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『呪いの宿る物』(存在しない記憶vol.2)第2話『謎を呼ぶ像』

短編2
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『呪いの宿る物』(存在しない記憶vol.2)第2話『謎を呼ぶ像』

1:その像は不思議だった。

アンティークにしては、木枠の正面に斜めの棒が入っている。

これでは、像の美観を損なう。

意図が不明だった。

ユウジが視て感じた事を口にした。

「木枠が危険だね。像からは何も感じない」

「別天津神さんも似た様な事言ってましたね。

でも、酷いんですよ。見た瞬間、ハンマーで壊そうとしたんですよ」

『俺が、本気で叩いても壊れなかった』

タルパは、小柄に見えるが、筋肉質だ。

腕力も相当なものである。

「ブラザーが本気で叩いても壊れなかったって…」

その後、タルパはこれまでの経緯を説明した。

現場でちょっとしたトラブルが続いた。

最初は職人。

手元が狂い、かなり軽度の怪我をしたり、警備員が転ぶなど。

しかし、タルパとキヨマロだけは何も起きなかった。

タルパが問い詰めると、キヨマロがこの像を購入した事を思い出し、それを話した。

キヨマロの家に向かい、これをタルパが見た瞬間壊したくなって、職人から借りたハンマーを振ったが傷一つ付かなかった。

タルパ自身では分からないので、ユウジに見せるべく、コンビニへ行ったが、ユウジは休みだった。

食事がてらにユウジを呼び出して今に至る。

「とりあえず、正体は俺にも分からん」

『ブラザーでも分からないかー』

「これ、悪いモノですか?」

「うーん。像からは何も感じないし、平気じゃ無いかな?これ買った時何か言われた?」

「あ、気が向いたら、水あげてって言われました」

『キヨマロよ…。その時点で、何かおかしいって思わなかったのか?普通アンティーク像に水なんて、あげない』

「そっ、そだね。俺じゃ正体分からんし、水あげて様子見かな。仏具店行けば、仏壇に水を供える為の仏具売ってるだろうし、俺の友達は、お猪口とかで代用してたって聞いた」

「分かりました。水あげてみます」

ユウジは、毎日水は変える事をアドバイスした。

結果。現場での怪現象は鳴りを潜めた。

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