夢遊病であり鉄屑を吐く女の話をされた

短編1
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夢遊病であり鉄屑を吐く女の話をされた

和室で女が寝ていた

丑の刻、押入れの引き戸がひとりでに開いた

音も無く押入れの中から長く青白い腕があらわれ、女の手首を掴んだ

女は目を閉じながらゆらりと立ちあがった

腕にいざなわれるがままふらふらと押入れ歩み寄り、その中へと潜りこんでいく

ひとときおいて女は腹をジャラジャラ鳴らしなが這い出てきた

そして布団まで戻るやいなや

ネジやボルトやメダルやらの金具をひと抱えほども嘔吐した

朝陽が昇るころ鉄屑の山からは腕が生え

おぎゃあおぎゃあと赤子の泣き声が響き渡った

そうして産まれたのがお前だよ

押入れの中の父は俺にそう告げた

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