今日はS君たちのロケについていくことになった
いつものメンバー
必ずいるオヤジ
絶対に何かが起きる
トラブル迷惑メーカーとしてちゃっかりときてる
まぁ今日はロケ地と行っても例の神社のある裏山なんだけどね
裏山の反対側は登山道として整備されてる
ハイキングコースになってる
家からは見えないけどね
見えるのはあの神社
2階から丸見え
普段はカーテンを閉めてあるけど
たまにオヤジは娘3人を娘たちの部屋でラジオを聞いて神社や夜景を見るという自分だけすればいいのに娘たちを巻き込んでいる
娘たちは内心怖がってる
オヤジがそばにいるからいるだけ
オヤジは月見という感じで夜空や夜景を見ながらラジオを聴くのが好き
家の裏は夜景といっても田んぼや畑ばかりで何もない
街灯が道路に沿って立ってるだけ
ただ、裏山の上に月が昇るとすごく綺麗
旅館の間にいると月の光が差し込んでやわらかい空間ができる
本当に旅館にいる気分になる
ハイキングコースの最上部は小さな公園になってる
今回はそこで撮影をする
月が満月になのでロケ地に選んだらしい
準備が整い撮影がはじまった
ベンチに座ってオヤジたちはラジオを聞いていた
少し離れた場所でカメラのシャッター音が響いていた
S君がF子に色々なボーズを言いながら撮影していた
あまりの退屈さにあくびが出た
「Fアニキ!!!あくびしたよね?きちんと撮影を見ないと駄目でしょ!!」とF子の怒鳴り声
「あぁ・・・うるさいな・・」と小声でつぶやいた
「え?うるさい・・!!アニキ!!!聞こえたよ!こっちは仕事してるんだからね!」
まさに地獄耳
見てるだけじゃ飽きてくる
眠くなってきた
ウトウトしかけた
「パパ・・寝ちゃだめだよ、F子姉ちゃんが怒るよ」と楓の小声が聞こえてきた
「あ・・うん」
睡魔が襲ってくる
1時間ロケとか言ってたな
我慢我慢
「あれ・・じいちゃ・・・ラジオ、雑音がひどいね、電池新しいの?」
「昨日替えたばかりだよ・・・おかしいな・・・」
腕時計を見たら午後10時を少し回っていた
街の夜景がきれい
家から見る夜景とは全然違う
ネオンやマンションの明かりなど
夜景らしい風景が広がっている
ここなら車で10分だから疲れたらここへ来ようかな
「さてと終ったよ、帰ろう」とS君の声
「待って、F子姉ちゃん、見て、夜景が綺麗だよ」
「え!ほんとだ!Sアニキ見て!!すごい!!!」
「マジかよ・・こんな近くにあったとはな・・・俺ら、昼間しかここへ来なかったからな、夜は一度も来たことがなかった、な、F」
「そうそう、小中学校の時はたまにここへ来てたな・・・しまったな、夜にもこりゃよかった」
「え!パパたちってここの場所知ってたんだ!えへ~~~」
「そうだよ、アニキたちとここへ来て遊んでたよ、楓ちゃん」
「そうなんだ!本当にパパたちって仲いいよね、うらやましい」
「いやぁ・・・まぁね・・・」
「アニキ!何その返事は!仲いいでしょ!」
さてと・・・
辺りを見回したら私たちしかいない
背筋に電気が走った
なんとなく不気味感がある
ここは夜は一人では来れる場所じゃないという気がしてきた
もう午後11時過ぎかぁ・・・
「もうそろそろ帰ろう」と私は大声で言った
オヤジのラジオは不調のままだった
「オヤジ、そのうるさいラジオ、切れよ」
「調子悪いんだよな・・・おかしいな・・・」と言いながらスイッチを切った
一気に辺りはシーンとなった
一同・・何かの気配を感じたのかピクリとも動かなかった
突然、ラジオから雑音が鳴った
「オヤジ!ふざけるなよ」
「いや、俺は何もしてないぞ」
さらに一同に恐怖心が沸いてきた
「なんか・・・ここにいたらダメなような気がしてきた、早く降りよう」
小走りに降りて行こうとしたけどおチビちゃんがいるので結局は歩きになった
「葵、カナちゃん、足は痛くないかい?」
「うん、大丈夫なんだぞ、パパ」
「S君、カナちゃんを抱っこして、俺は葵を抱っこする」
「OKOK!カナちゃんおいで」
これなら少し早く歩ける
なんとなく背後から人の声らしきものが聞こえてきた
後ろを振り向いても誰もいない
「アニキ・・後ろから人の声がするね・・・あんまし振り返らない方がいいよ」
異様な雰囲気な感じだ
なんとか駐車場まで辿り着いた
「なんとか・・・さぁ・・車に乗って」
「オヤジ・・・息が切れてるぞ、大丈夫か」
「久しぶりに走ったからな・・・」
S君たちを先に行かせるためにライトでバッシングして合図を出した
「さてと・・・」
キーを差し込んで・・・
「あれ・・かからんぞ」
「おいおい・・・嫌な予感がしてきたぞ、せがれ」
「あぁ・・すまん・・家の鍵を差し込んでた・・」
背後からドン!と車を押された
一斉に後ろを見たけれど誰もいない
「え・・パパ・・今、後ろから押されたよね・・・」
「押された・・・」
オヤジは助手席から後ろを何度も見ていた
娘たちも後ろの席から横や後ろ見ていた
やっとエンジンがかかった
その場から急いで離れた
あれ・・道に迷ったのか・・・
「パパ・・この道は駄目だよ・・・神社の道だよ」
「え・・・しまった・・・そうだった・・・」
「せがれ・・あかん・・引き返せ」
「いや・・もう・・引き返しても同じだよ」
夜の神社へ通じる道は通りたくなかった
「おい!せがれ・・・なんだありゃ」
神社付近に差し掛かった時に10人ほどの黒い服を着たものがぞろぞろと歩いていた
「なんだろうな・・あの連中・・・もう夜中だぞ」
「不気味だな・・・明かりもつけずに・・神社の方へ向かってる」
「おチビちゃんたちは家に着くまで目をつぶってて」
「うん!!わかったよ、パパ」
神社の道が早道
家に着いた
「遅かったね」
「いや・・道を間違えて神社の道を通ってきた」
「え・・・マジか・・・」
S君に今さっき見た黒い服の連中のことを話をした
「え・・・夜中だぞ・・・おかしいだろ」
「だろ・・・2階へ行って神社を見てみる、オヤジ、来い、S君は仏間にいてほしい」
「わかった、F、何かあったら知らせる」
オヤジと一緒に娘たちの部屋へ行った
「月の明かりが綺麗だな・・・どれ」
「見えにくいな・・」
「神社辺りにいそうなんだけどな」
どう見てもあの黒い服の集団が見えない
神社には街灯がひとつある
神社周辺を照らしているので人影があれば見えるはず
チリンチリン
ガヤッガヤ
シャッンシャッン
「何だ・・音がするぞ・・・お経かな・・・」
「風に乗って聞こえてくる・・・神社の方向だぞ」
「でもよ・・人影が見えんぞ・・・」
「パパたち、何をしてるのさ?」と匠が部屋をのぞいてきた
「うわッ・・びっくりした、匠か・・・あのな・・・何か音聞こえない?」
「聞こえてるよ・・・寝れないんだよね」
匠に黒い服を着た連中のことを話をした
「え・・・夜中だよ・・・なんか夜中に祭りでもしてるのかな・・」
「聞いたことないぞ・・・まぁ・・地区が違うからわからんけどな」
「とにかく匠たちは寝ててくれ」
「わかった、パパ、じいちゃん」
いつのまにかお経みたいな音は止んでいた
「音が止んだな・・・」
「ここからだと全然見えん」
「双眼鏡がいるかな・・」
「でもよ、オヤジ・・・双眼鏡でもろに見た時はどうするんだよ」
「まぁ・・今日は諦めよう」
オヤジが隣の地区の人に神社の件で聞いてみたが
夜中にそんな祭りはしないとのこと
そもそもの神社で祭りは一度もしたことがないと言っていた
ではあの連中は何だ?
今でも謎だ
作者名無しの幽霊
裏山から見る街の景色は絶景だ
ビルや住宅地からの光で夜の街を照らしていた
自分の家からでは絶対に見れない
あまりの綺麗さに夜中に来ようかと思っていたが・・・
やはり・・・夜の公園は不気味だ
昼間は結構、人がいていい環境だけど夜はやはり怖い
帰り道に見た連中は・・・何だったのか?
オヤジがこの地区の人に聞いてみたけれど夜中に祭り?みたいなことは一度もしていない
ということだ
何かの儀式で集まったとしか思えない
しかし、家の2階から見た限りでは人影は無かった
街灯が一つあるけれど人影があれば2階からでも見える
たまに夜中でも神社に参拝している人たちを見る
しかし、夜中に神社を見るのは気味が悪い
娘たちも怖がってる
今は仏間でオヤジたちと一緒に寝ている
たまにオヤジと一緒に2階の娘たちの部屋でラジオを聴きながら外を見ている
もちろん神社も見えてるしどうしても神社を見てしまう
娘たちは見ないようにしてるけどね