や各支社の管理
世界各国に支社があるから東京本社がすべて管理
指揮権限は総本部でしている
ところが・・・東京本社のある部署で秘密裏に財閥の戦略情報を集め外部へ流していた
これはおふくろも知らなかったし本社社長も知らなかった、もちろん幹部もだ
それも20年間も気づかなかった
膨大な数の戦略情報が外部へ流れた
寝る前におふくろが慌てて私の所へ来た
「大変!!屋敷が今、停電になったと警備会社から電話がかかってきたのよ・・一応ね、自社発電に切り替わって電気は通ったという話・・・」
「ちょっとまって。おふくろ・・・停電・・・え・・・もしかして・・戦略データが飛んでるかも・・・」
「あ・・・一応ね、停電したときに備えてバックアップはしてあるけど・・・でもね・・一部のデータは消えたかもね・・・」
「なんか・・・タイミングが怪しくないか?」
「確かにね・・・偶然だと思うけど・・・」
いや・・・偶然じゃない・・・この家に盗聴器が仕掛けられているのか・・・
タイミングが良すぎる
昼すぎにおふくろから連絡があった
やはり・・・戦略情報のデータが無くなっていたと
私は屋敷に盗聴器などあるかもしれないから業者を呼んだ方がいいと話をした
ついでに我が家も業者を呼ぼうと
夕方に業者が来て総本部の調査をしたが異常なし
我が家も異常なし
偶然だったのかな・・
停電の原因はブレーカの内部に虫が死んでいたということ
虫が原因だと分かった
でもおかしい・・・ブレーカー類はすべて地下にある
その地下に入れるのはおふくろだけ
それにボックスになっているので開けないと虫は中には侵入できない
誰かが地下に入りブレーカーを落としたんじゃないかと
ボックスが開いているときに虫が入ったのではと
早速防犯カメラの過去の映像記録を見たが・・・ここ1年間の記録には誰も入っていなかった
ただ・・どういうわけか停電する2日前のデータが無くなっていた
機械の故障かな
警備会社が映像記録を管理しているので故意に消すことは無理だと思う
何かがおかしい
一体、本社のあの部署は何をしていたのか
秘密裏にそれも20年間もだ
誰も気づかないとはどういうことか
「おふくろ・・・20年間も誰も知らないとはどういうこと?」
「私も・・管理の甘さを痛感してる・・・あの部署はたしかに情報の保管庫
盲点だった
今やネット時代だもんね・・・回線が1本あれば世界中に繋がる
あの部署からいろいろと指示はできる
」と本当に困った顔をしていた
停電の原因は虫だがどうやって虫が入ってこれたのか
やはり2日前に誰かが侵入したに違いない
でも映像記録は警備会社が管理していた
その映像記録が無い
まさか‥あの一族か・・・あそこまでやるかな・・・
影法師ならあんなセキュリティは簡単に突破できそうだが・・・
どちらにしろ・・・いい機会だから全部署の管理体制を改めて見直すチャンスだ
要らない部署はどんどん潰していく
組織の膨張が結果的に招いたのだから
今年中に全部署の重要なところは残して人員整理を行わないと
「おふくろ・・・今年中に本社の要る部署と要らない部署のリスト化を作成して要らない部署の廃止をどんどん進めるべきだ
それと人材の整理もしないとな」
「そうだわね・・急いで実行するわね・・・」
緊急の一族会議を行った
事の経緯を説明をした
ブーイングの嵐だった
今後の対策を話をして何とか理解をしてもらった
しかし・・・あの一族だけは静かだった・・・
なんとなく引っかかる
「おふくろ・・・あいつら・・・落ち着いたよな」
「まぁ・・いつものことだからね・・・私もね・・あなたと同じ考えだけどね・・・
戦略情報はライバル会社へ流れてるはずだからね
グループの根本的な戦略情報を盗まれていたのよ・・・これで顧客はあちらへ流れていくわね・・・
狙いはズバリ、私たち一族の追放だわね・・・」
私は書斎室で今回の出来事をまとめていた
虫・・・・
ネットで「虫」というキーワードで検索してみた
ありふれた記事がズラズラと出てきた
4ページ目に目をとめた
「虫に似せたロボット化に成功」
と書かれていた
内容を読んでみた
血の気が引いた
あの部署は単なる情報収集のために利用されていたのか・・・
虫のロボットであの部署から情報を集め送っていたんだ
社員じゃなかった・・
あの部署の社員だと思っていた
通りであの部署の社員全員が「知らない」と言ったわけだ
知らないはずだ
これは・・・とんでもない罠に引っかかるところだ
それで証拠隠滅するためにブレーカーで自爆したんだ
私は急いでリビングへ行っておふくろに話をした
「そうなの・・・そうだったのね・・・危うく罠に引っかかるところだったわね・・
あのまま部署の整理や人員整理をしていたらますます業務に支障が出るところだわ
今の体制でも苦しいのよ・・・確かに整理は必要だけど・・・とりあえずは「目的」が分かった以上は慎重に要らない部署のリストを作るわね」
さてと・・・その虫を操っていた輩は・・・
もう証拠は消えた・・・
虫なら誰も気に留めない
警備会社へも簡単に入れる
2日前の記録データも簡単に消せる
一企業が虫の売買のルートを探しても意味はない
それに・・・あの一族がここまでするのかと疑問に思えてきた・・・
なんとなく嫌な想像が・・・・
あの一族は除いてほかの一族が謀ったのか・・・
でも・・力はなさそうだが・・・怪しいのは・・・あの一族かな・・・
表向きは私たち本家に従っているけれど・・・裏では・・・権力を握りたいと思っているのか・・・
私は一族に関して関心がなかった
私はリビングへ行き台所にいるおふくろを呼んだ
「おふくろ・・・この一連の黒幕は・・」と小声でおふくろに言った
「F・・・私もそうおもう・・・でもね・・・あの一族は・・・私はすこし疑問に思うところがあるのよ・・・でもね・・・F・・・これを表沙汰にしたら両家は終わるのよ
それこそ・・・あの一族の思う壺よ・・・それに・・・大事な人を失うことになるのよ・・これはお墓まで秘密にしないとね・・・あの一族の誰かとしか考えられないけど・・・今まで通りの生活をしましょうね」
確かに・・・
私は忘れることにした
作者名無しの幽霊
この騒動で・・・嫌な部分が浮き彫りになった
今回は霊の話ではないけど・・・
霊以上に私たち一族は冷水を浴びせられた
生きてる人間が一番怖い