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『呪いの宿る物』(存在しない記憶vol.2)第3話『像の正体』

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『呪いの宿る物』(存在しない記憶vol.2)第3話『像の正体』

1:ユウジはタルパの部屋にお邪魔している。

キヨマロが買った像の正体を考える作戦会議である。

今のところ、怪現象は鳴りを潜めている。

しかし、原因と思わられる像をどうにかしない限り、不安は拭えない。

心配したタルパが夜勤後、ユウジの勤めるコンビニエンスストアに立ち寄り、宅飲みに誘ったのである。

「まず、何で七福神の2柱(はしら)だけなん?それか、他の柱もあったのかな?」

『どうだろうね。七福神の並べ方は、得たい御利益によって変わるらしいから、その可能性はあるかな。ちなみに、大黒天と恵比寿を2柱で祀るパターンもあるよ』

大黒天を大国主命(おおくにぬしのみこと)と同一視して、大国主命の第一子とされる事代主神(ことしろぬしのかみ)を恵比寿と同一視される事が多い。

その為、親子を一緒に祀り、これが七福神信仰の発祥とする説があると、タルパは説明した。

ユウジが疑問を感じているのは、神をかたどった像。

その木枠が嫌な感じがするところである。

何かあるのだろうか?

『ブラザーはあの木枠を見た時、何か感じた?』

「怨念みたいな嫌な感じがしたとしか言えないかな。ブラザーが壊したくなった理由は何となく分かる。あの場がファミレスじゃ無きゃ、俺も同じ事したよ」

『感じた事は同じなのかな?』

「かな?」

答えは出ずに、飲み続けるユウジとタルパ。

ふと、ユウジが疑問に思った事を口にする。

「そもそも、神をかたどった像をなんで、木枠に閉じ込めるんさ」

それがヒントになった。

『そうか。ワラズマだ』

それを知らないユウジにタルパは説明した。

ワラズマとは、ネット怪談で、お指様やら、フィンガーさんと呼ばれるもので、怨霊を閉じ込めて福の神として祀る為、専門の行者が作る。

童(わらず)間、もしくは、破らず間が名前の由来と言われている。

仏間の隣に四角の部屋を作り、出入り口を閉じたままにする。家人の通行を禁じ、客人の通行を推奨する。

部屋の出入り口を開けない限り、客人から吸い取った福を家にもたらす。

出入り口を開けた者には、閉じ込められた怨念が当てられ、長生き出来ない。

「つまりは閉じ込められた怨念が、漏れてる?」

『だから、俺達が壊したくなったんじゃ無いかな?』

「怨念が強すぎて皮肉にも、物理的に破壊出来なくなってるってわけだね。多分、正しい。なんか、そんな感じがする」

『ブラザーがそう感じるって事は間違い無さそうだね。破壊は難しいかも知れないけど、今の現場でアクリル板の廃材でるから、囲むか。今夜、キヨマロに持って来させるよ』

今後の指針が決まった所で、ユウジは夜休みだが、タルパは現場は徒歩圏内だが、夜勤の為、解散となった。

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