中編7
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不思議なTV放送と理論崩壊

不思議というか・・・

ある都市の1940年あたりの映像(日付が1940年10月13日と記されていた)を

TVから録画したものを見ていた

昼の番組で視聴者からの投稿動画の紹介コーナーだ

3人娘たちと見ていた

「ねぇ・・パパ・・何でこの映像は色がついていないの?」

「昔はカラーじゃなくモノクロが多かったからね・・もちろんカラー映像も

あるよ」

「へぇ・・・そうなんだ」

しばらく見ていると私は目が点になった

「え!・・・今の・・・」

映像は町の中を人々が歩いている映像

その群衆の中に一人の人物が映っていた

何か変だなと凝視してみていた

服装もそうだが手に持っていたもの・・・そうアイフォン?スマホ?みたいな感じ

うそだろ・・・・

明らかにその人物はその「何か」で見たり打ち込んだりしていた

私たちもスマホでしているのと同じ動作

「え・・楓、ここのところ見て・・・何か変だろ?」

「どこどこ・・・ここ?・・・・何?」

「今、一時停止するから・・・ここ」

「え・・・パパ・・・この人の服装おかしい・・・手に持ってるの・・スマホ?・・え・・パパ、この映像は1940年でしょ?その当時にスマホはあったの?」

「ないない!戦前にそんなもんはないよ・・・なんだろうな」

映像はモノクロだがその人物の服装はどう見ても戦後以降の服装のような感じで手には映像がすこしぼやけてはいるが確かにスマホの形だ

そのスマホ?を見たり何か打ち込んだりしている様子が見えた

いわゆる歩きスマホをしていた

なんとなく合成した映像のような気がしてきた

「なんかな・・合成だろうな、これ」

「うん・・・私もそう思う・・・」

まぁ不思議といえば不思議なだなとそのときは思っていた

それから1か月後に私と3人娘とおふくろの3人で東京本社へ行った

毎度のことながらまたしてもIDカードを忘れてきた

このIDカードがないと通してくれない

おふくろが顔を真っ赤化にして怒った

「F・・・またなの・・・手続きが面等なのよね・・・いくら私でもね・・

1時間ほど時間の無駄になるのよ・・・本社の会議は時間が厳しいのよ・・・

もう完全に遅刻ね・・社長には電話するけど・・・今期の報告会なのよ・・・

私がいないと始まらないのよ・・・もうぅ・・・・」

「ごめん・・・」

およそ手続きが完了するまで1時間半ほどかかった

身分証明を一からはじめるので時間がかかる

東京本社の社長が来ておふくろと話をしていた

ちらりと本社社長が私を見た

「またですか・・」と聞こえた

受付には大勢のお客さんが出入りしていた

「おぼっちゃま・・・また忘れたんですか」と受付嬢から言われて顔を下に向けた

もう恥ずかしいやら・・・・

会議も無事に終わり本社ビルから出た

「お腹すいたね・・・どこかで食べましょうか」とおふくろは歩きながら私たちに問いかけてきた

と言ってもどこにお店があるのかわからない

「そうね・・あそこのお店へ行きましょうか」

東京本社からおよそ500メートルのところにある食堂だ

角を曲がったときに私は一瞬歩くのを止めた

はて・・・どこかで見た風景だ・・・どこで見たかな・・・・

しばらく考え込んでしまった

「パパ!!何してるんだぞ?行くんだぞ」と葵の声

葵の声を聞いた途端に思い出した

例のTV放送の映像・・・・

たしかに映像の街並みと今の街並みはすっかり変わっていた

でも・・・処所に映像にあった建物が残っていた

いや・・そのままじゃなく新しく建て替えてはいたもののお店の名前がそのままだから

道路の感じと建物の感じ・・・もしかしたらここら辺の映像なのかも

私は慌ててスマホでその街並みを録画した

「パパ!何してるの?」

「ここ!ここだよ、楓」

「何が?・・・」

「ほらこの前、録画した映像で変な奴いたろ・・・その街並みがそっくりなんだよ」

「え・・・・パパ!!!確かに似てるよ・・」

「だろ・・・・」

しばらく夢中で録画していた

「え・・・エエエ!!!アイツの服装・・・楓、あそこ見て!」

「パパ!!!あの人・・・・うそ!」

もう夢中でその人を映した

最後には人混みの中に消えてしまった

家に着き急いで例の映像の動画を見た

東京で撮影したスマホの映像と比較した

もうびっくりして腰が抜けそうになった

1940年の映像とスマホの映像に映っている映像の人の動きがピッタシなのだ

ありえない

ちなみに動画編集ソフトで2つの動画を取り込んで比較してみた

もう・・・頭が真っ白になった

映像を重ね合わせたら・・・ものの見事にピッタシ

合成だろうと思ってた映像が・・・自分で合成してみたら・・・見事にピッタシ・・・

どういうことだ・・あの1940年代の映像は本物?

私は慌てて楓を呼んで編集ソフトの映像を見てもらった

「パパ・・・これ・・・そのまま・・・どういうこと?」

「パパにもわからないよ・・・合成映像だと思っていたもんな・・・頭がおかしくなりそう」

夕食時に家族の前でこの映像を見せた

賑やかだった夕食が一瞬で葬式に変わった

「せがれよ・・・下らん冗談はよせ!よくもまぁ・・・夕食時にこんな下らんものを見せやがってよ!」とオヤジの顔は怒りマックスだった

慌てて楓が説明をしてくれた

「じいちゃ・・・この映像は・・・こういう感じで・・・そう!パパが合成したんじゃないよ・・・TVで放送してたもの・・・」

「マジかよ・・・・どういうことだよ・・・合成しようにも無理だろ・・・」

家族からいろいろな意見が出た

夕食が終わり

私はネットでこの映像に関しての検索をしてみた

やはり・・・歩きスマホの人物に対して荒れていた

ネットでも「合成」だという意見が多かった

「合成じゃないんだよな」と独り言を言いながらさらに検索を続けた

同じような意見ばかり

検索の最後のあたりにこの映像に関しての詳細な説明文が書いてあったサイトを見つけた

1940年10月13日の午後2時ごろ撮影

場所は東京都○○町あたり

空襲に遭い辺りは焼け野原

残った建物もかすかにあった

新しく建て替え今でもある

などと・・・書いてあった

もう・・・偶然じゃない・・・

今日は10月13日だ

撮影した時間は午後2時ごろ

撮影した場所は東京都○○町

日付と時間と場所が同じ

楓を呼んだ

「なに?パパ」

「このサイトを見て」

「うん・・・・え・・・・パパ・・なにこれ・・・今日だよ・・・」

「だろ・・・偶然だと思う?」

「偶然・・・ううん・・・違う・・・」

私はこのサイトの管理人にメールを出した

3日後に返事が来た

相手もすごく驚いていた

相手のメールによると

この映像はその人の祖父が撮影したもので祖父の遺品整理をしているときに見つけたもの

フィルムだけなので再生する機械をヤフオクで見つけて再生したものをPCに取り込んだのこと

その映像をあの番組宛てに送ったという

もちろんその映像には一切加工はしていないという

放映後にネット上や電話がTV局に殺到してTV局から電話があったということ

その人もその騒動が起きるまで「歩きスマホ」の存在は知らなかった

その「騒動で見つけた」と書いてあった

その人も逆に私に説明を求めてきた

こちらも「わからない」と返事をした

検索をかけても「歩きスマホ」の人物は誰なのかわからなかった

映像や写真のプロであるS君にも見せた

「これ・・S君・・・どう?」

「どれ・・・うう・・・・」

「これな、はじめは合成だろうと思ったんだよ・・・でもな・・」

その後のことをS君に話をした

「おいおい・・・気持ち悪いな・・・F・・この映像な・・間違いなく本物だよ・・・

合成じゃない・・・もう少し調べるけどな・・・現時点では間違いなく1940年に撮影されたものだよ・・・マジ・・・それとな・・・言いにくいけど・・・これな・・・直接撮影してるんじゃないんだよ・・・何かの動画を撮影してるんだ・・・YOUTUBEでもTV画面越しに映したものがあるだろ、あれとおなじ・・・よく見てみろ・・・モノクロだからわかりにくいけど映像がボヤけてるだろ・・・たしかにモノクロフィルムの特徴は出てる・・・けれどな・・

ここの12分辺りに一瞬だけ「SO〇Y」と隅の方に出てる・・・・」

「え・・・12分辺り・・・・うわ!!!確かに隅の方に一瞬だけど見えた・・・

なんだこりゃ・・・え・・・でもな・・・え・・・」

もう頭はパニックになった

意味がわからん

イタズラ・・・このサイトの管理人のイタズラ

いや・・ちがう・・・この「歩きスマホ」は私が撮影した

サイトの管理人じゃない

もちろんこの人の祖父は私は知らない

どうやっても合成は出来ない

私はふと思った

続きがあるのではないかと・・・

早速サイトの管理人にこの映像の続きがあるかどうかメールを送った

返信に全部の映像が添付されていた

最後の映像に・・・・

道端が映り・・・道端にスマホが落ちていた

もちろん道端は同時の道端

それに気づいた撮影者がそのスマホを拾った

いろいろといじくってるうちに画面に映像が映し出された

慌ててその撮影者は8ミリを回した

そう・・・S君の言うとおりに画面越しの撮影だった

そこでフィルムは終わっていた

ちょいまて・・・・あのスマホは何だ?

何で1940年に落ちてるんだ

まとめると

この「歩きスマホ」の映像は私が撮影した

1940年の撮影はサイトの管理人の祖父が撮影した

それも道端に落ちていたスマホの動画

そのスマホの動画はTVで放送されたもの

そのスマホにTVから録画したものを入れたんだろう

でも・・・この「歩きスマホ」の動画は私自身が持っていて外部へ流してはいない

つまりこのTVの動画の映像は合成は出来ない

出来ないのになぜか動画はある

完全に理論は崩壊してる

なんだこりゃ・・・

私の撮影した映像が無ければ何もできない・・・・

夕食時にこの理論をみんなの前で話をした

シーーンとなった

Concrete
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