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短編2
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ジャリ、チャリ………

先程体験した話でも。

自動販売機裏で音がするのに、姿の見えない者の存在に遭遇した話を取り上げたが、向かい側に在る、今は閉まっている筈の道の駅にて、変な音を聞いた。

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入浴施設に入ろうとしても、入りにくい場所に位置していて、カーナビの案内が全然役に立たず、「入れます」表示も住宅地が立ち並んでいて行き止まりになっている所為で、「嘘つき!全然辿り着かない!」なんて、営業こそしていても、駐車場はおろか建物自体に上手く辿り着けないので、私は苛立ちながら諦めて、道の駅の向かい側に在る例の自販機を目指して車輛を発進させる。ちなみに、抜け道ならぬ入(はい)り道、もといスッポリ入れる入り口を見付けて一回は湯に浸かる事も出来てはいるのだが。

催しても来たので、金銭を払って喉を潤す前に、道路を隔てた向かい側の道の駅の用足し場で済ませて、その場所の特徴である学校の校庭に向かって取り付けられている様な大きな時計を、「闇夜の僅かな外灯に照らされていたらどんな感じかなー」なんて覗きに行った瞬間に、違和感を覚えた。

ジャリ、チャリ、シャリ………

駐車場にはトラックや重機を載せた大型車輛に加えて、輸送要員とおぼしき二名の人物が休憩の為、誰も居ないのを見計らって縁石に座っているのが確認出来る。

だが、私の耳が捉えたのは、今の時間帯だと人の出て来る筈の無い店舗側で、しかも人っこ一人居ない空間。有るとすれば、人に見立てた田んぼの見張り役………そう、案山子(かかし)を配置した空間である。だが、案山子の置かれた場所からの音で無く、そこを壁一枚隔てた空間で、ちょっとした壺が置かれているだけである。

ビニール袋も見えたが、明らかに風も無い。風も無く、あの音を表現するとすれば、草履(ぞうり)やサンダルを地面に擦らせた音、砂や土の有る場所で摺り足(すりあし)をした音にしか聞こえず、私は一瞬「ひぃぃっ」とゾワゾワするも、「ネタが来たぞ。何てこった」と蒸し暑い夜に冷える思いが出来た事に感謝しつつ、自動販売機近くの駐車場に停めた車輛を目指して、ヒョイと誰も居ない道路を渡った。

休憩中の人も居るし、エンジンを掛けながら冷房を利かせたトラックも居る。自分だけが体験する、誰も気付かない怪異も有るんだと、興味深い体験でもあった。

Concrete
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