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中編3
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70人。

はじめに、この話は私が知人から聞いた話ですが事実では無い場合があります。

私が独自に調べた結果、この話が事実である確証が得られなかった為です。なので、この話をお読みになる読者の方は「フィクション」としてお楽しみください。

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この話は、私がこのサイトに怪談を投稿するようになる以前に、祖母の友人から聞いた話です。

祖母は家に人を呼ぶのが大好きな人でした。

その日もたまたま散歩中に会った近所の陶芸サークル仲間を家に呼びお茶を飲んでいました。

私は当時実家に住んでいたのでそんな場面をよく目にしていました。

ある日家に帰ると、茶の間で祖母とお茶を飲んでいた友人の寿子さん(仮)に呼び止められました。

「みんな地方に出ちゃって、あんたはここに残ってて偉いね」

この年代の人にはよく言われる事でした

「いや、偉くは無いですよ。」

「偉いわよこんなところに…」

「こんなところって。田舎好きですよ。」

「田舎って言ってもだって、こんな死人ばっかりの…」

そこで祖母が口を挟みました

「やめてよ寿子さん、孫が出ていっちゃうわよ。」

私は何かゾクっとしたものを感じました。

「死人ばかりですか…?」

「ほら、この辺自殺する人が多いでしょう」

私は心当たりがありました。

自殺なんてどこにでも…と思うかと思います。

自殺なんて都会では、隣の部屋でも隣のアパートでもマンションでも、路地裏でも駅でもどこにでもあって、そしてそれを皆ほとんど知らずに生活してるでしょう。しかしこの小さな町で自殺なんてしようものなら、一瞬で広まります。

それも、ただの自殺では無いのです。私が知る限りでも焼身自殺が2件、服毒自殺が2件、割腹自殺1件。

これは異常ではないでしょうか?

寿子さんが言う「死人ばかり」と言うのが、この異常な数の自殺者の事だと言うのはなんとなくわかりました。

「まぁ確かに、変な死に方の人多い気がしますね。」

「そうよ、でも昔は70人も殺されたのよぉ」

「だからやめてよ寿子さんそんな話。」

「70人?」

70人も人が殺されたなんて、この町どころか世界中探しても、テロでも無い限りほとんど聞いた事がありません。

空襲とか…いや、ここが空襲にあったなんて話も聞いた事がない。なんならここは疎開先になってたぐらいだ…

「そんな事件があったんですか…?」

「事件じゃないけどね、70人ぐらいは殺されてるって話よ。お化けって言うのか、幽霊って言うのか。」

「お化け…?」

気がつくと祖母は神妙な顔で俯いていました。

「だから今お祭りやってるでしょ、ゴールデンウィークの頃」

確かに毎年ゴールデンウィークにお祭りがあります。

しかしそのお祭りは、商工会の人達が町おこしのために発足させたお祭りで、何かを祀ってるとか鎮めてるとかそういう事は聞いた事がありません。

「あのお祭りは…」

私が言いかけたところで祖母が口を開きました

「終わり!この話は終わり!寿子さんもうやめて!」

寿子さんは祖母の剣幕に押され、話題を変えてしまいました。

寿子さんが帰った後、祖母は私に

「寿子さんが言ったことは嘘だからね。あんなのはおとぎ話みたいなものだか信じちゃダメよ。」

信じるも何も、そもそもなんの話なのか…

私は密かにネットや図書館でこの町の歴史やこの地域で起きた事件、事故、ニュース等を調べてみましたが、70人もの人が殺された事件も事故も当然見当たりませんでした。

今では祖母も寿子さんもこの世にはいない為、あの話の真相は不明です。

何か聞いてはいけない話のような気がして、地域の大人達に尋ねることもできていません。

申し訳ありませんがこの話はここで終わります。

これ以上の事は私がいくら調べても何もわかりませんでした。

これからも真相を究明する事はできないような気がします。

オチのない話を最後まで聞いていただきありがとうございました。

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