【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編5
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トイレ

「パパ、トイレやお風呂場の廊下に明かりをつけてほしい・・・

暗くて怖い・・・確かに夜はパパやじいちゃんが一緒に来てくれるからいいけど・・これからは一人で行かないといけないような気がする」

「まぁ・・・確かにな・・・暗いな・・・今日、買ってくる」

今日の朝、楓にトイレのことでいろいろと話をした

オヤジや私も正直、寝不足

仏間からトイレは1分もかからない

念のためにオヤジや私が付き添ってる

楓の言う通りに一人でも行けると思う

確かにトイレやお風呂場の廊下は暗い

仏間や旅館の間から明かりは漏れてる

まぁ、確かに深夜は別だけど

駅前の100均へ行って買ってきた

スイッチを押すと明かりが点く

これなら十分

今晩から一人へ行くようにと3人娘に言った

「え・・パパ・・怖いんだぞ・・・やはり、パパかじいちゃんが付いてきてほしいんだぞ・・特に・・勝手口が怖いんだぞ・・・お風呂場も怖いんだぞ・・洗濯を干す部屋も怖い・・・」と葵は私の腕にしがみついてきた

「カナも・・・怖い」

「でもね・・・仏間からすぐにあるからね、慣れよう」

「うん・・・」

「カナ・・・がんばる」

「お兄ちゃんたちはさっと行ってさっと戻ってきてるからね」

「うん!!」

夜になり夕食も終わった

夜も9時過ぎ

外の賑わいは少し落ち着いた

「パパ、トイレへ行くね」と楓がトイレへ行った

「パパ、やはり明かりが点くと見やすい・・・全然怖くないよ」

全体的に廊下が明るくなった

「そっか、怖ければそのまま点けててもいいよ」

「うん、そうする」

渡り廊下とトイレ当たりの廊下が明るいとこんなに違うのかと

確かに怖さが半減してる

「さぁさ、お兄ちゃんたちはお風呂入ったよ、あとはおチビちゃんたちだよ、お風呂お入り」とおふくろの声

「うん!!楓姉ちゃん、行こう」

3人娘たちだけで今日から入ることにした

念のためにお風呂の外にS子を待たせておいた

「おっちーー!!ゆっくり入るんだぞ」

「わかった、ママ!」

娘たちが上がってきた

「全然怖くなかったんだぞ、廊下の明かりがあるから廊下を見ても怖くなかったんだぞ」

「私も、今までの廊下は暗くて…不気味だったけど・・・廊下が明るいと怖くなかった」

さてと・・お風呂へ入ろうかな

たしかにお風呂場も明るくなった

ギィ・・パタン

「誰だろうな・・・」

トイレのドアが閉まる音がした

今までなら後ろが気になって仕方なかったけれど

廊下が明るいので気にせずに湯船につかっていた

あれ・・・長いな・・・

あれから10分・・・

さぁてとお風呂から出るかな

さっぱりした

ふとトイレを見た

あれ・・・誰も入っていないぞ

たしかにトイレを閉まる音がした

おかしいな・・・

仏間へ行った

オヤジと3人娘たちがいた

「あれ・・・15分前に誰かトイレへ行った?」

「ううん・・・誰も行ってないよ、パパ」

「あれ・・確かにトイレが閉まる音がしたんだけどな・・」

ギィ・・・パタン

「え・・・今の・・・トイレの方から聞こえたよ、パパ」

「たしかに・・・」

「でもだれも廊下を通ってないよ」

仏間の襖は開けたまま

誰かが通ればわかる

ジャーー・・・・・

「トイレを流す音がした・・・」

5分経っても10分経ってもトイレを開ける音がしない

「あれ・・・誰も出てこない・・・」

「俺が見てくるぜ」とオヤジはトイレへ行った

「おかしいな・・・誰もいなかったぞ」

みんなシーンとなってしまった

「おっちいーー!どうしたんだぞ?」とS子が来た

「ママ・・・今さっきね、トイレを開ける音がして水を流す音がしたんだけどね・・誰も出て来なかったんだよ、それでじいちゃんが見に行ったら誰もいないって言うんだよ」

「え・・・じゃあ・・今さっきの音はそれだったんだぞ?・・・てっきり仏間の誰かが行ったのかと思ってたんだぞ」

「え・・・じゃあ・・ママたちじゃなかったんだ・・・」

「ううん・・誰も行ってないんだぞ」

誰もトイレへ行ってない・・・

ギィ・・・パタン

「え・・・まただ・・・」

「よぉし、俺が見てくる」

「おかしいぜ、誰もいないぞ」

ジャーー

「えええええ!!!じいちゃん、誰がいるじゃん」

「いや・・きちんと中を見てきたんだ、誰もいなかった」

もう完全にパニックになった

「何回、トイレへ行くんだね」とおふくろが言ってきた

「ばあちゃん、誰もトイレへ行ってないよ」

「え?・・でも・・・トイレを開ける音がしたけど・・水を流す音も聞こえたよ」

「うん・・きこえた・・でも・・・誰も行ってないよ、ばあちゃん」

「あれ・・皆さん、仏間で・・・」

カナちゃんママも仏間に来た

ギィギィ・・パタンパタン

「え・・・・」

みんな、トイレの方を見た

息子たちをのぞいて全員が仏間にいる

「何だ?・・・・」

「おかしい・・・廊下は誰も通っていない・・なんでトイレのドアの音がするんだ・・」

トイレやお風呂場は必ず仏間の横の渡り廊下を通らないと行けない

勝手口は完全に閉まってる

「よぉし、俺が見ててやる」とオヤジは廊下に出てトイレを見ていた

1時間、2時間過ぎても何も起きない

「もう遅いんで・・・寝ますね」とおふくろたちは仏間から出て行った

もう午前1時過ぎ

3人娘たちはもう寝ていた

「おかしい・・せがれ・・・どうなってるんだ?」

「わからん・・・もしかして、幽霊がトイレを使ったかな」

「そうかもな」

ギィ・・・・・パタン

「う・・・またか」

「せがれ・・・マジで幽霊が使ってるかもな」

「オヤジ・・・」

((すいません・・・トイレの紙が無いんです))

「えええ・・・オヤジ、聞こえたか?」

「聞こえた・・・若い女の声だ」

((紙が無いと出られないです))

「ううう・・・」

「紙はまだ残ってるぜ・・・」

((あのぉ・・・おい!!!聞いてるんだろ!「紙が無い」って言ってんだろ))

「うわっ!!いきなり、怒り出したぞ」

「なんちゅう・・・頼み方だ」

((早くしろよな!!))

「おい!!化け物!紙はねぇぜ、そうだな、紙代1万円くれたら、やるぞ」

「オヤジ・・・」

((紙代1万円・・・安いわね・・・))

「オヤジ・・・」

「ちっ・・・行ってくるわ」

「ほらよ、ここに置いとくからよ、1万円置いてけ」

オヤジが戻ってきた

((すっきりしたわ・・・置いときますね))

「オヤジ・・」

「見てくる」

「おい!!確かに紙が無くなって1万円札が置いてあるぞ」

「うそだろ・・・わ!!マジか・・・」

たしかにトイレの前に1万円札が置いてあった

「まさか・・・葉っぱに変わるんじゃないだろうな、オヤジ」

「それは・・・いや・・本物だぞ、これ」

「幽霊ってお金持ってるのかな?」

「初めて聞いたぞ・・・お金なんぞ、持ってても仕方ないだろうに・・・」

「パパ、じいちゃ、ここで寝てたら風邪ひくよ」

「え・・・」

「あれ・・・」

いつのまにかトイレの前でオヤジと私、寝ていた

「夢か・・・」

「オ、オ、オ、、オヤジ・・・手を見ろよ」

オヤジの手にはがっしりと1万円札を握っていた

「うそ・・・夢じゃなかったんだ、せがれ」

まさに狐に騙された気分だった

Concrete
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