そういえば昔、霊感テストって流行ってたりしなかった?
当時は試した人の中でも実際に怖い思いをした人もいれば、全く何も起こらないという賛否両論でネットの意見も割れていた。
確か手順はこんな感じだったかな。
実際に行うのではなく、すべてイメージで完結しなければならないんだよね。
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目を閉じて2〜3回深呼吸をして心を落ち着かせる。
深呼吸する時は鼻から肺がパンパンになるまで空気を取り込む。
口から10秒くらいかけて、ふ〜っとゆっくりと息を吐くのが良いらしい。
リラックスできたら今度は自宅の玄関に立っている自分を想像する。
靴が何足あるとか、傘が置いてあるとか、可愛い置物があるとか、出来る限り鮮明にイメージすることが鍵である。
そして自宅に上がり込み、家にある窓を一つずつ開けていく。
開け終わったら玄関へに戻る。
今度は空いている窓を全部閉じに行く。
そして再び玄関へと戻る。
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さてこのまどろっこしい動きに何の意味があるかというと、この行き来している間に自分以外の誰かに会ったか、人の気配を感じることがあったかを試すものだった。
誰かに会う、人の気配を感じると言うこと=霊感があると判定される。
こういうことに一時期はまっていた俺は何度も試した。
霊感があるということで他の人と違う特別で選ばれた人間だと思い込んでいた痛い子だからだ。
ただ結果は虚しく、会うことはおろか人の気配を微塵も感じなかった。
俺は友達にそれを愚痴った。
そしたら友達は「会えないんだったら呼べばいいんだよ」と言ってきた。
その手があったか!とアホな俺は勝手に衝撃を受けていた。
ただ「呼んだ後、変なこと起きないかな」と不安を口にした。
「大丈夫だよ、帰ってもらう方法も教えるから!しっかりとやれば問題ないよ」と自信満々に告げてきた。
すっかり安心した俺は友達にやり方を聞いた。
どうやらそれは霊感テストをちょっとアレンジした内容になる。
俺も試してみたが、全く霊感のない俺でも確かにイメージの中だが気配を感じることができた。
呼んだのだから当たり前だが。
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心を落ち着かせてからまた玄関を鮮明にイメージする。
部屋に上がり込んで、すべての窓が閉まっているかしっかりと確認をする。
きちんと鍵がかかっているかも合わせて確認する。
問題なければ、そのまま風呂場へと入る。
風呂桶の中を覗き込む。
桶の中でしっかりと水が張っているイメージをする。
じっとそのまま水を見つめ、自分の顔がくっきりと反射出来たら次のセリフを3回唱える。
「どうぞ、お上がりください」
唱え終わると水面に波紋が広がっていく。
無事成功だ。
そしたら風呂場から出て、そのまま玄関行く。
耳を澄ませると、風呂場から人の気配を感じるはずだ。
もっと上手く行くと水を打つ音が聞こえることもある。
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これは水場を活かした一種の降霊術だ。
イメージだけで完結はしてしまうが、あまりにも想像力が豊かな人間が行うと本当に霊を呼んでしまうこともあるから注意が必要らしい。
だから帰ってもらう方法もしっかりとイメージの中で行わなければならないのだが。
ただ遠い昔に教えられたので全く覚えていない。
作者カバネリ