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霊園墓地

あんまし触れたくはない

この地域の一番恐怖の場所

感じる人は感じるし感じない人はそのまま巣通り

幼少の時からこの墓地は何か違うという鈍感な私でも感じていた

大きさはおよそ300メートル四方

時代が全然違う墓碑がずらりと並んでる

昼間でもなんとなく不気味さがある

夜はもう恐怖しかない

というのも墓地の中に一つも街灯が無い

つまり「夜間は入るな」という暗黙の感じがする

小学校時代にこの墓地の隣に住んでいたM君

たまたま同じ教室になったときに仲良しになった

M君にも妹がいた

私たち4人組とはたまにツルんで遊んでいた

そのM君から霊園の話をきいた

M君の家は霊園の道路を隔てた所で

2階からお墓がずらりと見える

不思議な話を2階のM君の部屋で聞いていた

もう夕方になるとなぜか霊園辺りは周りより暗くなるという

たしかにその話を聞いて2階から霊園を見ると霊園の所は周りより暗かった

街灯が無いせいもあるのだろうけどそればかりとは言えないような感じだった

その日はM君の家に泊まりいろいろな現象の話を聞けた

子供たち5人がM君の話に耳を傾けた

特にF子は完全にビビってしまって今にも泣きそうな顔をしていた

S子もいつも笑顔を絶やさないのに笑顔が消えていた

別にM君はみんなを驚かせようとしているわけではない

今までの出来事を淡々と話してるだけだ

一旦夕食があり夕食後にまたM君の不思議体験を聞いていた

夜も午後10過ぎ・・・

私はふと2階から霊園を見た

本当に真っ暗

ゾッと寒気がした

「S君・・・外見ろよ・・」

「え・・・う・・・」

「真っ暗け・・・・」

「本当に闇だな・・・こりゃ・・・肝試しなんぞしたら・・・」

「冗談じゃない!無理だ・・・」

「だな・・・」

(後のち・・・おしゃべりS子がこのときのことをオヤジにしゃべった・・・

案の定・・・オヤジの提案で霊園墓地で肝試しを・・・

絶対に嫌だ・・・・

オヤジのドスの効いた顔で・・・みんな黙ってしまった・・・

霊園墓地の肝試し・・・オヤジ!!!どうするんだ!

この話はあとで・・・・)

「なに?お兄ちゃんたち・・・」

「S子、外見るな!」

「何で?・・・お・・・お・・・おっちーーー!!!!」

S子が悲鳴を上げた

M君の父親が慌てて2階へ来た

「どうした!M」

M君のお父さんは真っ青な顔をして部屋をのぞいた

「いや・・S子ちゃんが・・・外を見て悲鳴を上げたんだよ」

「え・・・外を見て・・・見たのか・・・」

「うん・・・」

「M・・・夜中に墓場を見たらダメと言ってるじゃないか・・・」

「うん・・・ごめんなさい」

「S子ちゃん・・・大丈夫か?・・・ごめんな・・・おじさんが言うのを忘れていた・・・」

どうやらM君のおうちでは夜中に霊園を見たらダメと言われてる

とにかく恐怖心が湧いてくるので外を見てはいけないということだ

私は慌てて窓を閉めカーテンを閉めた

たしかにゾッとした

F子が「兄ちゃん・・・帰ろうよ・・・」と私の腕をひっぱってきた

もうF子の顔は限界の顔だった

「いや・・F子・・・帰りたい気持ちはわかるけど・・・そこの墓場を通らないと帰れないよ・・・いいの?」

「ううん・・・嫌だ・・・兄ちゃん・・・」ともう大泣き寸前の顔

「F子!今日はM君の家で泊まるからな・・・兄ちゃんたちがついているからな」

「うん・・・!」

「おっち・・・怖かったんだぞ・・・真っ暗闇・・・怖いんだぞ」とS子がブツブツと言い出した

いったん・・・M君の部屋から出てリビングへ向かった

M君の両親たちはTVを見ていた

子供たちがゾロゾロときたからびっくりしてた

M君の母親が察してくれた

「怖かったでしょ・・・S子ちゃん、F子ちゃん・・・ごめんね」

「おっち・・・おばちゃん・・・もう大丈夫なんだぞ」

一番びっくりして悲鳴を上げたのに現金だな

「もう・・私たち寝るからね・・後は自由にしていいよ」とM君の両親は出て行った

リビングに子供たちだけ

なんか・・・な・・・

「もう寝ようか・・・」

「そうだな・・・」

妹たちはM君の妹の部屋で寝ることになった

私たちアニキはM君の部屋で寝ることにした

1時間後にS子たちがM君の部屋にやってきた

M君の妹が「お兄ちゃん・・・眠れないよ」と言ってきた

どうやら・・・恐怖心のために・・・3人とも眠れなくなったらしい

M君の妹の部屋の隣は駐車場になっている

車のドアを閉める音や話声がして眠れない時もあるそうだ

それも相まって恐怖心もあり早々にM君の部屋へ逃げてきた

M君も困った顔になった

6人は寝られない

「仕方ない・・・和室へ行くか」

和室の部屋は8畳でM君の祖母の部屋だった

もう5年前に他界していた

「ここなら寝れるよ」

「うん!」

自分のうちの仏間より広くて落ち着いていた

妹たちは布団を敷いて早々に寝てしまった

「和室だけど・・・Fたちは寝れるの?」

「大丈夫だよ、うちにも仏間があるからさ」

「俺んちはないけど・・・Fの家に何度も泊まってるから、慣れてるよ」

ガシャ

ガシャ

「え・・・何の音だ?」

「外から聞こえた・・・」

駐車場から聞こえた

「駐車場から聞こえて気がするけど・・・」

「確かに聞こえたぞ・・・M君」

「なんだろ・・・」

ちょうど和室の隣が駐車場

和室の窓からソッとM君は外を見た

「誰もいないよ・・・」

ガタンガタン

タッタタタタ・・・・

「え・・・真上・・・」

「確かに上から・・・」

「いやそんなはずはない」

和室の上はM君の妹の部屋

妹たちはここで寝ているから上の部屋には誰もいないはず

メキメキ・・・・

ズッズッ

上から足音がした

「上から音がしたぞ、M君」

「うん・・・」

トントン

和室の窓を誰かが叩いた音がした

「えええ・・・・窓を叩く音がした・・・」

もう完全に体が硬直した

外から何かつぶやく人の声までも聞こえてきた

「お・・・・人の声・・・」

(兄ちゃん・・・)

「え・・・え?・・・」

「(兄ちゃん)と聞こえた・・・」

「M君の妹の声に似てるような」

「うん・・・」

「でも妹は寝てるよ」

もうこの部屋から出たい

けれど妹たちを置いて逃げられない

「妹たちを起こそうか・・・」

「そうだな・・・」

M君は妹たちを起こした

「なに・・・兄ちゃん」とM君の妹は目をこすりながら起きた

「あのさ・・起きてくれ・・・ちょっとな」

「うん・・・」

妹たちは起き上がりきょろきょろとしだした

「何かあったんだぞ?」とS子が聞いてきた

「あったから起こしたんだよ・・・とりあえずはここにいるけど・・」

もうどうしようかと・・・・

トントン

トントン

コンコン

また窓を叩く音がした

みんな一斉に窓を見た

カーテンが揺れていた

「兄ちゃん・・・窓を閉めた?」

「閉めたぞ・・・」

「でも・・カーテンが揺れてるんだぞ・・・」

カーテンが勝手に開き始めた

「え・・・」

みんな、カーテンを見つめていた

カーテンが開き風が流れてきた

「うわっ!!!」とみんな驚いた

もう心臓が止まるかと・・・

「びっくりした・・・とにかく・・・」

「リビングへ行こう・・・」

静かに部屋から出た

リビングでとにかく落ち着こうと・・・

M君の両親がリビングへ来た

「あなたたち・・いい加減にしなさい・・・」とM君の母親が言ってきた

「2階で何を騒いでいたの?ご近所の迷惑でしょ」

唖然とした

2階では全然騒いではいない

「ママ・・・僕たち2階で騒いでいないよ」とM君が言い訳を言った

「うそ・・だって・・2階でドタバタと走り回ったり大声で話してたでしょ?」

「ううん・・・僕たち、和室でいたんだよ・・妹たちが寝れないから」

M君は母親に今までの経緯を話をした

「え・・・じゃあ・・今まで、和室にいたの・・・2階のあの騒がしさは何?・・

どういうことなの・・・」

M君の両親は狐に包まれた顔をした

ついにF子が泣き出した

「兄ちゃん・・・おうちへ帰りたいよ」

「おっちーー!帰りたいんだぞ」

本当に困った

「たしかに・・・これ以上はね・・・おうちへ電話するからね」とM君の母親は

電話を掛けに部屋から出て行った

しばらくするとMくんの母親が戻ってきた

「F君のお父さんが迎えに来るって・・ちょっと待っててね」

オヤジが迎えに来てくれる

この時の安堵感は一生忘れられない

F子がギュッと私の手を握っていた

「F子、父ちゃんが来るからな」と言うと

「うん!パパが来てくれる、うれしい」と満面な笑顔でつぶやいた

しばらくすると玄関の方でドアを叩く音がした

おばさんが行こうとした時に私は自然に

「おばちゃん・・・待って」と声を出してしまった

何となくオヤジじゃないような気がしたからだ

虫の感というのかな・・・

しばらくするとまたドアを叩く音がした

おかしい・・・オヤジなら必ず「おい!!開けろ!」と言うはずだ

どの家でも迎えに来た時には大声でドアを叩きながら「迎えに来たぞ、おい、開けろ」と

わめきちらす

本当に恥ずかしかった

しかし、どの家のおじさんやおばんさんは笑顔でオヤジを迎えていた

何であれだけわめいてるのに怒らないのか不思議だった

「おばちゃん・・・待って・・・父ちゃんじゃないよ」と確信を得たような口ぶりで言ってしまった

「え・・でも・・・」

「うちの父ちゃんなら叩きながら大声でわめくよ」

「あ・・確かにね・・・」

以前にもオヤジに迎えに来た時にドアを叩きながら「子供たちを迎えに来た」と大きな声でわめていた

それが全然ない

「おかしいわね・・・お父さんならわめくのにね・・・」

余談だが

以前に私は会社の同僚と深夜まで飲みすぎて同僚を連れて家へ帰ってきた

その時にドアを叩きながら「開けて!!!」と大きな声を上げていた

出てきたのがオヤジだった

「うるせーぞ!!ドアを叩くな、壊れるだろ」と勢いよくドアを開けた

オヤジの顔を見た同僚はあまりにもオヤジの形相の恐ろしさで口から泡を出して倒れてしまった

後日にその同僚から「この前はすまなかった・・・オヤジさんの顔を見て倒れてしまって・・・幽霊よりオヤジさんの顔が一番怖かった」と言ってきた

それをその日の夕食時にみんなの前で話した

全員が大爆笑をしたよ

オヤジ・・自分はよその家でさんざんドアを叩きまくっているのに自分の家のドアを叩かれると怒るとはどういう神経してるんだよ

さてと・・・

ドアを叩いているのは偽物とわかったけれど・・・・

これでは外へ出れない

パタンガタン

ガタガタ

外が騒がしい

「兄ちゃん・・・外が騒がしいね」

「うん・・・」

「おーーい、子供達、迎えに来てやったぞ!!!」

「わ・・父ちゃんだ!!!」

ドアをドンドン叩きながらわめいている

「おう!子供達よ、大丈夫か!この黒い物体よぉ!ほらよ、こりゃ・・悪霊の塊だぞ、

まぁ・・あの墓地の中へ放り込んでやるからよ」とオヤジは黒い物体を霊園の中へ放り込んだ

F子のびっくりした顔

「パパ・・・」

やることが無茶苦茶だ

という感じで一件落着したわけ

このM君の家族はその後に引っ越していった

引っ越し先からM君の手紙が来た

やはり・・というか・・・・

怪異現象は収まらずに段々とひどくなっていった模様

家族間においてもドラブルが発生

我慢の限界で引っ越すことにしたと書かれていた

しばらくは空き家だったが今はほかの家族が住んでいる

怪異現象など起きているのだろうか?

Concrete
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