ふ・・・夢か・・・
「パパ?どうしたんだぞ?顔色が悪いんだぞ」
「いや・・・夢を見た」
「どんな夢なんだぞ?」
「楓が生まれた日の夢だよ」
「楓ちゃん?・・・」
「そう・・・」
「あ・・・パパ・・・蒙古斑・・・」
「そうだよ・・・」
蒙古斑は日本人やアジア人の人たちが生まれたときに腰やお尻あたりにアザみたいなものが現れる
それを知らない人は虐待されているのかと思うらしい
楓の場合は不思議な図柄のアザが出来ていた
不思議というか・・・一族の家紋のアザだった
F子にも・・・・
あんましよくないものだ
オヤジが真っ先に私を差し置いて楓を抱っ子した
おふくろがマジで切れていたけれど
オヤジの恐ろしい顔を見たら泣くだろうと思ってた
現に2人の兄たちと葵はオヤジの顔を見て大泣きして大騒ぎになった
ところが楓の場合はオヤジの顔を見てジッと見つめていた
オヤジは「F子ちゃんと同じ目だな」と思ったらしい
しばらくすると笑顔になって何か言いたそうな顔をしていたらしい
ふと・・楓の体の後ろを見たときにオヤジは絶句した
「なんでだ・・・」と声を上げた
すぐに楓を私に渡して病室から出て行った
おふくろが後を追いかけていった
訳が分からなかったけれど我が子を抱いてふと後ろを見たら・・・不思議な図柄のアザがあった
オヤジとおふくろはそのあとに病室へ戻らずに家へ帰っていた
2人ともなんか疲れた顔をしていた
おふくろが訳を話してくれた
アザのことをね
F子の時も同じ位置にアザがあった
おふくろが仏間のところにある金庫から写真を持ってきた
「これがね・・・F子の生まれたときに写した写真・・・」
「どれ・・・うううう・・・・え!?・・・マジか・・・同じじゃないか!」
「そうなんだよ・・・楓ちゃんとF子のアザ・・同じ位置にアザになってる・・・
アイツ・・・家に帰ってから大泣きしてね・・・「呪われた運命を背負わされた」と言って大泣きしたんだよ」
「え・・オヤジが泣いたのかよ・・・信じられん・・・それにね・・・アイツ・・も・・・赤ちゃんの時に同じ位置にアザがね・・・アイツの両親からいろいろと聞かされたよ・・・義理父が「あんた・・・よくもまぁ・・・せがれとな・・・運命じゃな」と言ってきたんで
「運命ですか?」と聞いたら
「そう・・・これ・・せがれが赤ん坊の時のだよ」とアイツの赤ちゃんの時の写真を見せられたよ・・・その中の一枚に・・・びっくりしたよ・・・「このアザ・・・私たちの一族の家紋によく似てます・・・」と言ったら「そうなのかい?・・・娘さんの一族の家紋に似てるのかね?・・・」とびっくりしてた・・・
「はい・・・財閥の家紋と同じです」
「え・・・・娘さんの・・・財閥の娘さんだったのかい」
「はい・・・○○財閥の一人娘です」
「え!!!!あの財閥の・・・お嬢様・・・こりゃえらいこっちゃ!!!せがれ!!バカタレが!!!なんで早く言わなかった!!!」
「オヤジ!!!何興奮してやがる!単なる財閥の娘だよ」
「バカタレ!!!身分が違いすぎるんだぞ!!!せがれ!あきらめろ!お嬢様とは付き合いは出来んぞ!」
「なんでだよ!」
「まだわからんか!あの財閥のお嬢様だぞ!!お前・・・」
義理父の困惑をした顔は忘れられないわね
「へぇ・・・そんなにびっくりしてたんだ」
てっきり・・サラリーマンの娘かと思っていたらしいのよ
その後にアイツを私の両親に会わせたけどね
まぁ両親は別段驚きはしなかったわね
父は「あいつは俺と同じ匂いがする」と言っていたわね
母は「あら・・・いい顔つき・・・私の父親とそっくり・・・娘をよろしくね」
という感じで付き合いは反対はしなかったわね
両親もアイツの両親に会い婚約者として付き合いをOKしたのよね
その時の義理父と義理母のびっくり仰天した顔
てっきりぼろくそに言われるかと思ってたらしいのよね」
「そりゃそうだろ・・・職人のせがれとお嬢様・・・普通なら猛反対だろ」
「だと思う・・・うちの両親も父がね・・・」
「じいちゃんは・・・確かにな・・・反対する理由は見つからないよな」
「結婚する時まで義理父は心配してたのよね」
さてと・・・リビングへ行くか
「パパ!!早く食べないと!!」
「え?・・・うわぁこんな時間か!!」
楓が後々すべてにおいて仕切るようになる
いや我が家は楓がいないと何もできないような家庭になっていた
2人の兄も楓の言うことはほぼ聞いていた
もちろん葵とカナちゃんは楓の言うことはすべて正しいと思っている
もちろんもう一人仕切り屋のF子がいるがF子も楓の言うことはほぼ聞いていた
「楓ちゃんの目を見てると自然と言うことを聞くのが正しいと思うような
感じがして・・・これってやはり私より力がある証拠だよね、アニキ」と言われたことがある
あのオヤジさえ楓には逆らえなくなっていた
「楓ちゃんの目には神の眼力が潜んでいて俺はもう無理・・・完全に俺の能力を超えてるよ・・逆に言えば一族の呪いを楓ちゃんが背負ってるんだよ・・せがれよ・・・」
私にはどうも鈍感のせいで楓にそんな力があるとは思えない
もう一人の鈍感・・・S子も感じないと言っていた
鈍感な両親から生まれたからなのかな・・・
楓がいるから我が家は安泰というか危険なことが避けられたし危機も何度も越えてきた
それと我が家、お化け屋敷も楓が成長するにつれて現象が減った
「楓ちゃんには神様と同じ力、まぁ・・おやっさんと同じような能力をもってますな・・・いや、オヤジ殿よりすごい力ですわい・・・いずれオヤジ殿を超えますわい・・・超えたときにはもうオヤジ殿は隠居ですな・・・オヤジ殿がどうがんばっても楓ちゃんには勝てませんわい・・・今でも楓ちゃんが傍にいるとあの怖い顔が柔和な顔になってますわい・・・」
「たしかに・・・段々と祖父の顔に似てきてます・・・一度祖父の若いころの写真を見たことがあります・・・オヤジとそっくりでした・・・びっくりしました・・・」
「でしょうな・・・」
これからの楓は一族の負を背負い生きていかなければならない
ご先祖たちの行ってきたことを古文書の解読で少しづつわかってきた
結果的にあまりよくない行いが多い
それが後々子孫まで祟られることになった
作者名無しの幽霊
楓の生まれた日の夢を見た
楓の運命はもう決まってた
一族の運命を背負わされた
特殊な能力もそのせいだろ
これからいろいろな体験をしていく
そして・・・最後には・・・私たちが看取った・・・
もっと早く気付くべきだった・・・