中編4
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神社と僕

変わってると良く言われ、普通の同級生と、普通の日常に溶け込めない高校生だった僕は、あまり気が乗らない日は学校をサボる事が良くありました。

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その夏の日も、良い天気に誘われ、どうしても学校に行く想像が出来ずに、サボる事を決めました。

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制服でブラブラしていると、補導されて学校や担任教師を聞かれて連絡されるので、帰って着替えました。

「学校は辞めて働いている」と言えば大丈夫だ、と同級生が話していたので、もし補導されたら実践するつもりでした。

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本屋に行って小説を買い、どこか陽のあたる場所で読む事にしました。あまり目立つ所だと、補導されます。

言い訳は考えていましたが、補導されないに越した事はありません。

でも家には帰りたくありません。

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「いつものあそこで良いか」と、良くサボる小さな神社に行く事にしました。

小さな鳥居とこじんまりとしたお社しかない、通りから外れた静かな神社です。

来るといつも5円を納め、僕のおサボりを見守ってくれてる神社です。

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時計を見ました。お父さんのお下がりのラドーの時計です。

時間は12:00。まだまだゆっくりできます。

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木がたくさんあり、木漏れ日と枝を揺らすそよ風の中で小説を読む時間は、とても心地良いものでした。

数段あるお社の階段に腰掛け読んでいると、鳥居の方から砂利を歩く音が聞こえました。

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警察の見回りかも!と思った僕は、焦って隠れる場所を探しましたが、小さな神社のその空間は、どこにも隠れる場所はありません。

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高校生にも見えないほど小さく幼い風貌だった僕は「学校は辞めて働いている」なんて言う事を決めていましたが、自分自身、それで逃れられるなんて無理だと判ってました。

「どうしよう!」

咄嗟にお社の扉を開けて中に隠れました。

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真っ暗なお社の中から隙間を探して外を見ると、警官ではありませんでしたが、補導員の腕章をつけたおばさん二人組でした。

隠れて良かった…。

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なかなか帰らずにいる補導員の音を聞きながら動かずにいると、目が慣れてきてお社の中が見えてきました。

御神体が入っているであろう厳かな祠の様な木箱が奥にあります。

扉が閉まっているので中は見えません。

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外にはまだ二人の気配がします。お社の裏側に回って見たりしています。

「チェッ。早く帰んないかな」

「まさかお社は開けないよな」

「神様、お邪魔してます。ごめんなさい。すぐ出ますので」

「もし見つかんなかったら、これからお賽銭を増やします!」

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体感で10分も居たでしょうか。砂利の音が聞こえ、遠ざかっていきます。ようやく帰っていった様です。

すぐ出て、まだ居たらヤバいので、もうちょっと居よう…。

60を5回、数えました。

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「5分も経てばいないだろう」

合計15分ぐらい居た僕は外に出ました。誰もいません。

良かった。あぁなんかドッと疲れたよ。ふ…と時計を見ました。

「えっ!!!」

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6:00でした。15分しか経っていないと思ってたのに、6時間も経っていたのです。えぇ!なんで!?

寝てもないしおかしいよ。補導員の音もずっと感じてた。

じゃあ補導員も6時間いたの?そんなバカな。

とりあえず早く帰んなきゃ、お母さん帰ってきちゃう!

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急いで帰った家には、もうお母さんの車がありました。

やば…。私服だし、学校帰りって言えない。終わってすぐ帰って着替え、駄菓子屋に行ってた事にでもしよう…。

「ただいまー」

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帰った僕の眼の前には、お母さんだけじゃなく、お父さんとお兄ちゃんもいました。こんなに早く二人がいる事は珍しいです。

「お父さん、仕事は?お兄ちゃんも今日は早いね」

呑気な僕にお母さんが言います。

「どこに行ってたのッ!!」

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第一声でお母さんに怒鳴られました。

「え…。そんなに怒る事…?言う程遅くないでしょ…」と焦る僕にお母さんは続けます。

「もう少し待って帰って来なかったら、警察に行く所だったのよ!」と不安げに心配しながら言います。

「そんな大げさな…」

とりあえず入れよ、と優しいお兄ちゃん。

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違和感を感じ、日付を聞きました。

翌日の朝6:00だったのです…!

お社に入って15分のつもりが、6時間も経っていた…と思っていたのに、18時間が経過していたんです。

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「説明しなさい」と言うお父さんに促され、全て言いました。学校をサボった事、本屋に行った事、神社で小説を読んでた事、補導員から隠れる為にお社に入った事、15分で出てきた事…。そして今になった事。

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それ以外は説明のしようがありません。

悪い事をしていた事を隠す為のウソだと思われていないか心配でしたが、一応みんな、僕を信用してくれました。

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すぐに全員でその神社に行き、お賽銭を納めて四人で謝りました。

なぜ18時間も時間を進めてしまったのか、もしかして補導員を遠ざけてくれる為に18時間進めてくれたのか、神様は何も言ってくれないので、今も判んないままです。

Concrete
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